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拾い者

ある日、城の庭を掃除していると、上から人が落ちてまいりました。


本日の天気は晴天の予定ですが、人が降ってくるとは思いませんでしたね。

まあ、どちらにせよ邪魔なので、捨てときますか。


「よいしょっ」と襟元を掴みズルズル引きずりながら、門のところまで運ぼうと思いましたが──


「おや?」


この方、怪我をしている様です。服に血が滲んでおります。


──これは、面倒事の予感です。


流石に怪我している人間を捨てることは出来ませんからね。


──仕方ありません。門番の方に引渡しますか。


「……ッつ……」


目が覚めたようですね。

……引き渡すまで気を失っていて欲しかったんですが。


「……あれ、君、殿下の婚約者でしょ?……なんでこんな所に?」


ピタッと一瞬で動きが止まりました。


殿下の婚約者役をやり終えた、次の日。城中では殿下の婚約者の話で持ち切りでした。

しかし殿下は相手の名を濁したらしく、色々な憶測が飛び交っておりました。「隣国の麗しい王女様」と言う話から始まり「町娘と禁断の恋」、更には「団長様と秘密の花園」や「オスカー様といけない執務」などと、殿方同士の妄想が一部の侍女の間で大流行りです。


因みに、オスカー様とは宰相様のご子息で、今は殿下の侍従としてお側におられます。

殿下が国王を受け継いだら、オスカー様が宰相様になられる予定です。


……で、何故この方は()()婚約者だったと知っているのでしょうか?


──これは、尋問ですね。


「……え?なに?」


(ここ)では、誰が聞いてるか分かりませんし、怪我をしている方を手当せずに尋問は出来ませんので、自室へと連れ込みましょう。


「うわっ!!?」


痛みに蹲っているこの方を担ぎ上げ、自室へと向かいます。


殿方を部屋に招くのは、あまり宜しくありませんが、この場合は仕方ありません。


さあ、行きましょうか?



◇◇◇



自室へ戻ると、早速傷の手当です。

ちゃんと消毒しないと化膿して後々大変なことになります。


しかしこの方、頑なに服を脱がないのです。


「……いい加減にしてくれませんか?服を脱いで頂かないと手当が出来ません」


「……君の手当は必要ないよ。……助けてくれたことには感謝してるけど」


面倒臭い方ですね。

人の親切は受け取るのが礼儀ですよ。そんな事ルイスさんでも知っております。


「……分かりました。そこまで言うなら、仕方ありません」


「えっ?ちょっ……。うわっ!!!」


埒が明かないので、力ずくで服を剥ぎました。

まあ、剥ぐと言うよりは破り捨てたが正しいかもしれませんが、血で汚れていたのでどうせ、処分品でしょう。


──この傷は、銃弾ですね。


幸い、弾は貫通されており体内には残っていない様子。


それにしても、運が良かったですね。もう少しズレていたら臓物がやられていたかもしれまんよ?


「はい、出来ました。でも、これは応急処置です。後でちゃんと医局へ行ってくださいね」


「……ありがと……」


ようやく、素直になりましたね。

さて、素直になったところで尋問開始といきますか。


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