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城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?  作者: 甘寧
墓荒らし

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依頼

暫くすると依頼主の元へ行っていたゴリさんが戻ってきました。

私の顔を見るなり「なんだ、マリー来てたのか」と驚いておりましたが、来ては行けないんでしょうか?

一応便利屋に席を置いてあるはずですよ?


私が唸っていると「冗談だ」と笑顔で私の頭を撫でながら仰いました。


そして依頼の件ですが、やはり魔物退治でした。

実はこの国にはの腐蝕の森と呼ばれる森があり、その森は瘴気が発生しており人は当然、獣も近寄らず森に生息しているのは魔物だけ。と言う噂があるのです。

誰も森に入ったことが無いので真相は分かりませんが、魔物退治の依頼が来るということは、ただの噂話では無さそうです。


ゴリさんがその依頼主の方から聞いてきた情報によると、最近魔物の目撃が相次ぎ襲われ怪我人も出ているらしく、困って便利屋(うち)に来たと言う事らしいです。


「腐蝕の森は僕らじゃ立ち入り出来ないけど、どうすんのさ?」


ティムさんの言う通りです。

普通の人間、いえ、例え超人だろうと腐蝕の森に足を踏み入れる事は出来ないはずです。


「腐蝕の森には立ち入らん。出てきた奴を打つ。……森から出ているのは、どうもフェンリルらしい」


フェンリルですか?


フェンリルは一見すると狼と見間違えますが、攻撃力、大きさ、瞬発力全てが狼以上。


「ちょいまち、フェンリルは賢い魔物やで?そんな奴がわざわざ森を出るんか?」


「あぁ、何か理由がありそうだ」


ふむ。クルトさんが仰ることは正しいですね。

フェンリルは滅多に人目には出てきません。

ゴリさんもそこは分かってるようです。


──とりあえず、森に行くしかありませんね。


そしてゴリさんの指示により、ヤンさん、ジェムさん、クルトさん、私の四人が魔物調査へ。

他の皆さんは並行してアンデッド調査です。



◇◇◇



腐蝕の森に到着した私達は、遠目から森を観察しています。

しかし森は静まり返り、フェンリルの姿など見当たりません。


「…………」


『まあ、すぐに出て来るとは思っていない。しばらく待機だ』とヤンさんが一服しながら言われました。


「僕にも分けてくれる?」


クルトさんもヤンさんから一本貰って暫し休憩です。


シーーーーン…………


長い沈黙が訪れます。


──ここにルイスさんがいれば、こんな沈黙耐えられないでしょうね。


「ふふ」と思わず笑みがこぼれました。


「何や?なんかおもろい事があったん?」


「いえ、ここにルイスさんがいたら煩そうだなと思っただけです」


急に笑いだした私に、クルトさんが怪訝な顔で尋ねてきたので、正直に伝えました。

すると「あぁ、確かに」とクルトさんとジェムさんが共感していました。

その勢いで暫くはルイスさんの話で持ち切りになり、先程の沈黙が嘘のようです。

「そう言えば、この間ルイスが……」とジェムさんが喋りだした所で、ヤンさんがジェムさんの口を抑えました。


「…………」


「ヤンさんが『来る』と仰っています!!」


バッ!!と一斉に森の方を見ると、何やら唸り声が聞こえています。

そして、白い大きな獣の姿が……


──二頭?……いえ、三頭ですか。


ウゥゥゥゥ………


唸り涎を垂らしながら森の外へ出てきます。

流石はフェンリル。大きさもさることながら、威圧感が凄まじいです。


「ほぉ……こりゃ中々やね」


「そんな呑気な事言っている場合ではありませんよ。──行きます!!」


呑気に顎に手をやり仰っているクルトさんを急かし、先に飛びかかったヤンさんとジェムさんの後を追います。


「マリーちゃんはせっかちやなぁ」


クルトさんは文句を言いながらも、私の後について来くるのを横目で確認してから、スピードを上げフェンリルの元へ急ぎました。

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