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剣士

──どうやら、あちらは終わったようですね。


私達は相変わらずドゥオさん一人に苦戦しておりますが……


「──あちゃ~、トゥオルが殺られたみたいやね……あんたら、強いな」


ドゥオさんが薄ら笑いを浮かべながら私達を賞賛しました。

まあ、褒められてもあまり嬉しくありませんが。


ドゥオさんは私達5人を相手にしてもまだまだ余裕の表情。

ユリウス様が神速で斬りかかっても、躱されてしまいます。

切り傷だらけの私達に比べ、ドゥオさんは無傷。

掠りもしません。


──これがNO.2の強さですか……


こんな所で苦戦していたら、この先は到底太刀打ち出来ません。


──……無給では割に合わないですね……


しかし、言ってしまったものは仕方ないので無給でやりますが、こんな事二度目は御免です。


「……ちょっと、ゴリさん。どうすんのさ。掠りもしないよ?」


「なぁに、奴だって人間だ。どっかに隙ぐらい出来るだろ。そこを狙う」


「また、無茶苦茶な」


ティムさんがゴリさんの傍により小声で尋ねましたが、全く役に立たないアドバイスが返ってきました。


けれどゴリさんが仰る通り隙をつくしか勝利の道はありません。


「……俺が囮になる。お前ら隙をつけ」


ゴリさんが私達を背にして仰りました。


──……正直、ゴリさん一人囮になったところで隙は出来ないと思いますが?


「どうしたん?攻撃、止まっとるよ?もっと楽しましてくれる思ったんやけど?」


相変わらず余裕のドゥオさんは、階段の手すりに座りながら私達を見下ろし、つまらなそうにしております。


「考えてる暇はない!!行くぞ!!」


ゴリさんは囮となる為、一人ドゥオさんに斬りかかりました。


キーーン!!!


「へぇ、ルッツさん思ったより剣の腕はいいみたいやね」


「褒めても何も出ねぇぞ」


鍔迫り合いになりながも、お二人は笑顔です。

それを見たティムさんさんが「仕方ない、行くよ!!」と私とユリウス様、ヤンさんを急かしました。


懸命にドゥオさんの隙を見つけようとしますが、まったく隙がありません。

そうこうしている内にゴリさんの傷が増えていくと共に息が上がっています。


──ゴリさん、体力の限界が近いですかね。


体力には自信のあるゴリさんですが、こうも無闇に動き回れば体力の消費は激しいはずです。


──どうにかあの方の剣を捉えられれば……


もう少し動体視力を鍛えておけば良かったと後悔しますが、後悔先に立たずです。


「キュルルル!!!」


「この鳴き声……!!」


開かれた扉の外を見ると、ルーナが物凄い勢いで飛んでくるのが見えます。


「ルーナ!!いけません!!」


私の制止も聞かず、ルーナはドゥオさん目掛けて一直線です。


「うおっ!!?」


ドゥオさんを一人で相手していたゴリさんは、ルーナの羽に飛ばされドゥオさんから離れました。


そして、ルーナはドゥオさんに鋭い爪で攻撃し始めました。


「何やのコイツ!?あんたらのペットか!?」


まだ子供といえ、ルーナは聖獣グリフォンです。

その名に恥じぬ攻撃力で、ドゥオさんを追い詰めます。


「たかがグリフォンや!!そんなモンに負けてたまるか!!」


ドゥオさんの攻撃力も上がりました。


「今だよ!!ルーナがアイツを攻撃してる所に便乗するんだ!!」


ティムさんの一声で、一斉に飛びかかりました。


「ははっ!!聖獣に助けてもらわんと、僕に勝てんの!?自分らほんま、卑怯やな!!」


ピタッと、私の動きが止まりました。


「マリー!?どうしたの!?」


ティムさんが、急に立ち止まった私に問いかけてきました。


「……確かにドゥオさんの言うことは正しいです。この戦い方は卑怯です。これで勝っても負けたのと同じです」


「はぁぁぁ!?何言ってんの!?この際、卑怯とか関係なくない!?」


いえ、父様が仰ってました。

「戦いの場で卑怯な事をする奴は弱い奴だ」と。

私は弱い人間になりたくありません。


胸を張って勝利を掲げたいのです。


「…………」


「『俺も同感だ』と仰っておりますよ」


流石ヤンさん。戦いを知っています。

男の中の男です。


「君ら戦闘馬鹿に合わせてる場合じゃないんだって!!」


ティムさんが「早く行くよ!!」と急かしますが、私とヤンさんは動きません。

その様子を見たティムさんは痺れを切らし、ユリウス様と共にドゥオさんに斬りかかりました。


「ルーナ!!もうちょっと頑張って!!」


「キュッ!!」


ティムさんはルーナの攻撃に便乗してドゥオさんを殺る計算の様ですが……


「僕がこの程度で殺られると思う?」


ドゥオさんがニヤッと微笑むと、剣を構えました。


「『疾風雷々』」


その瞬間、物凄い風が吹いたかと思ったらティムさん、ユリウス様、ルーナが血を流し床に倒れていました。


「ルーナ!!!」


すぐさまルーナの元に駆け付け、息があるか確認しました。

傷は深いですが、息はあります。


同様にティムさん、ユリウス様も確認しますが、お二人とも生きています。


「何や、息があるん?案外しぶといなぁ」


クスクス笑いながらこちらを見てくるドゥオさんに、怒りが湧き出てくるのが分かります。


──絶対、許しません!!


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