巡りの時計塔
初めて小説を書きました。短編ですが、読んでくれた方にこの二人はこれからどうなるんだろうと色々と考えてもらえたら、うれしいです。
「今日はクリスマスか。」寒さで耳が赤くなりながら、真理は昔のことを思い出していた。それは小学2年生の時の事。両親は共働きで、5歳上の兄がいるが、部活で忙しいので家に帰ると一人でいることが多かった。でも二人とも帰ってくると「会いたかったよ~」とハグをしてくるし、休日には一緒に遊んでくれるから「寂しい。」と思うことはあまりなかった。しかし冬休みは学校がなく、親が仕事の日もあるので、少し寂しいと思うことがあった。その日はクリスマスで、図書館の本の返すために出かけた。図書館のすぐ近くに大きな時計塔があり、時計塔を見ているとまるで外国に来たみたいで、私が好きな場所だった。すぐ近くでしばらく時計塔を見ていると後ろから「こんな寒いのに平気なの?」と声がしたので振り返ると私と同じくらいの男の子がいた。どこかで見たことのある顔だなと思っていると、「僕、三山宗介!桜山小学校の2年なんだ。よろしく!」と言われ、少し驚いていると「ごめん。いきなり声かけてびっくりした?」と言われた。「..うん。少しね。同じクラスの男子ともあまり話したことなかったから。」「君も桜山小だよね?何組?」「2組の園田真理です。三山くんは?」「僕は4組。ここで何してたの?」「時計塔を見ながら、願い事してた。去年のクリスマスはお兄ちゃんと二人でご飯を食べたから、今年は皆で食べたいなって。」「そっかぁ。」そう言ったすぐ後、彼は何か良いことを思いついたのか、ポケットから何かを取り出し、笑顔で「これあげる!今日はクリスマスだから。」そう言って彼は、キラキラした星のシールをくれた。「さっき買い物したときにお店の人がくれたんだ。お父さんとお母さんに会えるといいね。じゃあ、そろそろ帰るね。」そう言って彼は少し離れた所で待っていたお母さんと一緒に帰って行った。私は幸せで満ちた気持ちで家に帰った。その日、両親は仕事を早く終わらせ、皆でクリスマスを楽しむことができた。それから三山くんとは結構話すようになって、友達になった。けど高校生になってから約1年間会うことがなかった。「また会えないかな。」そう思いながら、時計塔を見ていると「園田?」と声がして、振り返ると彼がいた。びっくりしていると「何か願い事?」「..うん。」「今日はクリスマスだから。きっと叶うよ。」彼女はもう叶ったなと思いながら、笑みがこぼれていた。
読んでいただき、ありがとうございます。