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神無月の集 2021秋の陣  作者: みふぎゅ
7/11

解仲吐軽-kaichu-tokei-

止まっていた針が 微かに震える


光閉ざされて

刻むことを止めた文字盤

伏せたままの背に

月日だけが積もっていた



俯くことに疲れてしまったの


重たい頭を支えきれず

堪え性のない首が

小さく軋んで抗議した



仕方なく

背ごと反らして天を仰ぐ

視界の端に写る

どこにでもあるカーテン


なんとはなしに 手を伸ばした



進むことを拒んだ想い

あの日カーテンと一緒に

この部屋に閉ざした


光差さぬ空間で

薄れることに抗って

その身 丸めたまま


突っ張ねたはずの時の流れ

留まっているはずなのに

引き摺るほどに伸びた

長い長い後ろ髪




揺れたカーテンが

飾られた小物を撫でる

積もっていた埃が

少し舞い上がった


居心地が悪くなって

すぐに目も反らした

一体どれくらい

こうしていたんだっけ?



見なければ気が付かなかったのに


動かない私だけを置いて

時は ちゃんと刻んでいたこと


触らなければ良かったのに


散らかる思考の外で

覆った手と目が

責任転嫁のドッジボール



急に馬鹿らしくなって

もう一度頭を起こした


何かに引っ張られて

小さな痛みが走る


動かした手の下に

伸び放題の黒い髪


溜まった鬱憤に押されるがままに

衝動に付き従う


無造作にひと括りに掴んで

切り落とした




はらはらと落ち

床に散らばる


吐き出された

やり場のなかった気持ちと一緒に

かき集めて全部ゴミ箱に捨てた




そう

いつだって終わりは 呆気のないもの


どうせいつかは切り捨てるのに

綺麗と言って笑う君のため

大事に大事に手入れをして



慣れない軽さに頭を振って

戻らない気配ごと振り払う


ここにはもういない

ここにはもう何もない



拒否権なく勝手に進む時間に

きっといつかは元に戻るけど

それはまた

その時になったら考えることにする



軽くなった身体に任せて

ひとり立ち上がる


カーテンに手をかけて

ひとつ息を吸った



伏せた時計から溢れる

カチリ動く針の音

サブタイが、段々『愛羅武勇』的になってきていて、我恥ずかしい

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