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ー第5話編集長の家

結局、編集長を起こして、家の住所を聞き出し、鍵を開けさせて、ベットまで運んだ。

一軒家で、仏壇に写真が2つ。3人で観覧車の前で笑っている写真も有る。

ベットに入れる時に目覚めて、ディープキスが来た。千は我慢できず愛し合った。


事の後。イビキを掻いて眠る編集長の横に座って、咲姫の2話を打ち始めた。


月に一度。新月の暗闇の中、逢瀬を重ねた。

だが噂は城下に拡がり、城内に及び、ついに城主和田義孝公の耳に届いた。

義孝公は、槇原新乃丞と親しい嵯峨根時政に首をハネヨと命じた。


数度目の新月の夜。

時政は2人を手勢と共に囲んだ。

新乃丞は気付いており咲姫に言う

「咲姫様。今宵が最期の逢瀬とあいなったようです」

「すまぬ。父上様には命乞いをいたす」

「いや。誰かが責めを負わねば和田家の名が立ちませぬ」

「名など、どうでもよい」

「咲姫様。わきまえなされ。和田家の名が城下の者共を守るのです」

「わかっておる。が嫌じゃ」

咲姫は新乃丞の胸で泣いた。

「時政。聞こえるか?」

ーおうー

と小さく聞こえた。

「今宵。咲姫様と今生の別れをいたす。時に、子種を残す。すまぬが、お前が親となって咲姫様と子を育ててくれぬか?」

ー咲姫様も納得の所存か?ー

「納得の所存で有る。時政殿」

ー合い判った。皆の者、これより目を閉じ耳をふさぎ、咲姫様の面目を立てよー

オウ

と声が返る。


咲姫と新乃丞は事を成し、したたかに精を吐いた。やがて、いずまいを整え、静かに告げた。

「時政。お願いいたす」


ざわざわと草が鳴って、松明に火が附けられ、時政と手勢が現れた。

松明に照らされ、咲姫と新乃丞は互いの顔をはっきりと見た。

「これはっ。咲姫様麗しゅうございます」

「新乃丞。見事な武者振り。男前じゃ」

新乃丞は頭を垂れ、首の後ろを晒した。

時政はスラリと太刀を抜いた。郎党が桶から柄杓で水を汲んで、太刀に水を流し清める。

「時政。しくじるな」

新乃丞は時政をカラカッタ。

「友の面目。潰すなら、この時政も生きては居れぬ」

時政は、頬を膨らませた後フゥ~と息を吐いた。

「新乃丞。覚悟つ」


時政は見事に新乃丞の首を跳ね、首は咲姫の胸に飛んだ。咲姫は首を受け止め、新乃丞の血を浴びた。

首は新乃丞砦の天守からよく見える場所に埋められ、時政が用意した桜の苗木を咲姫が目印に植えた。

咲姫は身籠り、父親は誰かと義孝公が問うと。嵯峨根時政が名乗り出て認められた。

男の子を得なかった義孝公は、咲姫の子「真珠丸」を世嗣ぎとした。

ご母堂様となった咲姫は、新乃丞砦の桜が咲くと。天守に上がられお付きの者に言った。

「今年も新乃丞の武者振り見事。天晴れじゃ」

事情を知る者達は涙し、やがて城下にも伝わった。誰かが新乃丞桜が咲いた事を見つけると「天晴れじゃ!」と歌いながら城下を回り、聞いた人々は列の後ろに付いて練り歩き、新乃丞桜の前で踊って、咲姫と新乃丞を偲んだ。


編集長が呻いて顔を上げた。

「起きました?2話打ったんですけど読みます?」

編集長はムフフと笑う。

「やめて。幸せなの。仕事なんてしたくない」

「すいません。我慢できなくて。中に出してしまいました」

「判ってましたぁ。なんとしても200万部売るからね。書店回りとか映像プロダクションとかテレビ局にYouTubeのインフルエンサーとか企業タイアップとか、ビッシリスケジュール入れるから覚悟して」

千をにらむ。

「体力には自信有ります」

「でも。今はあなたを感じさせて」

「ごゆっくり」

「あなたは平気なの?」

「平気なワケないですよ。2話で濡れ場書いちゃいました」

「咲姫と新乃丞?良かった。でも、本に出来るかどうかは審議ね」



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