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もう一度聞くぞ、キルマリア

電子コミックアプリ『サンデーうぇぶり』でコミカライズ連載中です。

同じく電子コミックアプリの『マンガワン』でも後追い連載が始まりました。

「『姉ファイア』!」


「『クリムゾン・ブレイズ』!」


 単に炎魔法と呼ぶにはあまりにも強大な灼熱のカタマリが、空中でぶつかり合い弾ける。

 あまりの衝撃に大地は揺れ、放たれた熱線がわずかに生える木々を燃やす。

 

 魔法を放った二人が荒野に対峙する。

 真夜とキルマリアだ。


「この場所ならば存分にやりあえるじゃろ。のう、マヤ」

 街や自然に影響が出ないよう、二人は周囲に何もない荒れ地へと赴いていたようだ。

「考えを改める気はないか……キルマリア」

 真夜が静かに問い詰める。


「ない!!」


 否定の言葉と同時に、炎を纏ったキルマリアが真夜へと襲いかかる。

 迎え撃つ真夜も、魔法陣を展開する。

 第2ラウンドの始まりだ。


 普通のモンスターならば一撃で吹き飛ぶ威力のエネルギーが、宙で何十と相殺し合う。

 その光景に驚きを隠せなかったのは、真夜の方だ。


「!? 以前より強くなっている……?」

 本気でやり合うことで、キルマリアの力量が初対決の頃より上がっていることに気付く。

「カッカッカ! わらわは敗北を知り、強くなった!」

 火炎弾を絶え間なく射出する。

 さすがの真夜でも、反撃の糸口を見いだせず防戦一方だ。

「皮肉じゃな……マヤ、おぬしのおかげじゃ! 『イグニート・ファイア』!」

 炎を纏った波動砲を放つ。


 しかし、やられっぱなしの真夜ではなかった。

「だが、まだまだだ!」

 キルマリアの魔法を弾くと懐に潜り込み、得意の格闘技をキルマリアに見舞う。

「ぐっ!!」

 数十メートル吹っ飛ばされるキルマリア。


 なるほど、確かに魔法戦ならば差は縮まったのだろう。

 しかし真夜にはシンプルに”物理で殴る”戦い方もある。

 近接でも遠距離でも等しくチート……それが軍場真夜なのだ。


「ぬう……さすがはマヤじゃ。くく…嬉しくなるほど高い壁じゃ」

 強敵の強敵たるゆえんを目の当たりにし、怖れを抱くどころかほくそ笑む。

 戦闘狂キルマリアも、負けず劣らずチートな資質を持っている。


「もう一度聞くぞ、キルマリア」

「くどい!」

 互いに魔力を高め合う。


「ピーマンも残さず食べろ!」


「絶対いやじゃ!」


 どうやらこの二人、ピーマンのことで死闘を繰り広げていたらしい。

「あんな苦いモノ、わらわは絶対食べんぞ! アサヒにだけよそわんか!」

「タダメシ食らってる立場で、ワガママを言うんじゃない!!」


 恐ろしくどうでもいい理由での頂上決戦、第3ラウンドの始まりであった。





 今頃あの二人、ピーマンひとつで地形変えるレベルの戦いをしてるんだろうな。

 なんて自然に優しくない姉さん方だ。


 俺こと軍場朝陽いくさばあさひは、いつものように冒険者ギルドへと向かっていた。

 人外レベルの争いにはついていけない。俺は俺らしく、お使いクエストこなして日銭を稼ぐのみだ。


 冒険者ギルドの受付でターニャと話す。

「ターニャ、一人でサクッとこなせるレベルのクエスト、なんかない?」

「そっすね……キラービーのハチミツ集めが今はオススメっすね」

 所謂、ドロップアイテム収集のクエストだ。


 キラービーはその名の通り蜂だ。ただしサイズが子犬くらいあるが。

 雑魚敵の範疇なのだが、こちらの異世界で初めて遭遇したときは思わず腰が抜けてしまった。

 数センチレベルの蜂が教室に入ってきても大騒ぎになるのに、それが特大サイズときたら、そりゃそうなるよ。

 Fal○outシリーズのように、ドデカいサイズのゴ○ブリモンスターがいないことを祈るのみだ。そんなもんと遭遇したら号泣してしまう自信がある。


「納品数は……20個か。結構多いね」

「キラービー自体は弱いけど、長丁場になるから回復アイテムは多めに持ってった方がいいと思うっすよ。あ、あと毒もあるから毒消しも」

「荷物が多くなるなぁ……うーん、インベントリが圧迫される」

「インベン…え、なんすか?」

 ついゲーム用語を使ってしまった。

 すっかり日本でも浸透しましたよね、インベントリ。


「ならヒーラーがいればいいんじゃないっすかね」

「ヒーラーか……臨時で誰か雇おうかな」

 ゲームと同じく、フレンド以外と組むのが怖くて野良でパーティーを組んだことがないのだが、いざやってみれば案外楽しいものかもしれない。


「それならば私にお任せを!」


 後ろから、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 いかにも清楚癒やし枠めいたヒロインボイスをしているが、果たして。

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