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記憶する本



2年前に校外学習で山登りに行った時に落石が頭に当たり私は記憶障害を患った


私の記憶は1日しかもたない、1回寝てしまえば記憶はリセットされ校外学習の前の日に戻ってしまう


昼寝では記憶はリセットされないらしい…けど怖いから昼寝もウトウトする事もしない様にしてる


記憶は残らないけど私は2年間の記録の積み重ねはある


丁寧な装丁がされた日記帳に今日1日起きたことを細かく書き残している


朝に目が覚めたら視界に入る場所に【慌てないで机の上の日記帳を読んで】と貼り紙をしている、起きてから30分は最近起きたことを読んでからリビングへ親におはようを言いに行く


それが私のモーニングルーティン


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


朝 チュンチュン チュンチュン


姫女「ふあぁ…」


もう朝かぁ校外学習が楽しみであんまり寝れなかったなぁ……んっ?なんか天井に紙が貼ってる?【慌てないで机の上の日記帳を読んで】?なんだろう?日記なんて書く習慣無いのに…てか誰が貼ったのこの紙?


学習机の上に綺麗で少し重厚感のある装丁の本が見えた


姫女「これが日記帳かな?日記帳にしては分厚いと言うか豪華すぎると言うか」


表紙には【日記帳】下の方にムラサキ ヒメと私の名前が書いてある


表紙を捲ると


1、このページは最後まで読んで約束を守ること


2、貴方は20✕✕年6月22日に事故に遭い記憶が1日しかもたなくなった


3、この本を決して無くさない事、汚さない事、破かない事


4、大切だと思った出来事は直ぐにこの日記帳に書き残す事


5、明日の自分に向けて丁寧な書き方をする事


6、特に重要な事は栞を挟んで明日の自分に伝える事


7、周りは貴女の事情を理解してる人しか居ないので安心して接する事


8、人物ページと直近1週間のページはしっかり読む事


9、暗い顔をしてたら心配させてしまうから明るく振る舞う事


10、今までの貴方はちゃんと生きていた事を忘れない事


どうやら私は大変な目に遭っていたらしい…らしいしかわからないけど…けど今日は校外学習の日のはず…カレンダーを見てみる


20✕✕年…10月…


2年も先のカレンダーだ、イタズラかもしれない…枕元の時計を見てみる


時刻だけじゃなく何月何日何曜日まで表示される電波時計だ


10月5日………おかしい…6月じゃない…


スマホを見てみる…時計を同じ時間を表示してる…しかもカレンダーと同じ年月日が表示されてる…


記憶がおかしいのは本当なのかも知れない…


もう一度日記帳を読んでみよう


人物ページを捲ってみると記憶に新しい友達や親に親戚について書かれてた、けど全く覚えの無い女の子や男の子に先生と書かれた知らないオジさんの写真と名前がたくさん書いてある


正直怖い…知らない顔が見つめてくる…笑顔だったり、私とのツーショットだったり、証明写真みたいなのもある…


本に書かれてた直近の出来事を読んでみる


10月1日 晴れ


今日はクラスの男の子に話しかけられたけど上手く返事が出来なかった、2週間前の話をしてきたからだった、どうやらその男の子は最近ハマってる音楽について話してるようだったけど、私には身に覚えの無い話で…返答に困ってたら少しムカついたのだろうか話を切り上げて何処かに行ってしまった…こういう事がないように気を付けたいけど、流石にそんなに前の事は復習出来ない…申し訳無いなぁ…


お母さんに「明日は何が食べたい?」って聞かれたから「ハンバーグ!」って答えたらお父さんが少し変な顔をした、訳を聞いてみたらもう3日も連続でハンバーグと答えてたらしい、だってハンバーグが食べたかったんだもん…


明日は中間テストが始まるけど私は何も覚えていられないから保健室で自主学習になる←ここ重要!!明日はクラスじゃなくて保健室に登校よ!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


こんな感じの日記が書かれている…パラパラとページを捲ってみても多分同じ様に出来事と注意事項が書かれている…本当に記憶が無いらしい…


部屋にある姿見を見てみる…


そこには少し大人になった自分が居た


身長は少し高く感じる、髪も記憶よりも10cm程長い、胸も大きくなってる!これは嬉しい!お尻が重たい気がする?


姫女「これが今の私か…」


そうこうしてる内に時間が結構経っている、そろそろ朝ごはんを食べに行かないと心配されそうだ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


朝ごはんは味噌汁とご飯と目玉焼きとサラダだった、これは日記に残さなくても良いか…


10月5日の今日は中間テストが終わった後の休日らしい、母から聞いたからそうらしいとしか分からない。


学校に行かなくても良いなら部屋に戻って日記帳でも読んでみるかな…どうせどんな暇の潰し方をしたら良いか分からないし


部屋に戻ると学習机の上に変わらず日記帳があった


私は先週の休日はどうやって過ごしてたんだろう?1週間前のページを開いてみた、フムフム…どうやらメイクの練習と自撮りをたくさん撮ってたみたい


スマホのギャラリーを見てみると少し濃い目のメイクで色んなポーズをしている私の画像が30枚位出てきた…練習するの途中で飽きたのかな?選りすぐって生き残った自撮り達がコレなのかな?


日記の内容を読むに先週の私はどうやら成長と証を残したかったらしい、「メイクを練習すれば記憶が無くなっても体が手が覚えてるかも」だってさ…体が覚えるには先が長そうだ…頑張れ未来の私!自撮りも成長の記録を残しておけば過去の私がちゃんと生きてたって証だってさ…


そんな風に日記帳をぺらぺら捲っていると指に違和感を覚えた、何かサワサワしてる…!?虫っ!?


