0.少女が歩んできた人生
はじめまして。
のんびり投稿させていただきます。
気に入っていただけると幸いです。
――私の声は、誰かに届けることができたのだろうか……。
たとえ泥の中で生まれても……そこから抜け出すために必死に足掻いて、唯一の取り柄だけを武器に走り続けてきた。
皆にこの歌が届くように、と……。
私の人生が惨めだろうが孤独だろうと、そうだったかなんて私自身が決めることだ。
ただ純粋に、私らしく生きてみたい。……そう望んだだけだったのに……。
「――・・・・。」
――気付けば私は血溜まりの中で倒れていた。
今日まで寝ずに、やっと出来た新曲の歌詞が書かれた紙を握り締めて。
(……あぁ、そうか……。)
瞬間、理解した。
こんな走馬灯みたいな思い出が流れたり、頭の中で今までの私の人生が語り部のように囁かれているのも……全部。
――今日で、終わってしまうからなんだ――・・・・。
結局私の歌なんかじゃ何も叶えられなかった。
この願いも、想いも、誰にも届けられないまま終わってしまう。
こんなあっけない結末で私は死んでいくんだ。
(――せめて、この曲だけは社長に渡したかったな。あの小説もまだ全然読み足りなかったのに。
……管理人さんにも曲が出来たお礼、まだしてないのに……まだ……。)
痛みはなかった。感じなくなっていたのかも知れないけれど。紙を握り締める力は変えないまま私は静かに目を閉じる。
同時に、一筋の涙がはらりと頬を伝って降りていた。
その、すぐ後だった。
「・・・・。」
――――声がする。
「――――・・・・。」
(……誰?……何て言ってるの……?)
「――てみる……?」
(え?……)
「――もう一度、生まれ変わってみる?……今度は、別の世界で。」