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異世界ワンターンキル姉さん ~姉同伴の異世界生活はじめました~  作者: このえ
ブラコン姉さんは止まらない
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パーティー募集の掲示板

電子コミックアプリ『サンデーうぇぶり』でコミカライズ連載中です。

https://www.sunday-webry.com/detail.php?title_id=1021

「『ヒーラー急募』……『炎耐性のあるファイター求む』……『ピッキングスキル持ちのシーフ募集中』……『アットホームで笑顔が絶えないクランです』……」


 冒険者ギルドの施設内にある、とある掲示板に目を通す。

 前述のような内容の張り紙が、所狭しと張られていた。

 最後の記述の胡散臭さったらないな。


「パーティー募集の掲示板っすね」

「ターニャ」

 馴染みの受付嬢、ターニャが話しかけてきた。

 オタクに優しいギャルという、みんなの夢を体現しているような娘だ。

「アサヒくんはまだソロでやってるんすか?」

「いや、マヤ……あ、姉貴と二人」

 危うく、いつもの癖で”マヤ姉”と言ってしまうところだった。本人に言う分には何も抵抗はないが、第三者にマヤ姉呼びを知られるのはちょっと恥ずかしい。

「へえ~、お姉さんと! じゃあアサヒくんが前衛やって、お姉さんが後方支援って感じかぁ!」

 屈託のない笑顔を見せるターニャ。


 そう、ターニャ含め、他のみんなは俺が実力者だと思い込んでいるのだ。

 実際はマヤ姉が殲滅役で、俺は後方腕組み観戦役って感じなんですけどね……騙しているようで、少し胸が痛い。


 しかしパーティーか……と、再び掲示板に目を移す。

 ずっとマヤ姉と二人で行動していたから忘れていたけれど、冒険パーティーを組むというのも異世界ファンタジーものの醍醐味だ。

 みんなで旅して、寝食を共にして、思い出を作って、ラブロマンス的な展開もあったりして……。


「パーティーの組み方は自由だけど、基本は盾となるタンク、攻撃専門のアタッカー、回復役のヒーラー編成が鉄板っすね。あとはバフデバフかけられるサポート職とか、アイテム収集できるシーフとかをお好みで」

「へえ。MMORPGみたいだな、そういうの」

「エムエム……なんすか、それ?」

 ターニャが首を傾げる。それもそうだ。


「例えば、ジークフリートさん率いるクラン”バルムンク”!」

 ターニャが指を立て、解説に入る。

 ジークフリートと言えば、ひと月ほど前に魔王軍討伐の旅に出掛けた、王国内でも屈指の剣士である。華やかな壮行式で送り出されているところを、一度だけ遠目から見かけたことがある。見るからに強者感漂う冒険者だった。


 確か”竜狩りジークフリート”という、とてもとても厨二心を刺激する二つ名も持っていたはずだ。

 いいなぁ……竜狩り。俺もそういうの何か欲しい。

 現状では精々、スライムバスター朝陽かゴブリンスレイヤー朝陽くらいが関の山か……後者を名乗ったら、今だと著作権侵害に当たりそうで怖い。


 ターニャの解説に戻る。

「重戦士のゴードンさんは鉄壁の守りを誇るタンク。ソーサレスのミモザさんは回復も支援もどんと来いのヒーラー&バフデバフ係。エルフの弓使いシューレインさんが遠距離から、ジークフリートさんが近距離から攻撃する、遠近二段構えのアタッカー編成! バルムンクはバランスの取れた理想のパーティーなんすよ!」

 得意げにそう語るターニャ。ちょっと嫉妬心。

 誰にでも気さくで優しいギャルが、自分以外の人にも優しいときのこのモヤっちゃう感じ、分かります?


「へえ……パーティーで役割分担して戦うのって、やっぱいいなぁ」

 我がパーティーは基本、マヤ姉の一撃で終わるワンサイドゲームが多いので面白みに欠けるのだ。

 まあ生き死にに関わることだから、面白みより確実な勝利の方がもちろんいいんですけどね。はい。


 ふと、そこであることに気付く。

「そういえば、ジークフリートさんたちって今なにをしているんだ? 確か一ヶ月くらい前に魔王軍討伐に出て、割とすぐに撤退してきたみたいだけど……」

 遠征に出てからそう日を置かず、ボロボロの状態で帰還してきたバルムンクの姿に、当時街は騒ぎになったものだ。

 ターニャが先ほど解説したジークフリートも、ゴードンも、ミモザも、シューレインも、みな深手を負っていた。

「途中で謎の敵に全滅させられたって話だねぇ。命に別状は無かったけど、大ケガしてたからしばらく療養してて……もう傷は治ってると思うんだけど、それからギルドでも姿は見かけないんだよ」

「そうなのか。どうしたんだろう」

「冒険者ギルドとしては、めげずにまたリベンジしに行ってもらいたいんすけどねぇ」

 

 謎の敵か……。

 ドラゴン級のジークフリートさんが率いるパーティーを一蹴するとは、一体何者なんだろうか。

 そんな末恐ろしい敵とはなるべく関わり合いになりたくないものである。



 ギルドでの用件を終え、街に戻る。

 街中を歩いていると、路地裏から大きな音が聞こえてきた。


「……なんだ? 争いごとか?」


 俺は好奇心から、路地裏を覗いてみることにした。

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