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Nightmare Alice  作者: 雀原夕稀
第三章 劫火の内で騎士は吼える
113/124

劫火の内で騎士は吼える——号砲——

 見えない第三者による、突如の介入。状況が未だ掴めない中、冷徹な声が一同の耳に入る。


「——急いで撤退するぞ」


 無論、そう告げたのは保守派の聖騎士だった。それは闇に覆われる前に話していた、撤退の一件の続きだった。


「先程の闇といい、何かが起きているのは間違いない。これ以上状況が悪化する前に、急いで引くべきだ」


 それは決して間違ってはいないものの、もちろんそれが全てでは無い。


 彼は内心の動揺を抑えるのに必死だった。先程までデュバリィに問いつめられていた件は、()()()()()隠し通さなくてはいけないもの。

 その事に、確信に触れていないとはいえ言い当てられたことは、彼にとっても予想外だった。

 そんな不測の事態で起きた異常事態は、彼にとっては幸運だった。このまま話をうやむやにして乗り切れば、最悪の事態は免れる。彼はそう算段を付けていた。


 ——しかし、事態は彼の思わぬ方向へと転換していく。


「......いいえ、やはりここを調べるべきです!」


 皆が、一斉に声のした方向へと視線をやる。発言者——教義派の教会騎士は戦意と覚悟を滾らせて、保守派の聖騎士へと向き直っていた。

 保守派の聖騎士は目を剥く。まさか、ここで身内に反抗されるとは思っていなかったのだ。


「何を言っている?状況が理解できていないのか?」


 彼は手に持つ用紙を再び掲げる。それは教会に属する者にとって、逆らいようのない物。枢機卿という、権力の頂点からの指示。そしてそれに逆らえば、破滅は免れないことまで説明したのだ。


「......っ、ですが、ここまでこれたのは奇跡です!それなのに、ここでおめおめと引き下がれというのですか!魔物を討つために、我々は命を捧げているのです!それなのに、どうしてここで引き下がれましょうか!?」


 だが、それでも教会騎士は引き下がらなかった。教義派は、魔物の抹殺を第一に掲げる、教会最大の派閥だ。そこに属する者の中には、家族を魔物に殺され、その恨みから教会に属した者達も多い。

 そんな騎士は、一様にして狂信者の如き一面を持っている。魔物を討つためなら、全てを捧げる覚悟を以て。


 聖騎士に反抗した教会騎士も、まさにそんな一人であった。先ほどは枢機卿の名と、〈烙印〉刑の話を次々に出され、その恐ろしさを知るがゆえに、身を引いてしまった。

 しかし、先ほどの闇の介入によって、彼は一度冷静さを取り戻していた。そしてたとえ〈烙印〉を施されようとも、魔物を討つためにはここで引くことはできない。そう覚悟を決め、上位の聖騎士へと反抗を示したのだった。


 その答えに、聖騎士は呆れたように大きな溜息を吐いた。そのまま教会騎士へと近づき、彼の喉をわしづかみにした。


「......まったく、これだから教義派は面倒だ。——いいか、烙印だぞ?本当に分かっているのか?」


 怒気の籠った低い声に、教会騎士の身が震える。首を掴まれているせいで、呼吸もままならない。

 それでも、彼は引かなかった。苦し気に、それでもまっすぐと聖騎士を睨みつける。


「烙印、など、怖くないっ......。災位、討つため、なら、全て、捧げまっ、しょうっ......!」


 たとえこの任務後に力を奪われ、みじめに死に絶えるとしても。それでも、災位を討つための機会を、逃してはならない。それは魔物への憎悪が為したものか、或いは教義への忠誠心の賜物か。どちらにせよ、彼は己を犠牲にしてでも、信念を貫く覚悟を決めていた。


