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城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?  作者: 甘寧
墓荒らし

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122/176

廻者

あれからオスカー様に怪しい人物三名を教えていただきました。


まずは、料理人見習いのジャックさん。

料理人見習いという事は、エリック様の部下に当たる方ですね。


次に、侍女のファニーさん。

初めて聞くお名前です。侍女は多いくいるので、一々名を覚えておりません。


最後は庭師のサイモンさん。

この方は長年城の庭師をしているトムさんの弟子の様で、最近はトムさんの合格を得て一人で任されるようになった様です。


──さて、どなたが教会の者でしょうか。


とりあえず、調べやすい侍女のファニーさんから調べる事にしましょう。


私はテレザ様の元へ行き、ファニーさんの事を聞きました。


「ファニー?珍しいわね、貴方が他人に興味を持つなんて」


テレザ様でも、この事は内密です。

殿下に口煩く言われました「絶対に他人に知られないように!!」と。


「……ある男性からファニーさんの事を聞かれたのですが、私はファニーさんの事を知らないので」


「あら、その方はファニー目当てなのね?まあ、あの子可愛らしくて人気があるものね」


なるほど、ファニーさんは美丈夫なんですね。


「でも、ごめんなさいね。個人情報はいくらマリーでも教えられないの」


テレザ様は頬に手を当て、困ったように仰いました。

まあそうだと思っておりました。

簡単に個人情報が手に入ったら、それはそれで問題です。

でもファニーさんの容姿は教えていただきました。

赤茶色の髪で、瞳はグリーン。

体型はスリム体型で、男性に人気があり侍女ランキング1、2位を常に争っている方らしいです。


容姿は分かりました。次に行きましょう。


「え?ファニーの噂?」


次に訪ねたのは、侍女仲間のユタさんとローザさんです。


「ええ、小さな事でも構いません。何かご存じないですか?」


「そうねぇ……」


ユタさんとローザさんは互いを見ながら、何かあるか考えているようです。


「あっ!!そういえば、ほら、あの、庭師の奴とできてるって噂あるじゃない」


「あぁ~そういえばそうね。あの子顔はいいから狙ってる男共が嘆いていたわね」


なんと!!

庭師と言うと、サイモンさんの事ですね。

なるほど、ファニーさんとサイモンさんは繋がりありそうですね。

となると、疑わしいのはこの二人になるのですが……


──事実確認が必要ですね。


「ありがとうございました」


「こんな事でいいの?」


「てか、なんでファニーの事調べてるのよ?」


お礼を伝え次の行程に移る為、その場を後にしようとしましたがユタさんとローザさんに捕まり根掘り葉掘り聞かれることになりました

その都度「ある男性に頼まれた」とだけ伝え足早にその場を去りました。


そして、中庭を横切ろうと足を踏み入れた所で、何やら話し声が聞こえてきました。

その話し声はなにやら揉めているようです。


「離してください!!」


「いいじゃないか。俺ら付き合ってるって噂されてるみたいだし?」


「そんな噂知りません!!」


そっと覗いてみると、侍女の格好をした女性と土で汚れた男性。

侍女の方の髪色は赤茶色で、華奢な美人。


──十中八九ファニーさんとサイモンさんですね。


しかし、どうも聞いていた話とは少々違うようです。

サイモンさんが無理やり迫っている様に見えますし、ファニーさんはどちらかというとサイモンさんを毛嫌いしている様子。


「いい加減にして下さい!!私は貴方の事なんて知りません!!」


「まぁそう言うなよ。俺と一緒になれば侍女の仕事なんてしなくもいいんだぜ?」


「結構です!!」


「そんなこと言っていいのか?俺はお前とは立場が違うんだよ。俺は陛下に頼まれて来てるんだからな」


クズの発言ですね。

庭師の分際で陛下の名を出すとは……

これは、殿下に報告しておきましょう。


そんなことを思っていると、サイモンさんは嫌がるファニーさんを無理やりどこかへ連れて行こうとしました。


「お待ちなさい!!」


これはマズいと思ったら、無意識に体が動き声を掛けてしまいました。


──泣いている女性を見過ごせるわけありませんからね。


「……なんだ、お前は?」


「私は、そこのファニーさんに用事があるのです。手を放していただけますか?」


「それは残念だな。俺が先約だ」


サイモンさんはファニーさんの腕をしっかり掴み離そうとはしません。

見るとファニーさんは怯えて震えています。

穏便にすましたかったのですが、無理ようです……


私がスッと腰を低くして、サイモンさんに飛び掛かろうとした、その時──


「待ちなさい」

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