役に立たないと言われた最弱能力者、ツッコミ役不在のため永久に勇者パーティーから抜けられない~ここにいてくれと言われても、マジで俺足手まといなんでやめさせてください(土下座)~
「荷物持ちロンよ。今から貴様を勇者パーティの一員として任命する」
「え、あ。はい!謹んでお受けいたします!」
僕の名前はロン。しがない平凡な荷物持ち、サポータをしている。
そんな僕だけど突然王城に呼ばれてこれは今はやりの婚約破棄か!?と思っていたら、なんとあの高名な勇者パーティの一員として僕が拝命を受けてしまったのだ!!びっくりしすぎていまだに実感がないがそういうことらしい。
でも僕みたいな使えない弱っちい奴なんか3日とたたずパーティから追放されてしまうのではないだろうか。きっとさんざんこき使われた後、それはもう牛乳をふいたぼろ雑巾のように打ち捨てられてしまうのだろう。せめて捨てられるなら美人の巨乳聖女様とかでお願いしたい。
「それではそなたの勇者パーティを紹介しよう。入ってまいr」
そんなこんなで僕が美人の巨乳聖女様から足蹴にされながら牛乳をふいたぞうきんではたかれる未来を想像していたところ、話はいつの間にか進んでいたようで王様が仰々しくパーティメンバーの入室をうながすとともに大きな音をたてて扉がばーんした。よく制服の胸ボタンがはじけてしまうあのばーんみたいなぱーんだ。
え、いったい何が起こっているだって?僕にもわからない。
バラバラになりみるも無残になった扉の影から5人の人間があらわれた。
「うっせー、オレの目の前を遮るなんて5億万年早いんだよこのくそ扉が」
「みよ、じぃ。勇者が扉をぱーんした。あの制服の胸がきつすぎてぱーんってなるような見事なぱーんであった。謎の懐かしさをかんじるの」
「ええ、素晴らしいぱーんでありましたね。ですが聖女様がお望みであればこの聖女様付き護衛騎士ハンス、いつでも王城の扉などぱーんしてみせましょう」
「勇者様、扉をそのように壊すなどあってはなりませんよ。ちなみにその魔法、縮小して衣服などに欠けることはできますかな。いえ、決して神のしもべたるわたしが悪用しようなど考えてはいません。単純な興味です」
「そんな魔法おぼえたってなんの役に持たたないわよ神官。時代は今、拘束魔法よ!」
なんだろう、彼らはもしかして自己紹介しながら扉から入ってくるタイプの人なのだろうか。どうやら彼らは勇者、聖女、騎士、神官、あとたぶん王道であれば魔術師だろう。言動はからはまったくそうは思えないのだが、彼らがそうと自己紹介するからたぶんそのはずだ。そうとは思いたくないが。
というか、そうであるならばもしかして億が一の可能性だとおもうが扉をバーンをした彼女が勇者様なのだろうか?そして、彼らが勇者パーティなのだろうか。そしてもしかして僕は今からあのパーティの一員にならなければならないの?え?地獄か?
「あー、えー。おっほん。諸事情により扉はぱーんしてしまったがあとは頼むぞ、勇者とその仲間たちよ。さぁ、憎き魔王を打ち破るため冒険の旅へ出るのじゃ」
「うるせぇ」
その瞬間、大きなばーんという音とともにはじけるボタン。王の服は無残にもはだけ、無駄にムキムキな大胸筋があらわになっていた。僕はあわてて目をそらしたが隙間から胸毛がみえてしまった。いや、だから何だという話なんだけど。
「オレに指図してんじゃねぇ、このあんぽこなす」
僕はその言葉で確信した。たぶん、勇者はアホの子であると。
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王城からぶじ捕まることなく出た僕たちを待ち受けていたのは魔物ではなく、魔物よりも言語中枢がぶっ壊れていそうな勇者パーティの再自己紹介だ。
「オレは勇者。てぇめえなんぞに名乗る名前はねぇ。なぜならオレがオレの名前を忘れたからだ。嫌いなものはオレに指図するやつ、あとかずのこだ。黄色くてつぶつぶしてるからだ」
「わらわは聖女。9歳じゃ。いくらわらわが美しい性根のよい女児だとしてもそのいかがわしい小汚い手を伸ばしてはいかんぞ。」
「私は聖女様に一生お仕えします、騎士。聖女様をその不埒な手で触れた罰。さっそくで悪いが死ね」
「お待ちください。騎士よ。たとえ許されざる罪を犯そうと、御年9歳の幼女に手を出そうと、許されざる罪などありましょうか。哀れな咎人よ、ご安心ください。幸い私は神官なのであなたの懺悔を聞きましょう。あ、ちなみに料金表はこちらです」
「相変わらず、口ばっかでうるさい男ね神官。私は魔術師。拘束魔法とドリルが得意な科学者よ」
「あ、えっとサポータのロンです。あまりよろしくお願いしたくありません…。出来れば皆さんのお邪魔になる前に追放していただけると嬉しいです…」
結論、再び自己アピールをしてもらったにもかかわらずまったく彼らの長所がわからなかった。というか勇者パーティへの志望動機すらわからなかった。
ちなみに僕が勇者パーティの一員になったのは親に言われたからという立派な志望動機がある。
「お、なんだ。今流行りの追放ものの心配をしてんのか?安心しろよ。追放なんてしないさ。なんせ俺たちが国から追放されたようなもんだからな」
「なおさら最悪だよ」
こうして厄介者の勇者パーティの一員として国から追放された僕たちは秘められた力がなんかぱーんってなり、なんやかんやあって魔王を倒したが別に国から戻って来いと言われることもなく普通に国外追放された。
だれか頼むから僕をこの勇者パーティから追放してくれ。
読んでいただきまして誠にありがとうございます。