 しかし、その思いは保守派の男には届かない。彼にとって、従うべきは教義でも信念でもなく、上の指示なのだから。


 聖騎士は辟易したように顔を顰め、教会騎士の首から手を放す。崩れ落ちる騎士、彼の腹部に苛立たし気に蹴りを入れ、その身を吹き飛ばす。蹴り飛ばされた騎士は吐瀉しながら転がり、倒れ伏す。

 同僚が彼を心配して慌てて駆け寄り、残りの者は蹴りを入れた聖騎士に対して非難の視線を向けた。それがまた、聖騎士を苛立たせた。


「言っただろう、こちらには枢機卿の勅命が————」


 自分は間違ってなどいない、そう告げるように男は三度紙を掲げた。それは彼にとって錦の御旗であり、切り札であるからだ。これがある以上、他の者達は彼に従うしかない。教会の中で、枢機卿の権力は絶対。同格たる他の枢機卿、もしくはその上に立つ教皇、そして特別な地位に位置する聖人。その地位に位置する数人以外は、その力に従うしかない。

 先程声を上げた教会騎士も、地に伏したまま悔しそうに唇を噛みしめる。


 そして、逆らえないのは教会の者だけではない。召喚者たちは、罪のない教会騎士たちが犠牲となる選択は取れない。

 王国騎士の場合、枢機卿の意に反することで教会と王国の仲をこじらせるわけには行かなかった。任務を達成できないとしても、その為に国家間の問題を起こすなど、出来るわけがなかった。

そうして全員が彼に従うしかない、——その筈だった。


 ——突如、小さな光が奔り、男が手に持つ紙が金色の炎で燃え上がった。


「っなぁっ!?」


 急な事態に男は驚愕するが、彼が何かを行う前に勅命書は一瞬で燃え尽き、灰となって散ってしまった。その事を男が受け入れる間も無く、その喉元に剣先が突きつけられた。

 その下手人に対し、聖騎士は憎悪を込めて睨みつけた。


「っ、()()()()、貴様ぁっ!」


「......死にたくなければ、動かない事ですね」


 デュバリィは剣を動かすことなく、淡々と告げる。そのまま詠唱を告げると、保守派の男の体が金色の枷で拘束される。

 男は拘束を破ろうともがくが、彼女の聖術はビクともしない。同じ聖騎士であっても、彼女と男では実力が違う。保守派の男には、その拘束を破ることは出来なかった。

 男は暴挙を犯した女騎士へと、殺気の籠った視線を向ける。


「っ貴様、何を考えているっ!?枢機卿の勅命書まで燃やしておいて、ただで済むと思っているのかっ!」


 拘束されている男は、彼女の正気を疑わずには居られなかった。枢機卿は教会の中でも頂点に近い者達だ。それを知っていながらこのような行動を取るなど、男には自殺行為としか思えなかった。


「何ですか、それ?勅命なんて、私達は知りませんけど」


「貴様、そんな言い訳が......」


 デュバリィは、そんなもの知りはしないと惚ける。その態度苛立ちを募らせ、男は再び声を荒げかけ——。


「————そういえば言ってませんでしたね?私の本名、デュバリィ・イクス・テイラーと言います」


「............は?」


 彼女の暴露した事実に、言葉を失った。これが証拠ですよ、とおどけながら彼女は身分証を取り出し、男の顔の前に突きつけた。男はその事を呑み込み切れないまま、呆然とそれを見つめていた。

 彼だけでなく教会騎士達の間にも、動揺が走っていた。唯一動じていないのは、そのことを事前に知っていた改革派の聖騎士のみ。


「......あぁ、そっか」


 それを見て、綾は気付いた。あの日デュバリィが本名を名乗った際、彼女は愛称で呼んで欲しいと口にしていた。それの本当の意味は身分の偽証——彼女が自らの生まれを、同僚にすら隠していたからだったのだと。


