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お姉さまの言うとおり

電子コミックアプリ『サンデーうぇぶり』でコミカライズ連載中。

コミカライズ1~2巻発売中です。

 とある日の軍場家。

 昼から酒瓶片手に飲んだくれている魔王六将に、俺は絡まれていた。


「どこ行くんじゃあ、アサヒー! わらわにお酌せんかぁー!」

 キルマリアが背中に乗ってくる。重い。

 どことは言わないが、めちゃくちゃ乗っかっている。

「だから仕事だって! クエスト! うおっ、酒くさっ!」

「わらわと仕事、どっちが大事なんじゃー」

 メンヘラ女みたいなウザ絡みをしてくる。


 マヤ姉が俺におぶさっているキルマリアを引きずり下ろす。

「きゃん」

「萌え声を出すな。昼から酒浸りとは、このダメ人間め」

「わらわ人間じゃないもーん! 魔族じゃもーん!」

 反論の仕方が子供だ。

 酔っ払っているからやけに上機嫌である。


「マヤもどうじゃー? 一杯やらんかー?」

「私は未成年だ、生憎な」

 異世界に来ても、現実世界の法律を律儀に守る姉である。


 そういえばキルマリアって何歳なんだろうか。

 見た目的には、17歳のマヤ姉とさほど変わらないように見えるけれど。

 これで未成年飲酒だったら不良だ。

 …………いや、魔王軍幹部なんだから不良どころではなかった。


「私たちはクエスト依頼をこなしてくる。キルマリアは留守番を頼む」

「任せろー」

 家を出る俺とマヤ姉。

 キルマリアは玄関先で、酒瓶片手に手を振っている。


 俺たちは街中を並んで歩く。

「すっかりウチに居着くようになったな、キルマリアのヤツめ」

「貸し主さん、ミッドデイ卿だっけ? その人もまさか、悪霊の次に魔王軍幹部が住み着くようになったなんて思いもしてないだろうね…」

 今住んでいる建物は一戸建て賃貸で、所有者はミッドデイ卿という人だ。

 “家に棲み着いた悪霊を祓ってくれればタダで物件を貸してくれる”というクエストを達成し、今こうして住まわせてもらっている身なのだ、俺たち姉弟は。返す返すもありがたい話である。

 そういえば件のミッドデイ卿、まだ一度も会ったことがないのだが、どういう人なのだろう。


「今日はどんなクエストを?」

「えーと……トゥエルフスナイト平原の奥地に咲く、レアな植物の採取だって」

「アイテム探しか……手配モンスターを倒す方が楽なんだがな」

「そりゃマヤ姉はね。一撃だからね」

 クエスト内容が書かれた紙を見ていると、後ろから誰かが走ってくる気配を感じた。

「勇者さまー!」

 背筋に悪寒が走る。

「ハッ! この悪意なく悪口雑言を吐きそうなまったりボイスは…!」


 ソフィ=ピースフルであった。

 ピースフルなどと言う牧歌的な名に似合わず、色々と不幸を運んでくる女の子だ。

「やっぱりソフィ!」

「採取クエストに出掛けると聞きました! ええ、ターニャさんに! このソフィもぜひお供に!」


「ターニャ……あいつ、また余計なことを……」

 ソフィは冒険者ギルドの受付嬢であるターニャと最近仲が良いらしい。

 ターニャには駆け出しの頃から……いや今も駆け出しみたいなもんだけど……とにかく、世話になってきたから、あまりどうこう言いたくはないが、情報漏えいだけは勘弁してもらえませんかね!?


「いっつも俺につきまとって……」

「入手難度の高いアイテムなんだろう? 人手は多い方がいいんじゃないか」

 マヤ姉がそう提案する。


 マヤ姉にとってソフィは、朝陽信者なので信用に足る人物らしい。

 俺に味方する者は味方、敵対する者は抹殺対象。

 実にシンプルでわかりやすい。というか後半が怖え。

 

「お姉さまの言うとおりですよ、勇者様。それに私、アイテム探しは得意なんですよ?」

「そうなの?」

 アイテムを発見する探索スキルでも持っているのだろうか。

 プリーストらしからぬスキルではあるが。


 するとソフィはおもむろに、地面に杖を垂直に立てた。

 その杖がゆっくりと傾き、カランという音を立てて地面に転がる。

 杖の先端が向いた方向をソフィは指差し、こう言った。


「あっちです!」


「ヤマ勘じゃねーか!!」


 俺は全力でツッコミを入れた。

 やってることが鉛筆転がしレベルなんだが!?


「いえいえ! 私はいつもこうやって、勇者さまの行方を追っているんですよ?」

 ドヤ顔でそう言うソフィ。

「ほう、そうなのか」

「偶然の産物だよ! マヤ姉も真に受けないで!」


 俺は溜息をこぼす。

「まあでも、クエストの期限は今日一日だし、人手が多い方が助かるのも事実か……わかった、行こうソフィ」

「はい!」

 ソフィは満面の笑みである。

 トラブルさえ呼び込まなければ良い子ではあるのだ。うん。


 俺、マヤ姉、ソフィの3人は街を出て、目的地であるトゥエルフスナイト平原へ向かうのであった。

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