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プリズム 2
じゃあな、ありがとな!
と、店を出た男は、自分のアパートに足取り軽く戻る。
(それだよ!、確かに、それは、あり得る!!)
と、軽快にアパートの階段を駆け上がり、自室に入ろうとポケットにあろうはずのキーを右手をで探り、左手でドアノブを握ると、ドアがキーっと開いた。
中は灯りがついており、テレビの音が聞こえてくる。
恐る恐る男が中に入ると、ペタンと床に座り、テレビを見ている元カノの後ろ姿が見えた。
男は、少し離れた場で、それをしばらく見ていた。
ふと、この状態が彼女に先に気づかれると、己の自宅にもかかわらず何か自分が滑稽だと思い、一歩踏み出した瞬間、ガタッと音を出してしまい、
女は、振り向き、
「ひさしぶり~♪」と、男を見ると、また、ゆっくりテレビに視線を向けた。
それを見た男は、黙って彼女に歩みより、後ろから優しく抱きしめて静かに泣いた。
彼女と自分は永遠に分かち合えないだろうと。
今の俺では駄目なんだ、と。
【おわり】




