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0-1 ぷろろ~、ぐぅ…

 晴れ渡る青い空、そこに浮かぶはゆるゆると流れる白い雲、その下に広がるは見渡す限り色とりどりの草花がそよ風に揺られながら咲き誇る広大な花畑。小鳥達が宙をじゃれ合いながら飛び交い、蝶が花の蜜を吸っている。万人が見れば心和み、清々しい気分になるであろう風景である。しかしそこには、この場に似つかわしくないモノが一つあった。


 “ソレ”は白と黒のツートンカラーをしていた。“ソレ”は周りの草花と同じく大地から“生えていた”。“ソレ”は時々、微かに「ん~っ!ん~っ!」と呻き声を上げながら小刻みに震えていた。

“ソレ”の周りには、流石に小鳥達も不気味なのか近くに寄り付かないほどだ。


 奇怪な“ソレ”が奇怪な行動をし続けて十分が経つ頃、急にピクリとも動かなくなった。遂に力尽きたのだろうかと小鳥達もじゃれ合いを止め、“ソレ”がまた動き出さないのか静観し、もう動かないと判断したのか再びじゃれ合いを始めようとした次の瞬間


「―――ドゴォッ!!」

「!?ッピピィ!?ピィ!ピィ!ピィ!ピiピブッ!!?」


 動きを止めた“ソレ”を中心に半径約十メートルの範囲が、轟音と共に爆発の衝撃で可憐に咲き誇っていた草花と土を吹き飛ばしたのだった。更に不幸なことに、“ソレ”が動きを止めたことに安心して近くまで飛んできていた小鳥数羽を、巻き上がった土砂が無慈悲にも呑み込んでしまったのだ。そして、華麗な花畑の一角と複数の無垢な小鳥を吹き飛ばした爆発源はというと、爆発の衝撃により土煙が巻き上がり、地面も五メートルほど陥没しており、


―――爆心地の中央に、“ナニか”が蹲っていた―――


 土煙によりハッキリとは見えないが、“ナニか”が蹲っているのは先程まで奇怪な“ソレ”が生えていた場所。“ナニか”は“ソレ”と同じ白と黒のツートンカラーをしており、“ソレ”が響かせていた呻き声と同じ声で


「プペペペペペペ!!……ふぅ、漸く抜け出せた」


土と溜息を吐いていた。

いまだ爆心地を覆っていた土煙もそよ風により徐々にではあるが晴れていき、花畑に生えていた“ソレ”であったであろう“ナニか”が立ち上がったのが分かった。


「まったく、ほんと冗談とかシャレが通じないよね“アイツ”は。私がちょぉ~っと悪フザケしただけなのに人をこんな所までぶん投げるなんてさ。……ま、いっか!次に会えた時に驚かすための口実ができたと思えば良いしぃ~。そ・れ・よ・り♪今はトンデモナイ速度で空中遊泳した気持ちと、ヒンヤリしていて意外と気持ち良かった土の中の感想をナニで表そうかな~♪……よっと!」


 “ナニか”が誰かについて毒づいたり一転して明るい声を出したと思えば、五メートルほどの深さの穴から“ひとっ跳び”で出てきたのだ。それにより薄っすらと土煙に包まれていた“ナニか”の全貌が日の本に曝け出された。


 階段を数段飛ばしたかのような軽い足取りで穴の縁に着地したのは爪先が上向きに反り返っている黒い右靴と、同じデザインの白い左靴。その靴を履いている足は関節毎に(具体的には股関節、膝、足首の辺り)白と黒が入れ替わり、右足と左足で配色が反転している全体的にダボついているズボン。腰から上はこれまた白と黒が交差しているモノトーンストライプのカッターシャツと黒地に白いボタンのベストに白黒交互に配色されているネクタイを締め、両袖から伸びる右の白手袋と左の黒手袋。一拍遅れてモノクロチェックのマントが肩から脛まで身体を隠してしまった。そして肝心の顔は、


―――ピエロの仮面に覆われていた―――


 具体的な特徴を挙げるとすれば、白地の仮面の中心には装着者の鼻を収めるために突き出ている突起の先端には赤い球体がチョコンと付いており、口は赤く縁取られて顎関節辺りまで吊り上った三日月をしている。右目には黒い星(★)、左目の下には涙のような黒い雫がペイントされていた。


 “ナニか”は“何も無い”空間から黒いシルクハットをおもむろに取り出して己の頭に被ると、その様は白黒画面のテレビから出てきたピエロのような道化師のようなそんな姿に拍車をかけた。

“ナニか”改め“ピエロ”は一度被ったシルクハットを脱ぎ、中から明らかに入らないであろう長さのステッキと取り出すと


「主演は私!アシスタントも私による“ショー”を、ギャラリーの自然の草花と隠れてしまった動物達と、もちろん私!に御覧頂きましょう!!第一幕は、私が遠路はるばるここまで来れた移動手段「高速飛行」をした時に感じた風を皆様にも体感して頂きます!」


そう声高らかに宣言すると、芝居っ気たっぷりの大仰な礼をするのであった。

 初めまして翁面おきなめんと申します。初の異世界ファンタジー小説ですが、まだまだ“それっぽさ”が出ていませんね(苦笑)

あらすじと第一話もほとんど繋がりが無いかなり短めの内容ですしね(汗)


不定期更新の作者なので連日投稿だったり週一投稿だったりと一定しませんが、(生)あたたか~い目で呼んでいただけると幸いです。


※2016/8/6 あらすじを一部変更しました


※2016/9/22 サブタイトルを変更しました

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