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Nightmare Alice  作者: 雀原夕稀
一章 夜会は血と怨嗟に塗れる
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隠匿されし宝物庫の秘密

 え~、こちら右手にありますは、とある魔物の牙から作られた剣。数百年前に作られた一品で、当時の公爵家所属の騎士が打ち取った魔物の牙を使った物です。

 続いた左手の方、こちらにありますのはミスリルの全身鎧。軽量で魔力に高い耐性を持つミスリルで作られています。制作費用は、...お察しです。

 

 ——ワタシが今何をしているのか。それは、宝物庫の探索である。


 

 

 無事進化にも成功し、残りは二ヶ月。今まで通りにスキルを鍛えつつ、新しいスキルの細かい検証や体に慣れるようにしていかなくちゃいけない。色々とやることは多いけれど、それと並行して手を付けようと思っていたことが一つある。

 それは、宝物庫の本格的な探索。ここ一カ月はあくまで人形の改造用に一部を見ただけで、宝物庫全体は全然見れていない。この宝物庫は屋敷の敷地地下にあるんだけど、...ここ、すごく広い。入り口の扉から左右に数百mはあると思うし、奥行きも結構ある。屋敷の建物と同じくらい、いやそれ以上に広いかも。これだけの広さなら、もっと人形に向いていた素材や道具があったかもしれないし、何か面白いものも見つかると思う。


 

 という訳で探索を始めたんだけど、...正直キリがない。入り口周辺には結構乱雑に物が置かれていて、ワタシが作業していた場所以外はスペースがほとんどない。そこから何とか奥に入ると物品の種類ごとに分けられている。例えば今いるのは武器各種がある場所。他にも芸術品、書物、薬品系等とある程度整理されている。場所によっては戸棚に陳列されている物や、ガラスケースに飾られているものもある。


 その上各物品の量もとんでもない。今見ている武器だけでも、ズラリと並べられている。剣、大剣、槍、斧、盾、弓、鎧、その他諸々。とんでもない魔物の素材から作られた物や、貴重な鉱石から作られた物、複雑な機構を組み込んだ物等、作られた素材や年代も様々。...まあ、ワタシには使えない物がほとんどだけど。

 


 それはともかくとして、ここの宝物庫は本当に物が溢れている。私だった頃、元の世界で行った博物館と遜色ないどころか、それ以上と言ってもいいと思う。流石は名高い公爵家の宝物庫。...なのだけど、一つ気になっていることがある。

 ...入り口、何であんなに乱雑なの?いや、入り口だけじゃなく、物が積み上げられているだけの場所がところどころにある。大抵は壁際だからそこまで邪魔ではないけれど、何だか違和感が。

 

 入り口はまあ、まだ分かる。兵士に運ばせた物はそこにまとめて置かせているから。兵士に運ばれるようなものだから、希少価値もそこまで高い物では無いし。ワタシの体になった人形も、髪部分以外の価値はそこまで高くはないから、あそこに置かれた訳だし。

 その入り口にしたって、もう少し整理してあってもいいんじゃないだろうか?それに、折角種別ごとに分けている奥に乱雑にまとめておく理由が分からない。これじゃ、探し物があっても見つけられない可能性すらある。あまりにも不自然な...。


 ...そう、あまりにも不自然すぎる。まるで何かを隠すように、そこに物をまとめている?だとしたら、あの山の中に何かが、隠されている?

 ...いや違う。それじゃ、いくら何でも分かりやすすぎる。だとしたら、あれはフェイク。もしかしたら罠すら仕掛けられているかもしれない。試しに、壁際にある山の一つを念入りに調べてみたら、ビンゴ。いくつかの宝物が、特定条件で発動する罠だった。迂闊に触らなくて正解だった...。


 他の山もそうだとしたら、そこまでして隠したいものは?考えられるとしたら、この宝物庫の中で一番大切な物。どんな物品よりも大事な物は、いったい何?

 貴重な素材、古の遺物、禁忌中の禁忌に触れるような危険物...。

 違う、どれも違う。それよりも大切なものが、一つあるだろう。

 

 ——それは、この宝物庫を守るためのもの。他の宝物を守護するもの。...この宝物庫に施された、術式の核しかない。


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