表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

新しいお父さん

制服と新しいお父さんが来た。

「愛、彼の事知ってるわね。愛も高校にも入って大人になったし、お母さんね、彼と再婚したの。だから今日からあなたのお父さんよ。かっこいいお父さんでしょ?良かったわね。」

この人何言ってるの?良かったのは、あんただけだよ。彼の事知ってる?もちろん知ってるよ。あんたの男でしょ?変な生き物みたいにその男の腕にぶら下がって笑ってるあんたが一番嫌いだ。お父さん?どうでもイイよ好きにすれば?

「愛ちゃん高校入学おめでとう!今日からよろしくね。」あの華奢な若いだけの弱そうな男だ。その男が今日から家族になった。偽物の家族だ。でもこれからは、家から追い出されてフラつかなくても良くなるかな…

ただそれだけだ。

空ってこんなに綺麗なんだ。

公園のベンチに寝転がって久しぶりに見上げた空は、びっくりする位青かった。セミの鳴き声がどんどん大きくなって来た。もうすぐ17才の誕生日。まったく同じ日に産まれた冴子と一緒に祝う予定。同じ日に産まれたのに冴子は、私と全く別の人生を生きている。あったかい家、家族、友達。不公平だ。誰に何を言っても解決出来ない。

凄くイイ子だけど、本当の自分の事は、話せない。

相変わらず私は、一人ぼっちだった。

お母さんのフリをしているあの女は、一応看護婦らしい。笑っちゃう。娘の世話は、しないのに病人の世話をする。笑える。夜勤とかゆーのがあって家に帰らない日が多い。そんな日は、お父さんと名乗る男と二人になる。話す事なんて何も無い。会話も無く食事をする。聞こえるのは、バカバカしいテレビの音だけだ。

「愛は、女の子から女に変わってきたな。お父さんは、将来が楽しみだ。彼氏はいるのか?」気持ち悪い。その作り笑顔も私を女として見てる笑って無い目も、全部気持ち悪い。

今日もやたらと、酒を飲んでいる。怖い。

私が寝たのを見計らって酔ったあの男が、部屋に入って来る。酒臭い息を吐きながら近付いて来る。汚い手で私を触り続ける。固まってしまう。怖いよヤメテ、ヤメテ!かたく目を閉じて寝たフリをする。もうすぐしたら終わるから、もうすぐだから…触るだけだから、最後まではされないから大丈夫だよ。大丈夫…


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