わたしがしんだあと
皆さんこんにちは!!☆有川こと、前世トラックに追突され呆気なく死んで転生しました、リューリア・エルブンガルドです☆
このキャラめちゃくちゃ死にかけるし皆に嫌われるしほーんと大変!!私どーなっちゃうのおおお!?
と、少女漫画風に自己紹介してみましたが、1人でそんなことを考えてもただただ虚しくなるだけでした。まつ毛を伏せてどこぞの酒飲みのような溜息をつきました。メリアがいたら絶対に怒られてしまいます。
前世の私とは違いキメ細かい白い肌、夕日を閉じこめたような瞳に白銀の艶やかな長髪、手足長いモデル体型。まさに美少女然とした、死んだ目をした魚みたいな前とは全然違うなぁなんて、一人で寝るにはあまりにも広いベットに横たわりひとしきりころげ回りました。
今日歩き回って分かったのはリューリアが現在、105歳(肉体的には15)であること、まだ魔王が復活していないこと。“ セイレーンファンタジア ”はイケメン魔王が仰々しく復活してから始まるのでゲームはまだ始まっていません。
リューリア悪堕ちが確か108歳の誕生日イベントの時ですから、あと3年くらいしかないことになります。城を出て行くだけなら出来るのですが、そうなるとメリアや私のメイド達、優しい騎士団の方々が心配になります。
「あ〜、どうしよう、、、」
だらしなく大の字のままひとまず眠りにつくことにしました。
メリアに怒られるなぁ、、、。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「〇〇起きろーーー!!!」
懐かしい響きで呼ばれた気がしました。事故死のショックでしょうか、名前が思い出せません。
もう少し寝ていたいなと、自分の枕に顔を埋めていました。
「あと5分で起きんと遅刻するよ!!ほら!〇〇」
こんな風に起こしてくれるのは母だけだったので寂しくなりました。リューリアの母は幼少期に既に他界しており今はシンデレラの継母のような権力を振りかざす王妃だけがリューリアの形だけの母だったので。
「おい、真理、何やってるんだ、」
「え?〇〇を起こしてるのよ今日学校なんだから、、」
「〇〇は、死んだじゃないか、、」
「え、だってこうして、、」
目を開くと私の体は半透明、眠っていたのはベットではなく贈り物で溢れた棺の中でした。
体には布がかけられて顔も傷だらけです。トラックに撥ねられればそれはそうでしょう。
母の顔はやつれ気味でおかしな笑顔を浮かべていました。父は歯噛みして眉をひそめ、弟は下を俯いています。
その光景が私にはもうこの家族の温かさは得られないと、もう戻れないのだとそう告げているようで、胸に込み上げて来るものがあります。
手を伸ばしても家族に触れることも出来ず、笑い合うことさえ叶わない。
友人やクラスメイトが訪れ私の亡骸に涙ながらに訴えかけていました。親友であっただろう女の子が大声で泣いています。
悪夢というのは、きっとこういうことを言うのでしょう。
助けて。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
目を覚ますと汗で服が体に張り付き、顔は涙で濡れ息が荒くなっていました。何の夢かなんて覚えていないのですがとにかく、悲しくて辛くて、、そんな夢を見た気がします。
息を整えているその時、ふと、ノックの音が響きました。
「入りなさい。」
「失礼します、リューリア様」
メリアがネグリジェのリラックスした格好でそこに立っています。美しい真っ直ぐな金髪を背中に垂らし碧眼は優しく月明かりを反射して輝いています。
「今日はお顔の様子が優れなかったので少しご様子を伺いにまいったのです。」
「、、メリア!!」
汗だくで申し訳ないのですが、心細さが勝ってしまい思わず抱きついてしまいました。一瞬驚いたような声を上げたメリアですが、「しょうがないですね」と優しく言って私の髪の毛を手ですいてくれました。
何だか泣きたくなりましたが、それだけは我慢してやがてそのまま眠ってしまったようです。
メリアが翌朝、「甘えん坊の子供みたいでしたよ」と笑ってくれたので恥ずかしかったですがあの日の悪夢の余韻は消し飛んだ気がしました。