姫女「きゃっ!」


慌てて手を引っ込める。

表紙に何かが蠢いて見える。

虫じゃない。


表紙真ん中より少し下、私の名前が書いてある場所の少し上に白い毛が生えてる、モゴモゴしている様なワサワサと揺らめいている。


日記帳「くあぁああ!全くもってくすぐったいわい!」


ひぃ…しゃべった…私の日記帳が喋った!!


日記帳「お主!ワシのヒゲをそんなに触って何がしたいんじゃ!気軽に触れるほど安いもんじゃないぞい!」


姫女「あぁ…そ、そ、そうですね…」


幻聴?幻覚?記憶が無いどころか頭がおかしくなったのかな?どうしよう?お母さん呼ぶ?いや…お父さんに来てもらおう!部屋に入れるのはイヤだけどしょうがない!


姫女「おと~s」日記帳「こらっ!人を呼ぶんじゃないっ!!頭がおかしいと思われるぞい!」


遮られちゃった…どうしよう…怖い…かも…


日記帳「ワシの声はお主にしか聞こえてないぞい、親御さんを呼んだ所で病院に連れてかれて精密検査かカウンセリング受けることになるぞい!そんなの時間の無駄じゃ!!」


どうやら病院に行くまでもなく私の頭は本格的におかしくなってしまったらしい…私の日記帳に口ひげを蓄えたシワシワの唇がくっついてる…その内に目とか鼻まで生えてきそう…


日記帳「そうじゃな目も作らんとお主の顔も見れやせんな」


カッ!


日記帳が気合い入れたと思ったら目が開いた、老獪な何もかも見透かしているかのような年月の重なりを感じる重みのある目だ。


日記帳「はっはっはっ!こりゃ良いぞい!よ~見えるよ~見える!」


あれ?さっき口に出して喋って無いのに"そうじゃな目を作らんと"って返事した?


日記帳「そりゃそうじゃよ!お主の脳と繋がっておるんじゃからな!」


思わず頭を触った…何も付いてない…


日記帳「カッカッカッカッ!なにも管が付いてるわけじゃないぞい!なんか…こう…なんと言えば良いんじゃろうなぁ…1種の呪いみたいなもんかのぉ?」


呪い!?呪われちゃったの!?


日記帳「まぁまぁ落ち着きなさいな、呪いと言っても害があるわけじゃないぞぉ逆に恩恵しか無いわい!」


姫女「あのぉ…あんまり心の声を聞かないで欲しいなぁ…なんて…」


日記帳「ふんっ!会話をしようとしないからじゃ!説明しようにも進まんじゃろ!」


あっ…怒られちゃった…


日記帳「怒っとらんわい!こういう喋り方なんじゃ!」


あっ…はい…わかりました…


日記帳「それで続きじゃが、恩恵の話なんじゃが、ワシとお主が繋がっておることでワシに書かれた事を瞬時に思い出せると言う恩恵じゃ、そして強いて呪いの部分で言えばワシのこの口煩さじゃな!カッカッカッカッ!」


書かれた事を思い出せる?それってつまり記憶が思い出せるって事?あと口煩い自覚はあるんだ…


日記帳「残念じゃがお主記憶は思い出せん…ワシ書かれてる事だけじゃ!じゃからこれからは事細かく日記に記すがよいぞ!」


つまりのつまり私の記憶障害が薄くなる?軽くなる?感じになるのか…えっ!?めっちゃ良いじゃん!


姫女「日記帳のおじいちゃん!めっちゃ良いじゃん!おじいちゃんが居れば普通に生活出来るって事でしょ!記憶が無くなってもおじいちゃんが補完?してくれる的な?」


日記帳「そうじゃ!寝てる間に記憶が無くなってしまってもワシが脳みそに毎日刻み込んじゃるぞ!じゃがワシを肌身離さず持っておくんじゃぞ!数メートル位しか繋がりを保てんからのぉ!」


姫女「さっきから繋がりとか呪いとか怖いけどどういう事なの?」


日記帳「う~む…むむむ…なんと説明したらいいかのぉ…簡単に言うと2年間欠かさずワシに証を記した事と毎日記憶を無くした事でまじないが起きた事とお天道様の気紛れかのぉ…」


???なんかわからないけど奇跡って事?


日記帳「まぁ奇跡の所業ではあるかの!」


姫女「じゃあおじいちゃんの呼び方考えなきゃね!何が良いかな?日記帳さん?ダイアリーさん?そのまんまおじいちゃんとか?」


日記帳「ワシにはちゃんとした名前があるがお主には発音出来ん音じゃから好きに呼ぶと良いぞ!」


姫女「う~ん…ダイアリーのアリーとおじいちゃんを繋げてアリーおじいちゃんで!」


アリー「カッカッカッカッ!なんとハイカラな名前じゃこと!カッカッカッカッ!」


姫女「じゃあアリーおじいちゃんこれから記憶担当…いや私の記録担当ヨロシクね!」


アリー「はっはっはっ!任せんしゃい!お主が書いたことは忘れんぞい!」


こうして記録する本のおじいちゃんと記憶が残らない私の不可思議な人生が始まる




11、アリーおじいちゃんと仲良くね



被………2記憶………少女…………録

地……の脳…………明の足………として

メモ…………ーシ……ムMASを………与

………老………定 脳と……確認

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