 正体を明かしたデュバリィは、拘束された聖騎士の前にしゃがみ込み、視線を合わせる。


「それで、どうします?この事実を報告して《烙印》を私に刻みますか?——あなたにテイラー家を敵に回す度胸があるとは、感心しましたよ」


「............っ」


 聖者の一族の名と権力、それは決して張りぼてなどでは無い。それは、男が枢機卿の後ろ盾を持っていようと変わらない。


 ——何故ならテイラー家の現当主、デュバリィの父もまた、枢機卿なのだから。それも男に指示した枢機卿よりも強大な、教皇に限りなく近い権力を有している程の。


 男は理解せざるを得なかった。自分には、彼女に従うしかないのだと。仮に枢機卿の勅命書が残っていても、それがもはやただの紙切れと同じ、無価値な物に変わってしまったことに。

 何も言い返せなくなってしまった保守派の聖騎士を、デュバリィが見下ろす。その目に冷たい光を宿しながら、男の反応を一挙手一投足、見逃さないように。


「さて、先程の話に戻させてもらいます。保守派は、何を隠していますか?」


 それは、周囲が闇に覆われる前の話。廃墟の中で、彼女が問いただそうとしていた件について。


 先ほどの態度からも、男が何かを隠そうとしていたことは明らかだった。一行内には他のも保守派に属する者はいるが、彼女が観察していた限り、聖騎士の男以外はそのことを知らないように見えた。枢機卿の勅命を見た時の反応なども見ても、その可能性が高かった。

 ここが危険地帯で、何か異常事態が起きているのだとしても。今は情報を引き出すのが先だと彼女は判断した。


 それに対し、保守派の男は口と目を閉ざし、答えるつもりがないことを態度で示す。

 彼にとって、自身が受けた命令は絶対。それに伴い知った秘匿事項もまた、言えるわけがない。しかし、ここで話を逸らすこともまた、難しい。


 だから、彼は無言を貫くことにした。この危険地帯で、いつまでもこうしているわけには行かない。しばらくしない内に、動く必要がある以上、事を後回しに出来る。その隙をついて、彼に与えられた()()()()()を実行すればいい。


 本来ならもう少し気を伺うつもりで会ったが、デュバリィに疑われている現状では、多少強引にでも行動を起こさなければいけない。彼は黙り込んだまま、内心でそう方針を決めていた。


「——骸王の()()。それに関しては、おおよそ検討はついていますけれど」


「っ!?」


 直後、目の前から聞こえたその言葉に、思わず顔を上げてしまったが。そして目の前に立つ女騎士の顔を見て、それが決してハッタリではないと分かってしまった。

 そう、デュバリィはおおよその答えを出していた。推測ではあっても、今まで見聞きしたことを総合し、見えてくるものがあった。


 拘束した男から視線を外すことなく、彼女は己が推測を語り始めた。


「先程も言いましたが、ここの死霊はおかしい。あの聖術を受けて、あれだけ討ち漏らしが出たことは異常でしかありません」


 では、何故死霊達は耐えられたのか。彼女が出した答えは一つ。


「恐らく、この樹海の死霊達は聖術に対して、何かしらの()()のようなものを有しています。個体ごとに差はあると思われますが、おそらく間違いはないでしょう」


 その場にいた全員が、息を呑んだ。ほとんどの者は信じられないその推測に、そして一人だけは事実を言い当てられたことに対して。


「っあり得ません!?相手は魔物ですよ、そのような馬鹿げたことが、ある訳がっ!?」


 真っ先に否定の声を上げたのは、教義派に属する教会騎士だった。その反応も無理からぬこと。聖典教会において、聖術の力は絶対なもの。それが通用しない魔物など信じられるはずもない。

 しかし、彼らも実際に目にしていた。下位の死霊でありながら、聖騎士の聖術を受けてもなお消滅しなかった魔物の姿を。


 困惑が広がる中、彼女は自身が導き出した答えを口にした。


「ええ、そうですね。でも、こう考えれば辻褄が合いませんか?」




 ————骸王。生前の奴が、()()()()であるのならば。




「「「—————————」」」


 誰もが言葉を失った。それが、あまりに馬鹿げた話だったからだ。魔物を滅する事を第一とする教会の者が、自ら魔物に堕ちるなど、万が一にもあり得ない、あり得ていい話では無い。


