表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神無月の集 2021秋の陣  作者: みふぎゅ
5/11

仮想-ka-sou-

力の限り駆け回って

倒れこむよう背中預けた

名前も知らない柔らかな緑たち


陽射し浴びた温かさが

濡れたシャツ越しに

ささくれた肌を諌めた


なだらかな斜面に

両手足を広げて

深く息を吸い込んだ


僕の定位置 君の左側




息を吐きながら見上げた

吹き抜ける高い空

どんなに背伸びしても

決して届かない青


こんもりとした雲は今

もう影を潜めて

名残り惜しそうに

千々に尾を引く


今日も変わらず訪れる

群青と橙がせめぎ合う時間に

瞼を閉じて 思いを馳せた


君の定位置 僕の右側





わたあめのベッドに 寝転んでみたいな

寝返りをうつ度に ちょっと囓ってみたりしてさ



寝汗かいたらさ 大変じゃない?

とりもちみたいに なっちゃいそう



夢がないなぁ

どうせ叶いっこないんだからさ

こういうのは良いんだよ ご都合主義で



右側から聞こえる

合いの手に不満げな

少し不貞腐れた声





空翔る数多の星が

散り際を求めて 今日も瞬く

どんなに手を伸ばしても

決して掴めない光


こぼれ落ちるような

いくつもの明かりが

主張するように

宵闇を照らす


さよならの合図が

僕らに届く頃には

はじめまして よろしくね

違う光が 同じ場所で瞬く



僕らの定位置は

変わってしまったけれど

新しい場所でも

変わらない合図を送るよ





星が降ってきたらさ 素敵だと思わない?

イルミネーションなんて きっと目じゃないんだろうな



あの数が降ってきたら 被害甚大だよ

あちらこちら クレーターだらけになっちゃいそう



本当に夢がないなぁ

せめて イルミネーションは見に行こうか

くらい 気の利いたことは言えないと

心配で 本当に降ってきちゃうかもよ




いつも通りのやり取りに

呆れたような君の声


高い高い空から

聞こえたような気がした





お星さまになるんだ なんて

そんな夢物語 信じてる訳じゃないけど

どうせ誰も証明は出来ないんだからさ

こういうのは良いんでしょ? ご都合主義でさ


君だった白い雲が

尾を引いて昇った先は

苦しいくらいに晴れ渡る空


滲んだ視界で見届けたのは

間違いなく現実だから



案外ロマンチストも悪くないかな

似合わないと笑う 君が見たいな




新しい定位置 君の光の下

新しい定位置 僕の心の中

物悲しきは、秋の晴れ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