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城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?  作者: 甘寧
グロッサ国

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街外れの屋敷

「ヤン、ジェム!!」


ゴリさんのお兄様が潜伏しているとみられる屋敷に着き、先に到着しているヤンさんとジェムさんの元へ。


「……兄貴と見張ってたけど、人どころか獣の気配すらないんだけど、本当にいんの?」


確かに、この屋敷からは人の気配は感じられませんね。

ですが、ゴリさんは「いる」と一言。


仕方ないので、屋敷の中へ踏み込みます。

扉を開けると中は蜘蛛の巣や埃まみれで、所々朽ちています。


恐る恐る中に足を踏み入れますが、歩く度に床が軋む音が鳴っています。


──いつ床が抜けることやら……


ゴリさんは一階の奥にある部屋の前で足を止めると、いきなりその扉を足で蹴破りました。


あまりの出来事に目が点になっている私達を尻目に「行くぞ」と先に進んで行くゴリさんの後を慌てて追います。


部屋の中は相変わらず人の気配もなく、荒れ放題です。

それでもゴリさんは何も言わず、何か探している様です。


「……あった」


ゴリさんの見つめる先には、床に扉が取り付けられていました。


兄貴(あいつ)はこの先だ」


扉に手をかけ、ゆっくり扉を開くと地下に続く階段が現れました。

こうなると、私達もお兄様が潜伏していると確信します。


そして地下へと続く階段に一歩足を踏み入れた、その時……


「待ってくれ!!」


声がかかり後ろを振り向くと、そこには剣を構えたユリウス様とティムさん。


「お前ら!?」


「──……ごめんねぇ。何度も止めたんだけど、この王子言う事聞かなくてさぁ。仕方なく、僕も付いて来たんだけど」


驚く私達にティムさんが経緯を説明してくれました。

呆れた様子のティムさんに反して、ユリウス様の方は既に戦闘態勢です。


「──……はぁぁ~。ここまで来て帰す訳にはいかんだろ……」


説明を聞いたゴリさんは大きな溜息を吐くと、渋々承諾しました。


こうして二人加わった所で、気を取り直し階段を降りていきます。


降りていった先は地下通路になっておましたが、所々に灯りが設置してあり何の問題もなく先に進めます。

廃屋に灯りを設置しているという事は、これは確実に人が存在していると証拠になります。


「……あそこだ」


ゴリさんが仰る先にはドアがあり、隙間から灯りが溢れていました。


「……行くぞ」


ゴリさんの背を見つめながら、キュッと気を引き締め後を追います。


そして、ドアに手を掛けゆっくり開けました──……


キーーン!!!


開けたと同時に剣が振り下ろされましたが、ゴリさんが受け止めてくれました。

すぐさま戦闘態勢を取りゴリさんに加勢しようとしましたが「待て!!」とゴリさんに止められました。


よく見ると、ゴリさんに剣を向けたのは偽ゲルダさんだった方。


そして、驚くべきはこの部屋の広さです。

騎士団の演習場並の広さを有しておりました。

その広々とした空間で呑気に椅子に掛けている男性が一人。


──あの方が、ゴリさんのお兄様?


思っていた人物とは、少々違いました。

ゴリさんのように褐色でガタイは良くなく、色白で細く筋肉がある様には見えません。


顔もゴリラではなく、どちらかと言えば狸?です。


「やぁ、ルッツ。久しぶりだね。元気そうでなによりだよ」


にこやかにお兄様がゴリさん向けて声をかけました。


──あっ、笑い顔は似てます。


「兄さんも元気そうだな」


偽ゲルダさんと鍔迫り合いになりながらも、返事を返しておりました。


「マリア。戻っといで」


偽ゲルダさんはどうやらマリアさんと仰るようで、お兄様が声を掛けるとすぐにゴリさんに向けられていた剣を収め、お兄様の元へ。


「──……兄さん、教えてくれ。どうして、俺を狙う?」


ゴリさんも剣を収め、お兄様に問いかけました。


「どうして?答えは簡単だよ、ルッツ。君は生まれた時から僕のものなんだ。それなのに、君は僕の元から離れていったよね?」


お兄様の口から出た答えはとんでもないものでした。

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