 だが、誰もそれを笑い話と切り捨てることは出来なかった。彼らは見ていたからだ。


 ——保守派の聖騎士の顔が、激しく引き攣ったところを。


 沈黙を破り、再びデュバリィは語り始めた。


「そう考えれば、色々なことに説明がつきます」


 彼女は疑問を抱いていた。聖典教会が骸王討伐に動かない理由、その一つが、骸王が帝国側を攻めているからというもの。敵の敵は味方、とまでは行かないにしても、樹海に阻まれている上に聖教国を襲撃することも無いのなら、放置した方が得策なのだから。


 それでも、樹海を突破できないという理由だけで、災位の討伐を諦めるのか。特に教義派が、それを大人しく受け入れるなど、彼らの姿勢を知る彼女からすれば考えにくかった。

 それに、果たしてそれは王国の任務を邪魔するほどの理由になるのか。教会から『王国勢力の樹海への侵入を阻止する事』という命を受けた当初から、彼女はそれが疑問であった。


 しかし、骸王の正体が想像通りであるなら、それらに説明がつく。


「聖典教会出身者であるなら、聖術にも詳しいでしょう。そしてどのような原理かは分かりませんが、彼の者は生み出した。——死霊に対し、聖術への耐性を付与する方法を」


 そして樹海が出現して以降、骸王は南に攻めてはこなかった。骸王がかつて聖典教会に所属していたのであれば、聖人含め自身を殺せる力を持つ者がいることも分かっていただろう。だからこそ、護りを固めただけで、攻めることをしなかった。


 その後聖典教会は討伐に動き、......その結果は知っての通り。


 樹海という特殊な環境、そしてどうしてか効きづらい聖術。多くの要素に阻まれ、樹海への遠征は散々な結果に終わった。


「どういう経緯かは、把握できません。けれど、その時期に教会上層部は突き止めたのでしょう。——骸王が、何者なのか」


 そして教会上層部は、教会戦力以外に骸王を討たせるわけには行かなくなってしまった。仮に接触し、骸王の正体が明らかになろうものなら、教会の威信に係わるのだから。

 だから、教会は樹海への不可侵を貫き、他国の兵が樹海に入ることも防いできた。


 そして、もう一つ。デュバリィはある推測を立てていた。


 ——今回、なぜか王国勢に亡国跡まで進むことを保守派が黙認した。そこに、()()()()があったのだとしたら。


 デュバリィは、冷たい視線を保守派の男へと向けた。


「あなたの本当の目的は、教会勢力だけで骸王討伐を可能とする事。その為の道を開拓して——その()()()()()ことこそ、本当の任務だったのでは無いですか?」


「「「......っ!?」」」


 それがどういう意味かは、言葉にしなくても明らかだった。


 教会上層部には、自分たちだけで骸王を討つしかない。しかし、その為の手段を彼らは有していなかった。

 その折、ビレスト王国が勇者召喚を行った。そしてそれから一年もしないうちに、樹海の攻略に動きだしたことを見て、彼らは気づいた。召喚者の中に、あの樹海を突破する手段を持つ者がいることを。

 それは教会にとって危機であると同時に、好機でもあった。今は王国の元にあったとしても、それを奪い取ればいいのだ、と。


 この場にいる誰もが、保守派の聖騎士が何をするつもりだったのか、分かってしまった。




 ————《千里の標》を持つ、三塚綾。彼女を誘拐するつもりだったのだと。




 彼女の言葉に対し、男は沈黙を貫いたままだった。しかしそれこそが、何よりの答えだった。


「————っ」


 綾は、恐怖で体が震えるのを抑えられなかった。一カ月もの間すぐ近くに居た男が、自分の身柄を狙っていたのだから。

 京香や拓馬は、仲間を狙われていたことに憤りを抱き、男を睨みつけた。王国騎士や教会騎士も、非難の視線を彼に浴びせかける。






「————()()()()()()()






