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緑色の騎士

 私がここへ来てもう2年がすぎ、私は108歳となりました。ゲーム開始の年です。この年の冬に魔王が復活し勇者が魔王を倒すために旅に出ます。


 2年間下積みを重ねて、私に好感を持ってくれているであろう騎士団の皆さんと使用人と交友関係を深めつつ、どうしようか考えていました。


「どうなされるのです、魔王がまた、、」


 メリアはもうすぐで500歳になるエルフで400年前の災厄を経験しており、その時はまだ東洋の方で家族で暮らしていたとか。魔王再来の時に家族が亡くなったのでエルフの森を訪れたと、聞かされました。


「森精種は魔物に狙われやすいですから、、」


「確かにそうよね、、」


 精霊の洞窟や、天翼種の島、人魚の住む洞穴、ここエルフの森は早々に焼き払われてしまうか、蹂躙され尽くしたあとに全員奴隷になるか、となります。魔力値が高く場所自体も神聖な場所だからです。


 リューリア悪堕ちフラグへの道が始まってしまったようで嫌がらせに拍車がかかってきているように感じます。

 この前なんか、食事に芋虫が入っていました。


 今日は一人でエルフの森最奥の遺跡へと向かう予定でしたがメリアが激しく止めに入るので今日は騎士の練習試合に付き合うことにして私の持ち物の中では動きやすい公務用のドレスに身を包み鍛錬場へと向かいました。


「リューリア様、おはようございます。」


「おはよう、ダリアート」


 騎士団長の名前はダリアートと言うということをこの2年の間に知りました。真面目な人柄で騎士団全員から好かれ国の上層部からの信用も厚い美丈夫です。


「今日はリューリア第2王女殿下が手合わせをしてくださるそうだ!!!心して鍛錬に励むこと!」


「はい!!」


 古参の騎士は活気に満ちた声で応えてくれるものの最近騎士に抜擢された者達は若干不満そうな顔をしています。

 若いなぁと思いついつい微笑んでしまいそうですが真面目な顔をしなければなりません。


「では、手合わせを始める。1人ずつ相手をしましょう。」


 最初は剣の扱いに慣れるのも難しいと思っていましたが便利なことに体が覚えていました。

 王族に伝わる剣術は習わせて貰えませんでしたが独学で学んだであろう剣の腕はなかなかです。


「私からでよろしいでしょうか」


 緑色の髪に真っ赤なルビィをはめ込んだような青年が剣をたずさえて1歩前に進み出ました。

 先程不満げな顔をしていた新入り騎士の1人ではありますが公爵家の血筋で剣術の才能は折り紙付きです。

 何度も彼の試合を見てきましたが立ち回りは軽やかで古参の騎士を倒している姿も見られました。


「はい、ではそちらからでどうぞ。」


 私が剣を抜いた途端、緑髪の剣士は正面からとてつもないスピードで突っ込んできました。

 本気で勝つ気だそうです。


「ーーっ、」


 剣を横に向け衝撃を受け流しますが今度は体重をかけながら正面から押し込んできます。

 力技なら私は押し負けるかもしれないので踏ん張って切り払うことにしました。


「女のくせに、、」


 悔しそうに長剣を携えた緑色の騎士は美しい目を吊り上がらせて睨み付けてきました。さすがイケメン。あんな姿まで絵になります。


「もう終わりなのか?」


 リューリアの身体はまだ足りないようで、つくづく身の丈に合わない身体に転生してしまったなぁと感じました。


「うるさい女狐!!!」


 王女に女狐って、いいのだろうか。と思いつつも再び剣を構えて今度は下段から肩口に向かって切上げた後刀身を横にして身体を回しながら切り込みました。

 流石は騎士。切り上げの威力を殺しダメージを最小限に抑えましたが回転斬りの威力を殺しきれず彼の体は後ろに飛ばされます。


 地面に尻餅をついて自らの長剣も取り落としてしまった彼は悔しげに唇を噛み地面の土を握りました。


 試合は終わらせなければならないので、彼の体を剣の鞘で押さえ付け鍛錬を終わらせます。


「いい剣術だけれど、動きにくそう。長剣は合わないんじゃないか?」


 と、剣を収めいつもの通り手を差し出しますが振り払われました。


「俺は貴方のことを認めない、、エルブンガルドの女狐め、」


 自ら立ちあがり体についた泥を払い落としてすぐさま歩き去っていってしまいました。

 私がハーフの子供だと知っていたのでしょうか、それとも何かしたのでしょうか。


「申し訳ありません、何分若いもので、、」


「構わないさダリアート。」


 まぁ、あのくらいは可愛いものです。今度は微笑んで緑色の騎士の失態をさらりと流すことにします。

 しかし、手合わせが終わったあとドレスがところどころほつれたり砂埃で汚れていたり切れてしまっていたりしていました。


 メリアにどやされてしまうと、若干びびりながらもどう隠そうか考えたのは言うまでもありません。

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