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姉ブリザード

電子コミックアプリ『サンデーうぇぶり』でコミカライズ連載中です。

同じく電子コミックアプリの『マンガワン』でも後追い連載が始まりました。


コミカライズ第2巻が11/12に発売されました。どうぞよろしくお願いします!

 俺の名は軍場朝陽いくさばあさひ

 元は普通の高校生だったが、色々あって今は異世界で冒険者をしている。

 メタいことを言うようだが、こういうあらすじは定期的に出しておかないとね。


 そして現在、俺は街近くの森でキノコ型モンスターと戦っている。

 オバケキノコ……幼稚園児くらいの大きさのキノコに手足が付いているモンスターだ。ドラ○エでもよく見たことがある類のヤツである。

「たああ!」

 オバケキノコの突進攻撃をかわし、剣を振るう。

 元がキノコだけあって、繊維に沿って縦に斬り付けるとキレイに真っ二つになった。


「ステータス!」

 俺はステータス画面を呼び出した。

「レベル20になった! 成長を確かに感じられるぜ!」

 レベルアップ時の掛け声ボイス的なものを発しながら、喜びに浸る。

 とてもオーガ級とは言えないパラメーターではあるが、ゴブリン級ないしナイト級くらいの強さにはなったのではないか。

 いや、ソロでワイバーンも撃破した経験があるんだ……もはや名実共にオーガ級になったのでは!?


 そんな風に調子ぶっこいていたら、突然地面が揺れ始めた。

「じ、地震か……!?」

 地震ならまだ良かった。

 地面が割れて地中から飛び出してきたモノは、巨大食人植物……通称マンイーターであった。


「前にみたことあるやつぅぅぅ!?」

 そう。ダンジョンで遭難したクラン”漆黒の旅団”(相変わらず恥ずかしい名前だ)とソフィを助けたときに遭遇した巨大モンスターである。

 マンイーターが捕食せんと、俺に迫ってくる。

 俺、そんなに美味しくないと思いますけど!?


 しかし、俺のピンチあるところに必ず現れる人物がいる。

「はっ!」

 木の上から俺のキノコ退治を見守っていたその人物が、マンイーター目掛けて滑空してくる。


「『姉ブリザード』!!」


 絶対零度の吹雪が、マンイーターを一瞬で氷漬けにする。

 彼女は俺の姉、軍場真夜いくさばまや

 元は普通の高校生だったが、色々あって今は異世界で無双をしている。

 メタいことを言うようだが、こういうあらすじは定期的に出しておかないとね(二度目)。


「朝陽を食べようとするとは巫山戯たヤツだ……朝陽を食べるのは私の役目だと言うのに」

「何言ってんの!?」

 ホントに何を言っているんだ、この肉食姉さん。


「ケガないか、朝陽」

「ケガはないけど……うう、寒ぅ! 寒すぎる!」

 姉ブリザードによって辺り一面猛吹雪になり、急に極寒の地と化す森。

 俺はあまりの寒さにガタガタと震えている。

 いかん、これは寝たら死ぬヤツかもしれない。


「! また地面が揺れ始めたな……」

 ゴゴゴと地鳴りがし、再び地面が揺れ始める。さっきのより大きい。

 大きいはずだ、今度はマンイーターが二体同時に出現した。

「二体出たぁぁぁ!」

「ふっ、問題ない!」

 マヤ姉が迎撃しようとする。


 しかしそのマヤ姉より早く、マンイーターに攻撃を浴びせる者がいた。

「凍えているのなら、わらわが温めてやろう」

「なに!?」


「『イグニート・ファイア』!!」


 地獄の業火が一瞬にしてマンイーターらを焼き尽くす。

 もう一人のワンターンキル姉さん、魔王六将キルマリアのご登場だ。

 魔王軍幹部なのにやたら俺たちと行動を共にする、もはやパーティーメンバーみたいな女帝だ。

 

 ん? というか後頭部がなんか熱いな……

「だあああ! 俺のフードが燃えてるじゃねえかー!!」

 キルマリアの炎魔法のとばっちりで、俺の服が燃えだした。

 俺は炎を消すため、地面をゴロゴロとローリングで転がりまくった。

 さっきまでの凍える寒さはどこへやらである。寒暖差で風邪引くわ!


「またお前か、キルマリア」

「カッカッカ。息災かのう、イクサバ姉弟」

「魔王六将とやらはどれだけヒマなんだ? 余計な手出しなどせずとも、この程度のモンスター片付けられたというのに」


 キルマリアがマヤ姉に向けてピースサインを見せる。

「? なんだそのピースは?」

「2体じゃ。わらわはマンイーターを2体殺った。マヤは1体……」

 キルマリアはニカッと笑った。

「カッカッカ! わらわの勝ちじゃな!」

 どうやら倒した数を競っているつもりらしい。

 マヤ姉のこめかみにピキッと血管が浮き出る。


「上等だ! 私はその上を行く!」

「カーッカッカ! 負けんぞー!」


 自然に優しくない姉さん方が、地形を変えるレベルで暴れ始める。

 地面はえぐれ、木々はなぎ倒され、モンスターや動物らの生態系も乱されていく。

「森を焦土にする気かぁー!? やめろっつーのぉぉぉ!!」



 俺の名は軍場朝陽いくさばあさひ

 元は普通の高校生だったが、色々あって今は異世界で冒険者をしている……と冒頭で述べたが、そこに”異世界最強のチート姉さんと魔王軍幹部のストッパー役もしている”と付け加えたい。

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