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偽物

私はゴリさんの元まで行き、両手でゴリさんの顔を掴みグイッと私の方を向かせました。


「な、なんだ!?」


顔を真っ赤にしたゴリさんの顔をジッと見つめ「……貴方は誰です?」と、尋ねました。


「は!?」


私の言葉に驚いたのか、ガタンッと勢いよく立ち上がりました。


「何を言ってんだ!?俺はルッツだ!!」


慌てて弁解しておりますが、偽物だと言うことは既に判明しております。


「……貴方はゴリさんではありません。ゴリさんは、尋ねてきた人を()()なんて言いません。大方、私の名前を知らないのでしょ?」


「あ、いや、そんなことは……」


偽ゴリさんの顔色が徐々に青くなっていますね。


「……次に、ルイスさんの事を尋ねた際、貴方はずっと書類を見ていてこちらを見向きもしませんでした。それが決定打です。ゴリさんは、どんなに忙しくても人の顔を見て話をします」


これは、ゴリさんの癖のようなモノで、気づいているのは私とヤンさんぐらいじゃないでしょうか?


ここに来たのがルイさんなら、絶対気づかれなかったと思いますよ?


「そして最後に、私が貴方の顔を見つめた際、顔を赤くしましたね?ゴリさんは、私が見つめた位では顔色一つ変えません。むしろ、そんな事をしたら拳骨が飛んできます」


私が言い切ると偽ゴリさんは溜息を一つ吐き、私の手を思いっきり引きその勢いのままドサッと作業机の上に押し倒しました。


「──……まさか僕の変装を見破られるなんてね」


「勉強不足でしたね。変装するならもう少し相手を熟知した方が宜しいですよ?」


押し倒され手を拘束されたまま、今回の反省点を指摘してあげました。


「へぇ……君、今の状況分かってる?僕にお節介焼いてる場合じゃないよね?」


顔はゴリさん、喋りは違う方。大変気持ち悪いです。

しかも、今の状況。ゴリさんに押し倒されている絵です。


──こんな所、誰かに見られらたら……


「ゴリさん~、俺ヒマで……」


バンッとドアが開いたかと思えば、タイミングよくルイスさんが登場。


ルイスさんの目には、ゴリさんに押し倒された私の姿が目に映っている事でしょう。

一瞬たじろいだ後、顔を真っ赤にしましたからね。


「ご、ごめん!!お取り込み中だった!?だ、大丈夫!!俺、口が堅いから二人の事黙っとくから!!!」


そう叫びながら、慌てて部屋の外へと出て行きました。

暫くすると、外から「ゴリさんとマリーがぁ!!!」と叫び声が聞こえてきました。


──……口が堅いとは?


完全に誤解されてしまいました。

あの方の誤解を解くのは苦労しそうです……


「──何か騒がしかったけど、ようやくこっちに集中出来るね」


ゴリさんの顔でニヤッと微笑みました。

その顔ときたら、すっごい不愉快です。


「……あの、すみません。せめてその顔を変えて頂けませんか?物凄く気持ち悪いんですが……」


「なんで?君らのボスの顔でしょ?そんな事言ったらボスが悲しむと思うけど?」


いや、ゴリさんはこれぐらいでは悲しみませんよ。……多分。


「僕はこのまま、部下を無理やり手篭めにする上司を演じたいんだけど?」


偽ゴリさんは不敵な笑みを浮かべたまま、舌なめずりをしました。

その瞬間、ゾワッと全身の毛が逆立ちました。


──こ、これは、気持ち悪い所ではありません!!


中身は違う方と分かってはいるんですが、顔がゴリさんなので、頭がゴリさんだと認識しています。


「あはっ、顔色が悪くなったねぇ。今更怖気付いても遅いよ?」


偽ゴリさんは拘束していない、片方の手で私の頬を優しく撫でました。


「……ねぇ、名前なんて言うの?」


「……名前ぐらいご自分でお調べになったら如何です?」


敵陣に踏み込むなら、その辺は調べて来るのが普通では?


「ふ~ん。まぁ、いいや。どうせ殺っちゃうし。──あ、安心して、僕テクニシャンだから。もちろん、二つの意味でね」


そう言うなり、偽ゴリさんは私のスカートを捲りあげました。


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