詩篇10 雪とわたし。それを実は生きるという
雪は降っているというよりも浮いているように見えて、
だけど必ず例外なくどこかに落ちていて、
それはやっぱり、降っているというのかな。
活動が奪われて、雪の中は、空気の振動さえ、しんと停滞して、
静。
それにしても、しんしんという言葉が全く似つかわしくない傲慢な降り方。
無性に、無性に。わたしの活動も奪って欲しくなりました。
その傲慢さをもって。
わたしの生も奪って欲しくなりました。
絶つのではなく、奪って。
溶けて。無に。はじまりから。音も無く。色も無く。匂いも感触も無く。
だけど、そんな今でも、わたしは雪について、それからわたしについて、思うのです。
もしも思考だけがあったとしたら、
わたしはきっと発狂も出来ぬまま、それを絶つ術だけを探すことでしょう。
雪はやさしくわたしを滑り落ちる。
そして光を吸収する。
それだけです。
それだけを、わたしの全部で見るのです。