無力
中学二年の時、お母さんが、新しい男を連れて家に帰って来た。そういう時は、お母さんは、母親じやなく卑しい女になる。その男は、華奢な今までと違うタイプの若い男だった。いつもの悪い病気だ。私は、挨拶もせず小遣いを渡されて家を出される。夜朝関係なく…
小さな頃から、そんな私に付き合ってくれるのは、同じ様な環境の子達だ。
よくテレビで手を繋いで仲良くお買い物をしている親子が写っているが、私には、理解出来ない。
冷たい鍵を使い重い扉を開いて誰も居ない家の中に
「ただいま」と声をかけるそこには、家庭と言う暖かい物は、何もない。あるのは、テーブルに少しのお金とカップラーメンだけだ。それが普通だと思って生きてる子達としか一緒にいれなかった。
母子家庭で母親がスナックに勤めてるから朝まで誰も居ない佳世の狭い家が溜り場になってた。いつも誰かがいて一人にならなくて済む
「佳世〜居る?」鍵は、いつも開いてるから勝手に上がり込むと佳世が毛布にくるまり声もなく横たわって泣いていた。
「佳世?佳世?どうしたの?佳世?」
「来ないで、見ないで嫌!」叫びだした。毛布がめくれた。佳世は、裸だった。何これ?何で裸なの?
唇が切れて出血していた。中学生の私にでもどんなことがあったのか想像がつく。でもどうしていいのか分からない。相談出来る大人も居ない頼れる人も知らない。
「佳世…佳世、先輩達にヤラれたの?ヒドイよ、何でこんなん事するんだよ!佳世、私どうすればいい?どうしよう?病院行こうよ。お母さんに連絡しようよ。佳世、佳世?」佳世は、思いっきり私をぶった。
「あんたは、いいよね!キレイなままで、私が汚れたからってあんたに関係無いだろ!心配したフリなんかしないでよ!愛もババァと一緒だよ!私の事見てお前は、汚いから汚い奴らしか寄って来ないんだよ。早く風呂に入りな!見たくも無い。って私に触りもしずにまた出てったよ。愛も私の体に触れ無いんだね。」そんなつもりは、無かったけど確かに抱き締めて一緒に泣いてあげれない私がいた。
「帰って!もう帰って!」殴られた痛みより、佳世の言葉が痛かった。
家の電気が消えてる。男が来てるのか。佳世が汚い?あの女から産まれた私の方がもっと薄汚い。
佳世は、あれから私を避けてる。学校にも来なくなった。私は又ひとりぼっちになった。一人のまま中学を卒業した。家族も友達も居ないまま…