 そして晃は、行動に移した。


 周囲の気温が跳ね上がり、周囲の地面を覆っていた雪が蒸発する。誰もがその原因へと視線を向け、目を瞠った。


 いつの間にか、晃の手には()()()()が握られていた。武骨ながらも美しさを兼ね備えた、炎を思わせる真紅の弓。そしてその弓には矢の代わりに、それに似た形をした炎が番えられていた。


 その武装が宿す力を感じ取り、誰もが数歩後ずさっていた。


「............随分舐めたことしてくれるじゃねぇか」


 怒りを孕んだ声を漏らしながら、晃は弓を天へと構えた。保守派の男は、その姿に嫌な予感を覚え、冷や汗を流す。


「おい、何をするつもりだっ!?」


 晃は視線だけを聖騎士へと向けた。その目に宿る炎に、男は声を失った。彼よりも年下の青年が放つ、怒気と覇気に呑まれ、何も言う事が出来なくなってしまったのだ。


「......こうすれば、骸王の動きにも変化が現れるだろう?もしかしたら、南に軍を動かすかもしれない。そうなれば、お前らも討伐に動き出すしかない、だろ?」


「————は、はぁっ!?」


 その意味を、誰もがすぐには理解できなかった。そして理解すると共に、戦慄する。


 晃は、骸王を焚きつけるつもりであると。それが最悪の場合、彼らの国に被害を齎しかねないと理解し、その上で被害を防ぎたいなら討伐に動けと、そう脅しているのだと。

 その答えに、王国教会関係なく、晃を止めようとする。だが、彼が構える弓から放たれる熱に、誰もが近づくことが出来なかった。


「————忘れているようだがな」


 晃は、静かに宣言する。


「俺は、この世界の人間じゃない。......別に俺だって、人の命を軽視してはいないし、被害を出したいって訳でも無い」


 ——だがな。


 彼の怒気に呼応するように炎の矢は燃え盛り、その大きさは槍と見間違える程に膨張する。


「俺にとって一番大事なのは、仲間だ。——それに手を出そうとしたんだ、覚悟は出来ているだよなぁっ!」





 —————炎装三式・轟炎弓。





 その一言と共に、炎の矢が放たれた。


 一条の炎が、天に放たれた。空に上った矢は遥か高くまで上がったところで、無数に分かたれた。分裂した矢は炎の雨となり、廃都に降り注ぐ。

 地面に到達した矢は熱を噴き上げ、周囲に火の手を広げる。炎は廃都全域にまで伸び、色を喪った地を朱に染め上げた。


 火の手は彼らの周り()()及んでいた。とっさに京香が《天翼》で風を起こし、周囲の炎を()()()()()吹き飛ばす。もちろん、それで吹き飛んだのは一握りでしかない。廃都全域を覆う炎の勢いは衰えず、周囲の気温が何度も上がったのを誰もが肌で感じ取っていた。

 炎は衰えを知らず、止めどなく燃え広がる。一瞬で地獄のように変貌した光景に、そしてそれを齎した晃に、誰もが畏怖の感情を抱かざるを得なかった。


「......貴様っ」


 保守派の男が呆然と呟いた。先程のデュバリィを遥かに超える暴挙と、想定もしていなかった晃の実力に、呆ける事しか出来なかった。


「さて、これでお前らは決めるしか無くなっただろ?」


 晃は挑発的な笑みを浮かべた。その不遜な態度、後先考えない無謀な行動に、他の者達が怒りの矛先を向けようとして。





 

『————()()()()






 ————絶望が、顕現した。




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