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副業

只今、私は城を抜け出しある所へ向かっております。


町の中心にある大衆食堂『マム』です。今日も今日とて、仕事終わりの方達で賑わっている様子です。

私の副業場所は、ここの地下に隠れるようにしてあります。

その名も『便利屋』

人探しや屋敷の掃除、害虫駆除など請負っております。しかし、これは表向き。裏では国を纏めている方々の依頼を請負っています。


「マリー!!ごめん!!ちょっと手伝って!!」


私に気づき、声を掛けてきたのはここの女将のミレーさん。


「……ナタリーさんはどうしたんです?」

「あの子、また()()


ナタリーさんとはここの従業員なんですが、サボり癖が酷いらしく出てこない事が多いのです。全く何故、クビにならないのか不思議ですね。


「……お給金は頂きますよ?」

「ああ、ナタリーの分から出すよ」


そういう事なら、お手伝い致しましょう。


「おお!!マリーちゃん!!今日も可愛いな!!」

「ダンさん、あんまり飲みすぎると奥さんに叱られますよ?」

「わははははは!!マリーちゃんには敵わねぇや!!」


ナタリーさんのサボり癖のお陰で、ここの方達とも顔なみじとなりました。それでも手癖の悪い方はおります。


「おい、姉ちゃん。中々いい体してるじゃねぇか。俺と──」


ドカッ!!


お酒を両手に持っていて手が出せない事をいい事に、私の体をベタベタ触る気色の悪い男は回し蹴りで撃退です。


「バカな奴だなぁ、マリーちゃんは()()ご令嬢なのに……」

「ダンさん、()令嬢です」


私の体を触って来た男は壁に激突して気を失っております。

邪魔なので外に捨てときましょう。


「マリー!!!なに油売ってんだ!!?」


地下へ続く階段から顔を出した、ゴリラみたいな方は私の上司。通称ゴリさんです。


「油じゃなく、お酒を売っておりますが?」

「御託はいい!!仕事だ仕事!!」


襟元を掴まれ引きずられながら、地下へと連れて行かれそうですが、私はそれよりも大事な事があります。


「女将さん。お給金を下さい」


タダ働きなんて言語道断。貰うものはちゃんと頂きます。


「はいよ!また頼むね!!」

「はい。毎度ありがとうございます」


深々お辞儀をし、地下へと向かいます。


「……お前は本当、しっかりしてるよな」


「当たり前です。人間生きていく為には、お金次第です。お金は裏切りませんからね」


ゴリさんは飽きれながらも先を急いでます。どうやら、緊急みたいですね。


「さて、本日の任務だが……」

「何でしょう?」

「……幽霊退治だ」

「は?」


このゴリラは何故、勿体ぶったんですか?


「……それ、私じゃなくても良いんじゃないんですか?何故私なんです?」

「他の奴は、白旗を振りやがった。残すはお前だけだ」


皆さん割と怖がりなんですね。そんなものを信じるのは、おケツの青い子供だけだと思っていました。


「分かりました。但し条件があります」


「……分かってる。特別手当を出す」


流石ゴリさん。よく分かっていますね。


「ありがとうございます。それでは、大まかな情報をお願いします」

「お前は、金が絡むと動くんだから……。まあ、いい。ブラッド侯爵家分かるか?」


ああ、何年か前に奥様と使用人が惨殺されたお屋敷ですね。

犯人はブラッド侯爵だと言われておりましたが、そのブラッド侯爵も数日後に変死体で見つかり、犯人は分からずじまいの未解決事件でしたね。


「その屋敷から人の声がするらしいんだ」

「どうせ、そこら辺のゴロツキが住み着いたんじゃないんですか?」


手入れされていない屋敷でも、雨風は凌げますからね。


「俺もそう思ったんだが、どうもゴロツキじゃないみてぇだ。ルイスの奴に下見を頼んだんだが、あいつ腰抜かして動けなくなってな。たまたま通りかかった奴に助けられたんだ」


ルイスさん、腰抜けでしたか。


「……ルイス曰く、髪の長い女がいたとか……」

「不法侵入者ですね。しょっぴいて来ます」


今は使われていない屋敷とは言え、他人の所有物に無断で入り込むのはいけません。


「……本当にお前は……たまに違う意味で心配になるぞ俺は……」


ゴリさんが頭を抱えていますが、それはいつもの事なので放置です。


「では、私は行ってまいります」

「ああ、気をつけろよ」


ゴリさんに挨拶をし、幽霊屋敷へと向かいます。




本日のお給金……食堂の配膳900ピール


借金返済まで残り5億7千999万9100ピール


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