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プロローグ

簡潔に書きたかったが思いの外長くなりましたので連載にしました。前編の第一章まではできましたので5日間ほど毎日12時に更新されます。第二章は作成中です。できるだけ速く更新します。

よろしくお願いします。

50年前、この世界には魔神という破壊者の存在に危機に晒されていた。如何に現れた魔神。突然な出来事に世界中の人々が何もできていなかった。この世界はもう終わった。当時の人々は、魔神の恐ろしい姿を目の当たりにしたときそう思っていた。が、それもただ一瞬だった。突然に現れた魔神、その姿を地上に見せるのはたった一瞬、魔神は現れたときのように突然に姿を消した。世界中を巻き込んだ悪夢、あるいは幻像。人々はそう思い込むことにした。一瞬でも感じたその恐怖を誤魔化すために。

そう。見たものが幻だと誤魔化しても、心が感じた恐怖は本物だった。

その出来事により、世界中の国々にさまざまな仮説や都市伝説が生まれた。その中に、ライアン王国にもこんな都市伝説があった。魔神を倒した、”三人の剣士”。53年前に王国が送り出した凄腕の剣士たち。だが、その”三人の剣士”が本当に魔神を倒したか、誰もが知ることが出来なかった。なぜなら、その剣士たちを送り出してから、三人のうちの一人もライアン王国に帰る者がいなかった。


「そもそも、本当に彼らが存在してたのか?」

「分からないから都市伝説って言うんじゃないか。王子よ」


ライアン王国、王城にある近衛騎士の訓練場、第一王子と彼の剣術の師であり、幼馴染でもある青年が雑談をしていた。内容は例の都市伝説であった。


「そうだけど、火のないところに煙は立たないというし、でも記録が何も残っていないのは事実だし…でも、魔神教団っていうテロ組織の記録があるんだよな…」

「考えてもしょうがないと思うんだがな...」

「でしたら、調べてみてはどうだい?」

「「…え?り、リーシャ殿!?何でここに!?」」


王子と師の青年がいきなり会話に加えた声に驚き、そしての声の主を見てもっと驚いた。そこには年配の女性が立っていた。穏やかな雰囲気を出していたその老婆は、実は王国の騎士団の前団長、リーシャ・コリンズであった。


「ほっほっほ。ただの散歩よ。ついでに王子と坊ちゃんの稽古の具合はどうかなってみにきたんだ」

「いや~。これはですね~、訓練の合間の休憩というか…」

「そうね。休むのは大事だね」

「はい!そうです!決してサボりではありません!」


そう言って、三人は笑っていた。男子二人はぎこちなく。


「さて、先ほどの話ですが」

「先ほどというのは、”三人の剣士”の話ですか?」

「そうそれね」

「調べてみてと仰いましたが、一体どうすれば?」

「そりゃ簡単さ。その剣士たちを知っている者に聞けばいいさ」

「「いるんですかそんな人!?」」

「もちろん。あの人たちも、そろそろ昔話をしたいと思うところでしょう」


鼻歌をかきながら、前団長リーシャはすらすらとどこから出したか紙とペンで書き始めた。王子と師の青年はただそれを開いた口で見ていた。間もなく彼女は書き終わって紙を「はい」と王子たちに渡した。内容を見た王子たちはさらに目を開いた。


「…えっ?」

「では。頑張ってね若者たち」

「えええええええええええええええええええええええええええええっ!?」



王子たちがリーシャ前団長からもらった紙に従い、王宮の外にある王家の別荘にたどり着いた。二人は玄関の前に着いたものの、なかなか入るにはできなかった。気が重いである。


「そんじゃ、王子。俺はこれで、」

「待てよ。師よ、友よ、生きるのも死ぬのも一緒だと誓ったではないか」

「そんな気持ち悪い誓いを立てた覚えはねえが、そもそもわたしのような身分の人間が入っていい場所ではありませんよね」

「中に身内がいるのに何を言っている。下手な敬語で喋っても誤魔化さんぞ」

「貴方たち、何をしているのです?正直言って邪魔です」

「「どわあぁ!!」」


見苦しい戦いの真っ最中の男子二人が、後ろからの冷たい女の子の声に驚かされた。女の子、侍女である彼女はそんな男子を無視して扉を開けた。


「「ちょっとまっ…!」」

「ただいま戻りました」


彼女に釣られて、男子二人も結局中に入ってしまって、そこには厳しそうな目つきの老婆侍女が出迎えた。老侍女の名はロシェーン・カロル。前代伯爵夫人であり、王宮の元侍女長であり、若侍女の祖母であった。


「御使いご苦労。うむ。これは王子と公爵の坊ちゃま。御祖父母をお見えにいらっしゃったのですか?三人ともお喜びになるのでしょう。どうぞ、こちらへ」

「「あ、ハイ」」


そう言われて、堪忍した二人はとぼとぼと彼女についていった。たどり着いた部屋には、品高きの老婆が二人と同じく品高きに見えたがどこか近所のやさしいおじいさんの雰囲気を出す爺が一人いる。二人の男子を見る彼らは目を輝かせて二人に近寄った。


「王子!!やっとおじいちゃんを会いに来てくれたのかい?おじいちゃんうれしい!」

「しばらく見ないうちにまた大きくなったわね~。これ、顔をおばあさんによく見せてみ」


王子の方にべたべたにしたのは前国王、パトリック・ライアンと前王妃、エームル・ライアン。


「二人とも落ち着いて。王子が困っているのですよ。それよりあんた。貴方たちはなぜこんなところに。稽古の時間のはずでしょう?」


師の青年に問うたのは彼の祖母である元王国議会の会長にして前公爵閣下、ショーナ・クイーン。


「えっと…それはですね…」

「お、私たちは…!お爺上たちに聞きたいことがあって参りました」


答えたのは御祖父母の甘やかしから開放された王子であった。騒がしている彼らの後ろに侍女二人がアフターヌーンティーの準備をさくさくとこなしていた。


「そうかい、そうかい。ちょうどお茶菓子ができたし。さあさあ、二人とも座りなさいな」


そして五人は丸いテーブルを囲んで座った。侍女二人はそれぞれ、若いのは王子たちの後ろに、老婆のはその祖父母、前国王たちの後ろに立っている。


「さて、聞きたいこととはいったいなんだい?おじいちゃん、全~部答えますよ」

「は、はい。実は…“三人の剣士”について...!」


そう言った瞬間、年配組の雰囲気が変わった。若い侍女含め、若者組は驚きながらも息を呑むしかできなかった。


「王子。どこからその話を?」

「…前騎士団長、リーシャ殿からです」

「そうかい。あの人が…」


リーシャの名前聞いて、また険しい雰囲気が切ない雰囲気に変わった。師の青年は恐る恐る聞いた。


「…やはり、王家としては他言にできない話でしょうか...?」

「まあ、そうも言えるな」


若者組はその時点で聞くのを諦めようとしたが、次に前国王から聞いた理由は以外なものであった。


「何せその三人はそれぞれ、ここにいる美女三人の初恋相手ですからな」

「「「…え?」」」


そう言って前国王は彼の周りにいる老婆3人を指して、若者組はそれを聞いて呆気を取られた。


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