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カリンとデート

今私は何故か、カリンと町に来ております。

カリン曰く「友達と町で買い物なんて常識でしょ?」と言われてしまったのです。

私には、その常識が分からないのですが……


仕方なくカリンに言われるがまま町を歩きつつ、友達と買い物を体験中です。


「マリー。今度の夜会、貴方も出るんでしょ?」


「……ええ、出来ることなら欠席させて頂きたいんですが」


「ダメよ!!今回の夜会の主役はマリーなのよ!?」


なんと!?それは初耳なんですが!!

何故、私が陛下や殿下を押し退けて主役なのですか!?


「今回の夜会は男女(アイツ)の婚約者お披露目会を兼ねてるって聞かなかった?──どうやら、いつまで経ってもマリーを紹介しない男女(アイツ)に陛下が業を煮やした結果らしいわね」


歩きながらカリンが、詳しい経緯を話してくれました。


なるほど。まあ、陛下からしたら義理の娘になるんですから、早いとこ紹介して欲しい訳ですよね。

しかし、元より私は婚約者じゃありませんし、侍女なので紹介も出来ないのでしょう。


──いっその事、カリンには全てを告白してしまいましょうか?


「大丈夫よ、マリー!!貴方達の恋を邪魔する者は私が排除してあげる!!」


カリンは、本気で私が殿下と恋仲になっていると思っている様です。

……とても嘘だと言える雰囲気ではありませんね。


「あっ!!あそこよ、最近出来て凄い人気なの」


カリンの指さした先には、女性の方々が長い行列を作っていました。

私はこう言う流行には疎いので、何の店か分かりませんが、大変繁盛しておりますね。


店に近づくに連れて、甘い匂いが漂ってきました。

近づいて見ると、店頭で薄い生地を焼いているようです。

その生地に何やら、果物やクリームを乗せて、これまた器用にクルクルと巻き上げました。

それは、まさに職人技。


「これは、クレープって言うみたいよ。最近この国に入って来て、今や一大ブームよ」


なるほど、このクレープは手に持って食する物なのですか。

手軽に食せるのがいいですね。


早速、私とカリンも行列の最後尾に並び順番が回ってくるのを待っておりました。

ふと、広場の方を見ると手にクレープを持った女性の方々が多数おります。

どの方も笑顔で、とても美味しそうです。


「おや?」


その笑顔の女性達をかき分けながら、歩いている方がおりました。

その方は両手いっぱいの荷物を抱え、大変歩きにくそうです。

私は、その方に見覚えがありました。


「──ロンさんじゃないですか」


歩いていたのは、ロンさんでした。

列に並びながらロンさんに声をかけると、此方に気づいたロンさんが歩み寄ってきました。


「マリーさんじゃないですか。買い物なんて珍しいですね」


ロンさんはキョロキョロと見渡しながら、私が列に並んでるのを見て驚いていおりました。


……私だって、買い物の一つや二つしますよ。


「マリー、知り合いの方?」


「あぁ、こちら私の行きつけの店で見習い料理人をしている、ロンさんです」


カリンが小声で尋ねてきたので、ロンさんを紹介しました。

カリンとロンさんは「どうも」と、軽い挨拶を交わしました。


ロンさんの持っている袋を見ると、野菜やパン、それに香辛料など中々の大荷物です。


──これはお使いですか。


ロンさんは弟さんの為に弱音を吐かず、頑張って働いております。

なんとも弟思いのお兄様なのです。


「──……そう言えば、弟さんは大丈夫ですか?」


「えっ?」


弟さんの事を聞くと、ロンさんが物怪顔で私の方を見てきました。


──あら?弟の為に慣れもしない殺し屋に入っていたのでは?


「あっ、あぁ、すみません。弟は病気とかそんなんではないんです」


私の言葉を理解したロンさんが慌てて、誤解だと仰りました。


──確かに、弟の為にと仰っただけで、理由は聞いていませんでした。


何となく、病気の弟の為に頑張っているものだと思い込んでいました。


「──……僕は弟の作った借金を返しているんだよ……」


──なんと!!同士でした!!


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