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変わった女だな

電子コミックアプリ『サンデーうぇぶり』でコミカライズ連載中です。

https://www.sunday-webry.com/detail.php?title_id=1021

 強大な魔力同士がぶつかり合う。


 マヤ姉こと軍場真夜いくさばまやと、魔王六将まおうろくしょうキルマリアの1ターン目は、相殺という結果に終わった。

 その衝撃により、互いに後方に飛び去り距離を取る。

「なんじゃと……!?」

「ほう……?」


 その光景を目の当たりにし、俺は吃驚する。

「ご、互角!? この二人、互角なのか!?」

 それがどれほど意外で、驚きべきことであったか。


 俺は見てきた。

 オークもワイバーンもすべて、一撃で屠ってきたマヤ姉を。


 俺は見た。

 この森の主である巨大な熊を、一撃で消滅させたキルマリアを。


 この二人はチート級の強さであるがゆえ、どんな敵も1ターンで片付けてきたのだ。

 しかし今回、2ターン目に突入。

 本人たちが(一撃で終わらない!?)と、当惑した表情になるのも無理はない。


 その当惑から一転、愉悦の表情に変わったのがキルマリア。

「……くっくっく」

 キルマリアは笑い出した。

「なるほどな……”イクサバアサヒ”の勇名は……カッカッカ! おぬしの仕業であったか!」

 合点がいったと言わんばかりに、高笑いを見せる。

 一方のマヤ姉は、何のことだと首を傾げている。


「俺の今までの手柄がマヤ姉のものだって気付いたのか……!?」

 マヤ姉と拳(という名の特大魔法)を交わしたことで、肌で感じ取ったのだろう。

 真に強いのは弟ではなく、その姉だという事実を。

 まあキラーラビットよろしく、脱兎の如く逃げるさっきまでの俺と比べれば一目瞭然か。


「嬉しい! 嬉しいぞ! 初手で終わらぬ戦いなどいつぶりか!」

「喜ぶのか。変わった女だな」

 難敵の到来に昂ぶるキルマリアとは対照的に、マヤ姉は冷静そのもの。

 力は五分でも、その性質は陽と陰で正反対である。


「その調子でわらわを楽しませてみせよ!」

「!」

 嬉々として襲いかかるキルマリアと、それを迎撃するマヤ姉。

 女傑同士の戦いが始まった。

 

 時間にして1分ほどだろうか。

 幾度にも渡る轟音と衝撃波を伴った魔力のぶつかり合い。

 その余波は、天変地異が巻き起こったかのように周囲の地形を変えていく。

 よくよく見れば、この森に生息していたであろう小動物や小型モンスターも、とばっちりを受けて宙を舞っている。

 なんて自然とモブに優しくない戦闘だ。


 この戦いにサブタイトルを付けるとすれば、”熱戦・烈戦・超激戦”といったところだろうか。それほど熾烈な攻防であった。

 そんな中で俺はと言うと、Z戦士を見守る非戦闘員気分。

 目で追うのがやっとだったので、眼球と首がやたら痛い。


 そして1分が経過したところで、俺は自分が間違っていることに気付いた。


 互角では、なかった。


「かはっ……!!」


 女傑の片方がヒザをつく。

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