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ドラゴン級昇格

毎週土曜TOKYO MXにて22:30から、TVアニメ『異世界ワンターンキル姉さん』放映中です。

各種動画サイトでもアーカイブ視聴できますので、ぜひご視聴よろしくお願いします!

 王都エピファネイアから少し離れた郊外の森に、カコーンと響く石の音。

 立てかけた看板に向けて、俺は投石スキルの投げ込み練習をしていた。


「はぁ、はぁ…レベル10! 『投石』スキルのレベルが10に上がったぞ!」


 これほど投げ込みをするヤツなんて、俺か球児かくらいだろう。

 投石なんてと以前まではちょっと小馬鹿にしていたけれど……

「最終的にこの努力がメテオに結びつくんだと思うと、やる気も上がるってもんだ」


 メテオ。隕石魔法。

 それは男のロマン。

 セで始まってスで終わる有名なラスボスも使ってたヤツだ。


 いや、星の危機に瀕しちゃうから覚えても撃たないよ?

 記憶にないけど、魔王状態の俺は撃ったみたいだけど。

 ただ”メテオ撃てるんだ、俺”とは思いたいのだ。


「ただ……俺のやる気はともかく、投手コーチらがぁ……」

 俺はゆっくりと振り返る。

 そこには激しい剣幕で持論をぶつけ合う投手コーチ二人の姿があった。

 マヤ姉とキルマリアだ。


「投石は上半身だ! 投げ込み量を増やして肩を鍛え、球速を上げる練習をすべきだ!」

「いいや、下半身じゃ! 走り込みで下半身と体幹を鍛える練習をすべきじゃ!」


「よーし! 勝負をして決めよう!」

「カカッ! 望むところじゃ!」

「マヤ姉とキルマリアは、俺の育成法を巡ってケンカしていた……」

 俺は呆れた。

 まあ、通常営業ではあるが。

 二人は森という森、山という山を破壊しながら戦い始めた。


「あ、そうだ。俺、ギルドから呼び出しかかってるから先帰るねー。……地形変えるのもほどほどにね」

 こういうのも慣れたものだ。

 俺は街へと向かった。



 冒険者ギルドへ入る。

 するとそこには見知った面々が揃っていた。

 ソフィ、グローリア、クオン、ユイシス。

 俺のクラン、スーパー朝陽軍団のメンバーたちだ。


「あれ? みんな!」

「勇者さま!」

「あら、アサヒ! アサヒも呼ばれましたのね!」

「これ、なんの呼び出しなんだ?」

「さあ……」


「せーのっ!」

 ターニャがざる一杯の紙吹雪を俺たちに浴びせてくる。

「わっ!? ターニャ!? ナタリーさんも!」

「ふふっ」

 ターニャだけでなく、その先輩のナタリーさんも紙吹雪を撒いている。

 なんだなんだ、何かのお祝いか?


「アサヒくん! グローリアさん! ドラゴン級昇格おめでとーっす!!」


「わたくしとアサヒが!?」

「マジで!?」

 俺たちは顔を見合わせながら驚いた。

 しばらくランク昇格など無かったから、まったく頭になかった。

 ゴーレム級からドラゴン級にランクアップしたのか、俺とグローリアが!


「わぁ! 二人ともおめでとうございますー!」

「アハハ…あ、ありがとうソフィ」

 俺ははにかんだ。


「二人だけじゃないっすよ! スーパー朝陽軍団の功績が認められて、みんなランクアップっす。ソフィはゴーレム級に!」

「まあ! 地の守護者のように、これからも皆さんを守護っていきたいです!」


「クオンさんもゴーレム級に!」

「ほう。ランクに興味はありませんが、受け取っておきましょう」


「ユイシスちゃんはオーガ級に!」

「ふふーん! まあ当然……ん? あたしだけ低いの、なんか納得いかないのだわ!」

 ユイシスはぷりぷりと怒った。

「まあ冒険者歴短いし…その割にスピード出世だって」

 俺は慰めた。


「しかし俺もいよいよドラゴン級かぁ……」

 ふと思い浮かべたのは、ジークさんの顔。

「でもジークさんと同じって考えると、微妙に感じてくる不思議……竜狩りっていう格好いい二つ名あった人だけど」


「それっす!」

「どれ?」

 ターニャがクエスト依頼書を見せてくる。

「ドラゴンと言えば、今まさに」

 なんだかイヤな予感がする。


「王都東のアルマンディン洞穴にドラゴンが棲み着いて大変みたいなんす! 昇格祝いにこのクランクエスト、受けてみません!?」


 ドラゴン級にかこつけて、ドラゴン退治を頼まれたー!?

 マヤ姉不在だし、そんな高難度クエスト困るっていうか……やんわり断りたいんだけど……

 俺はチラリとメンバーの方を見た。

 ああ……みんな目を輝かせている。


「ドラゴン級のわたくしにお任せなさい! いっちょやったりますわ!」

「ええ、もちろんです! 王都の平和は私たちで守護りましょう!」

「あたしの特大魔法で倒してやるのだわ!」

 グローリアもソフィもユイシスも俄然乗り気であった。


「で、ですよねー…」

 俺はうなだれた。

「ドンマイです、アサヒ氏」

 クオンが俺の肩を叩く。


 うちのクラン、どうしてこうも皆、向こう見ずな性格をしているのだろうか……

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