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美容探偵〜この肌荒れの犯人は?〜

 白沢理沙は大学生になってから、一人暮らしを始めた。大変な事もあるが、色々自由に決められるのは楽しい。特に美容。好きなシャンプーや入浴剤を使っても誰も文句は言われない。


「ふふー。風呂気持ちいい。あれ、でも背中や首元にニキビあるな?」


 風呂に入っている時、新しくニキビができていたのに気づく。自然に治るだろうと思っていたが、そうでもない。


 炎症成分を抑える石鹸、ボディソープなどを使ったが、効果なし。それどころか悪化していた。


「そろそろ皮膚科行くかねー」


 大学のカフェテリアで愚痴っている時だった。元カレの中島優哉と再会した。


 優哉とは大学入ってすぐに付き合い始めたが。一カ月で別れた。変な陰謀論にハマり、ワクチンがどうとか言っていたからだ。とんでもない地雷な男。すぐに別れて何の後悔もしていなかったが、目の前にいる優哉はイケメンに変身していた。


 イケメンというよりは美人。特に髪も肌もツルピカで、女の理沙でも嫉妬しそう。痩せたようで、背筋もすっとしていた。それでも筋肉はあり、何だか強そう。筋トレもしているのだろう。


「優哉、雰囲気変わったね? 一体どうしたの?」

「っていうか、あんま近寄んないでくれる?」

「へ?」


 優哉は鼻を摘んでいた。失礼な男だ。


「理沙、柔軟剤使ってるだろ? あれはだめだ。陰謀論界隈では悪魔の如く嫌われてるからな」

「はー?」

「実は自然派美魔女ママにも手作り石鹸や化粧水を習い、美容に目覚めたんだ。どうだろう? イケメンになっただろう?」


 ドヤ顔。イライラするが、この男だったら肌荒れの原因がわるかも?


 騒がしいカフェテリアだったが、微妙な距離を保ちつつ、聞いてみた。


「原因は二つだ。さっきも言ったが柔軟剤が原因だ」

「柔軟剤って肌荒れの原因になるの?」

「なるよ。特に赤ん坊には使ってはダメだ。まだ素洗いの方がマシ」


 テレビCMで人気だった柔軟剤を使ってはいたが……。一人暮らしに浮かれ、柔軟剤も大きめなのを使っていたが、実家の母は滅多に使っていなかった事も思い出す。「いい香り」だと思っていたが、健康的はなかったのか?


「もう一つの原因は?」

「シャンプーかトリートメントのすすぎ残し」

「嘘?」


 信じられない。ちゃんと毎日すすいでたはずだが、そう言われると自信がなくなってくる。


「何で分かったの?」

「顔のサイドとおでこの生え際にニキビができてるからな。おそらく、今のシャンプーに入っている成分、特に香料なんかが合わないのかもしれない」

「そんな……」

「あと殺菌成分入りのボディソープや石鹸も洗いすぎると逆効果になるんだ。菌は敵じゃない。全滅させるより、理沙が飼いならせ」


 と言われても。


 半信半疑だったが、皮膚科に行くのも面倒になった理沙は、柔軟剤やシャンプー、トリートメント、炎症成分のあるボディソープや石鹸を捨ててみた。


 すると、だいぶ赤みが引いてきた。劇的に良くなったとは言えないが、原因は優哉の言った通りだろう。まるで探偵みたいだ。美容探偵だ。代わりにおススメされた石鹸を使ってみたら、徐々にだが良くなってきた。優哉の知り合いの美魔女自然派ママさんが開発したもので、特別に分けて貰った。


「という事で、ニキビ治りました」

「よかったな」

「うん、美魔女自然派ママの石鹸使ってるけど、これは私に合ってたみたい」

「だろう?」


 優哉にドヤ顔されるのは悔しいが、結果的には悪くないと言えるだろう。


「柔軟剤って調べると、科学物質過敏症の原因とも書いてあった」

「よく調べたな。そうだよ、特に柔軟剤の中に入っている香料はアレルギーになる人もいるんだ。身体に合わないと地獄だぞ。酷い場合は働けなくなる人もいるんだ」

「そうか……」


 今までは軽率に柔軟剤、シャンプーなどを使っていたが、今はもう少し考えてみよう。特に香りは他人に害を与える可能性もある。「いい香り」が全ての人に心地よいとは限らない。良かれと思っていた事も自分勝手に判断すると、望む結果にならないと悟った。悔しいが今回の優哉には勉強になった。


「ま、また肌荒れなんかがあったら相談しろよ」

「う、うん」

「俺は今、美魔女自然派ママ達と手作り石鹸や化粧品も作ってるんだ」

「そっか」

「おお、全ての人が美しく健康的になる事を願ってるぜ」


 また優哉はドヤ顔。まあ、この笑顔も悪くないだろう。理沙は苦笑しながら、優哉の顔を眺めていた。

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