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幽霊屋敷

「ここですね」


今私の目の前には、今にも倒壊しそうなブラッド侯爵の屋敷があります。

雰囲気的には確かに出そうな感じではありますが、問題ありません。

さくさく終わらせて、城へ戻らければあの粘着王子にまた小言を言われますからね。


ギィィ……


扉を開ければ、中は思った以上の荒れ具合。

所々、獣が入り込んだ形跡もありますね。

しかし、人の気配は感じられません。


「ルイスさんは幻覚でも見たんじゃないんですかね?」


一応、一部屋一部屋確認して回りましょう。

ちゃんと手当分は働きますよ。


「一階は何もありませんね」


──という事は、二階ですか。


今にも壊れそうな階段を登り、二階へと参ります。

奥から調べようと、ドアノブに手をかけた時──


ガシャン!!


大きな音が屋敷に響き渡りました。


──どうやら、ルイスさんが言っていたのは本当のようですね。


音のした方へ足を進めます。

そして、ある部屋の前まで来ました。

この部屋は他の部屋の扉に比べて立派な造りをしていますね。

という事は、当主ブラッド侯爵の自室ですかね。


そぉ~と、扉を開け中を確認しますが、荒れた部屋だけで、人の姿はありません。


──おかしいですね。音は確かにこの部屋から……


中に入り、辺りを見渡すと部屋の奥にもう一つ扉があるのに気づきました。


その扉に近づくと、人の声が──

しかし、その声は話し声とかではなく、どちらかと言えば喘ぎ声。


──まったく、お盛んなのは構いませんが、時と場所を考えて頂きたいですね。


バンッ!!


「うわっ!!!」


「きゃーーーー!!!」


躊躇なく扉を開ければ、生まれたままの姿の男女がベッドの上で情事を楽しんでいたご様子。

しかも、その女性の方は見覚えがありますね。


「……ナタリーさん、こんな所で何をしているんです?」


そう、食堂の従業員ナタリーさんでした。

仕事をサボり、こんな所で男性にうつつを抜かしているとは。


「あっ!よく見ればマリーじゃない!!あんたこそ何してくれてんのよ!!?」


ナタリーさんは情事を邪魔されて、大変ご立腹のご様子。


「私は仕事で来ています。ここ最近の幽霊騒ぎはナタリーさんの仕業ですか?」


「はぁ?幽霊騒ぎなんて知らないわよ!!私だってこんな所でヤリたくなかったのに、宿が空いてなかったんだから仕方なくここでヤッてんの!!」


一日ぐらい我慢できなかったんですかね?

盛りのついたお猿さんと一緒ですね。


「……あんた、今失礼な事考えたでしょ?」


「──いえ、ナタリーさんはお猿さんの様だと思っただけです」


「考えてるんじゃない!!」


ナタリーさんが違うとすると、他に居ると言うことですか?


『うぅぅぅぅぅ、あぁぁぁぁぁ……』


気味の悪い声が響き渡りました。


「な、なに!?」


「お、おい、あ、あれ……」


ナタリーさんの連れの方が指さすを見ると、不気味な影が横切りました。


「──いましたね。私はあいつを捕まえてくるので、ナタリーさん達は早く帰った方がいいですよ?」


「言われなくてもそうするわよ!!!」


二人は床に散乱している服を手にすると、逃げるように屋敷を出て行ってしまいました。


──あの二人、服を着ずに行きましたけど大丈夫なんですかね?


まあ、裸を見られたところで命に関わりませんし、あの二人にはいいお灸ですね。


それよりも、不審者確保の方が大事です。


「何処に行ったのでしょう?」


廊下を見渡しましたが、影どころか人もいません。


ふと、隣の部屋が開いていることに気づき、中を覗くと──。いました。

髪の長い女の方が。


──しかし、あれは普通の人間では?


足もありますし、割と血色のいい顔してますよ?


「……あの、すみません。こちらで何をしているんですか?」


中の女性に尋ねます。


「わぁぁぁぁ!!!」


女性は私を見ると、驚き床にお尻を打ってました。


──化け物を見た様な反応されると、流石の私でも少々落ち込みますよ?


「さて、貴方はどこの誰で、何故こんな所にいるのかお聞かせ願います」


「お、俺はここの、ブラッド侯爵の長男、ジェム・ブラッドだ!!」


あら、予想だにしない答えが返ってきましたね。

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