表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
167/180

策謀のゾラ

電子コミックアプリ『サンデーうぇぶり』でコミカライズ連載中。1~9巻発売中。

2023年4月8日(土)TOKYO MXにて、22時30分からTVアニメが開始します!

よろしくお願いします!

 ペルコフさんの家宝を盗んだという賊の砦を慎重に進む。


 厳重に警備されているのではと、恐る恐るダンジョン内を進んでいくが、不思議なことに人の気配がない。

 全員出払っているのだろうか。それならそれで都合が良い。

「賊の根城って割には、特に敵もいないなぁ。ま、簡単なクエストで助かるけど」


「蜘蛛の巣が多いな」

 マヤ姉が上を見上げながらそう言う。

「ホコリものう。ふん、まるでしばらく人の行き来がないかのような」

 キルマリアが地面を見ながら続く。

 二人とも何やら神妙な顔付きだ。


「どうしたのさ二人とも。敵がいないなら、それに越したことは……」

「おお! あれですじゃ!」

 ペルコフさんが叫ぶ。

「感じますぞ! あの宝箱に我が家の家宝が!」

 

 宝物庫と思しき部屋に、確かにそれらしき宝箱があった。

「ホントですか? じゃあ早速回収しましょう!」

 俺は宝箱を開けた。


「朝陽!」

「迂闊じゃ! バカ!」

 マヤ姉とキルマリアが同時に叫ぶ。

「え?」


 すると宝箱から、蛇のようにうねった流線状の光が飛び出してきて、俺の右腕にクルクルと絡みつく。

「うおお!? なんだこれ!?」

 絡みついた後、その光は硬質化して腕輪となった。


「な、なんだぁ!? 腕輪になった!?」


「魔道具のひとつ、”覚醒の腕輪”じゃよ」


 ペルコフさんが静かに口を開く。

「ペ…ペルコフさん?」

「!……」

 口を開いたペルコフさんに対し、マヤ姉とキルマリアが警戒心を強める。


「ご老人……その口ぶり、思惑通りか?」

 マヤ姉が口を開く。

「ほう? 気付いておったか」


「”評判高いイクサバ姉弟”……そう言ったな? だが街で評判になっているのは朝陽だけだ。私は力を隠しているからな」


「ファファファ……これは迂闊じゃな、儂も」

 ペルコフさんが笑う。

「匂うわけじゃ。何者じゃ、正体を見せい」

 キルマリアが問い詰める。


 いやいや、なんか緊迫した空気を作ってますけど、ひとついいですか。


「なに? なに? 二人ともなんか怪しいと思ってたわけ!? ちゃんと情報共有しよう!? 俺だけ置いてけぼりじゃん!」

 一人だけあたふたしている俺がバカみたいじゃん!?


「ファファファ、何者か……ご挨拶じゃのう、”壊乱”の」

「なに……!?」

「この町娘がキルマリアと気付いている……?」


 ペルコフさんが闇のオーラを纏い、変身する。

 現れたのは老体はそのまま、しかし赤黒い肌に邪悪な瞳。奇っ怪な形の耳。

 道化師のような衣装に身を包んだその姿は、明らかに普通の人間ではなかった。


「儂は魔王六将が一人、”策謀”のゾラ。お迎えに上がりましたぞ、”魔王”」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