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騎士団寮

──さて、ここまで来ましたが、どうしましょう……


私は騎士団寮の前までやって参りました。

しかし、女の私はこれ以上足を踏み入れる事を許されておりません。


──困りましたね。


「その後ろ姿はマリアンネか?」


おや、そう言う貴方は第一騎士団団長のフリード様じゃないですか。


フリード様は大人の色気を放つダンディなおじ様です。

この歳まで騎士命で浮いた話は一度も聞いたことがない硬派な方で、侍女の間でも一、二位を争う程の人気ぶりです。


そのフリード様が、数人の騎士を連れて立っておりました。


「すみません、フリード様。どうも、殿下が騎士団寮に潜伏している様でして。至急殿下にお会いしたいと言う方がお待ちしているので、どうしたものかと……」


「そうか。それは、難儀だな……。俺が殿下を呼んで来よう」


あからさまに困った様子で言うと、目論見通り殿下を連れて来てくれるようです。


やはりフリード様はお優しい方ですね。

いい人過ぎて女性に騙されないか心配です。


「──マリアンネ、連れてきたぞ」


「ちょっと!!フリード!!私を誰だと思ってんの!?」


第一王子様ですね。


フリード様は暴れる殿下を担いでやって参りました。

さすが、団長様です。殿下が暴れてもビクともしません。


「……殿下、ようやく見つけましたよ。まったく手間ばかりかけて」


さあ、早く立派な殿方になる為の階段へ参りましょう!!


「あら、マリーじゃない!!丁度いいわ!!私の婚約者になって頂戴!!」


……おかしな事を言い出しましたね。

寝言は寝てから言ってもらえます?

こう見えて、暇ではないんです。


「そんな戯言を聞いている暇はないんです。さあ、婚約者様の元へ参りますよ」


「嫌よ!!なんで私があんな女と結婚しなきゃなんないのよ!!」


おや?やはり、男色でしたか?

しかし、男性同士では子供はできないのですよ。

ここは子孫繁栄の為、女性で我慢して下さい。


「マリアンネ!!月のお給金倍出すわ!!私の婚約者役でいいからやって頂戴!!」


「無理です」


私がお給金を出せば動く簡単な女に見えますか?

これでも、できる仕事と出来ない仕事判別してからお答えしているのです。

そして、只今の殿下の依頼は当然出来ません。

いくら倍額出されても、無理ですね。

何故、わざわざ面倒事に首を突っ込まなければいけないのでしょうかね。


「じゃあ、3倍!!いや、5倍出すわ!!」


……5倍……


「お願いよ。私を助けると思って……」


……5倍。それだけあれば、脳筋夫婦が作った借金四分の一は返せそうですね……


「お、おい。マリアンネ、もしかして殿下の頼みを聞くつもりか!?」


「フリード!!黙っててちょうだい!!私の一生がかかってるのよ!?」


殿下の一生より、私の老後の方が大事なんですが。


「分かったわ!!6倍出しましょう!!」


「引き受けましょう!!」


「マリアンネ!?本気か!?」


月のお給金6倍ですよ!?

一回に6回分のお給金が頂けるのですよ!?

高給取りの団長様には分からないかもしれませんが、これは破格です。

多少の面倒事は目を瞑りましょう。


「交渉成立ね。それじゃあ、ドレスに着替えてちょうだい」


お給料分しっかり働くがモットーですので、乗り気ではありませんが、久しぶりに令嬢になりますか。


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