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ー第6話浅草シンジケート

2ヵ月で原稿が揃った。

最終稿も通って印刷会社に発注された。

今日は編集長が篠崎歯科に来ていた。

「千先生。YouTubeにコノヨル師匠出てる」

「YouTube?師匠が?」

後ろから編集長のスマホを覗き込む。

ー桃山有森保守党が与党に。トランプ大統領が自民党の活動停止を受けて。最大支援団体浅草シンジケート代表兼子コノヨル氏が発表。自民党は日本は独立国で有り認められないと反発ー

「どゆこと!?」

「アメリカ政権が自民党を活動停止にした。それを師匠が発表したってことですね」

「アメリカの再占領?」

「桃山有森保守党のアメリカ傀儡政権ですかね」

「アメリカになるの?」

「そうではないような」

「何か変わる?」

「変わらないでしょ」


予想は裏切られた。

「理由は何です?納得するんですか?」

容子編集長が社長に詰め寄っている。

「もう良いです」

編集長が千を見つけた。ため息を突いて、手招きする。編集長室に連れて行かれる。

「当てましょうか編集長」

千を途方に暮れた顔が見詰めた。

「咲姫は中止。理由は言えない」

「ビンゴ」

「コノヨル師匠が原因。社長は自民党員。僕の本を出す訳にはいかない」

「咲姫は政治的な内容じゃない!兼子千は、お笑い芸人じゃない!小説家!」

「師匠の弟子です。師匠が千頼むと言われたら、桃山氏のボディーガードをします」

「じゃあ弟子を辞めて!」

「辞めません。横浜でオレオレ詐欺のグループから救い出してくれた師匠を裏切りません」

「咲姫は?あきらめて、納得するの!」

「しません」

床にへたりこんだ編集長は千を見上げた。

「何か手が有るのね?」


編集長と港区のガールズバーにいた。コノヨル師匠の店の常連井村氏と会う予定だった。

1時間しても井村氏は現れない。

明らかにガールズバーのボックス席には場違いな二人だった。



「申し訳ない。色々有ってね」

井村氏はデニムにTシャツを見事に着こなしている。後ろからガタイノ良い外人が顔を出す。

「イーロン?」

「マスク?」

握手をする。

ほぼ聞き取れない英語を井村氏が通訳してくれた。

「マスクさんが令和実業出版社を企業買収しました。1時間前です。直ちに咲姫の出版を進めるよう社長に指示したそうです」

千は口をパクパクさせた。

「相談は?咲姫を出版したいでしたね?違いました?」

「完璧です」

「良かった。じゃあ令和の文豪の誕生に乾杯しましょう。お願いします」

井村氏の声を合図に、お盆にグラスを乗せたガールズバー嬢が入って来た。

グラスに酒が注がれ、配られた。

「井村さん。これは何です?」

「スピリタス。乾杯!」

千は編集長の手を抑えようとしたが間に合わなかった。

編集長はグラスを煽ったまま、千に向かって倒れた。

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