リューリア
「リューリア様!お気を確かに!!!」
「っ〜〜〜!!!」
眼前に迫る金髪碧眼の美人エルフに驚いて思わず叫んでしまいました。いやいや、美人エルフの清純派メイド服姿ですよ、、、これくらいにしときます。
「全く心配したんですから、いきなり倒れたと思ったらなかなか目を覚まさないし、、」
「あ、うん、ごめんなさい」
「、、全く、第二王女様なんですからしっかりしてくださいよ!」
そっぽを向く美人エルフ頂きました、ちなみにこのメイドエルフはリューリアを手に入れるのに重要なNPCのメリア・ユリノハという何処か日本人のような苗字を持った美しいエルフの代表格とも言えるキャラクターです。
東洋生まれの彼女は同胞を探すため、、、と、このキャラにも色々あるのですが割愛しようと思います。彼女が険しい顔で私の顔を覗き込んできました、キメ細かい流石はエルフだと見とれていたのですが、おでこを爪で弾かれました、痛いです。
「リューリア様聞いておられますか?」
「え、え~と、今日の晩ごは、、なんでもないで、、」
「?ご公務の時間なので体調が優れているようでしたら着替えてくださいと申しあげたのですが?」
絶対零度の冷たい空気を彼女が放っている気がしてならなかったというか、ともかく私は素直に公務用のドレスを着けてそば付きのメリアと一緒に自分の部屋を出てふと後ろを振り返りました。
ドアが観音開きで無駄にでかいし変な模様が所狭しと彫られていた。姫の寝所すごいなぁと他人事のように思いつつふかふかの赤い絨毯の上を歩いて王の間まで急ぐことにしたのだが、メリアに「淑女たるもの慎ましく行動しなければ」うんたらかんたらと言われたのでお淑やかに歩くことにしました。
前世の私がこんな風に歩こうものなら間違いなく同級生に笑われていたことでしょう、ええ、間違いありません。
「あら、臭い臭いわ、何処からかしらぁ、」
「息を吸ってはいけませんよ、マリシティア様、毒されてしまうではございませんか」
「そうね、卑しい匂いが移りますわ、ふふふ」
すれ違う際によく聞こえる声で悪口を言って下さるので思い出しました、王妃の子供で第1王女のマリシティアと傍付きのヒルデカルトです。
美しい水色の真っ直ぐな髪と嫉妬と憎悪に燃えるオレンジ色のつり目、豪奢に飾り立てたがり露出の多いマーメイドドレスで公務を行う彼女の姿こそまさに卑しい淫乱だと、ネットでは書き込まれていましたね、その通りです。
ヒルデカルトも公爵の血筋でプライドも鼻も高く、成り上がり王妃になるために傍付きをしているということでした。
真っ先にリューリアに殺されるキャラクター達です。ざまぁみろ、と思ってしまいますが気にせずに歩くことにします。
「リューリア様、、あまり、お気になさらずに、」
「いえ、あまり気にしていませ、、いないから」
今更ながらリューリアが敬語を使わないキャラだと思い出しまして慌てて語尾を変えました、メリアが気が付かなければいいけど。
さっきの姉やメイド以外にも、第1王子と第2王子、その傍付き達にも虐められていたはずです。
リューリアがエルフの森を焼き払うと悪堕ちエンドになるし、勇者が来てしまうと結局死亡エンド
だし、同人エンドとかでも困る、、。なんて物思いに耽っていると、私の部屋のドアのそれこそ何倍も大きくでもそこまでゴテゴテしていない装飾の施された観音開きの扉でした。
王の間って感じだなぁと、つい扉を見上げてため息をついていると、メリアがくすりと微笑みました。
「リューリア様、初めてここに来た時もそんなふうに扉を見上げてましたよね、」
「そうなのか、、?」
「えぇ、最近そのような表情を見ることが減ってしまって、、、あの人達はいつかこの手で仕留める、」
後半憎悪に充ちた表情で何かを呟いていましたが聞こえないことにします。
怖いので。
エルフ今代の王、リルディカルは厳格な方でルールひとつ間違えただけで彼から承けたクエストが失敗になることもありました。
ので、しっかりとノックをして名を名乗り許可を頂いてから入室しました。
「リューリア、倒れたと聞いたが、」
「申し訳ございません父上、リューリア・エルブンガルド、この通り体調も回復しましたので」
「、、、そうか、今日の公務は騎士団への訓練だったな」
「はい、励んで参ります」
エルフの騎士がやる、左手を心臓のあたりに添え、右手を背中に隠す礼を行ったあと踵を返して部屋を出ました。
「リューリア様、、騎士の礼などしなくても、」
「大丈夫メリア、父上も私が姫の礼をするのは気に食わないらしいから。」
リューリアの父であり、王であるリィディカルは子供を産むために子を宿しやすく、魔力が高いハーフの母上を側室に迎えたとの事でした。
幼い頃姫の礼をしたリューリアを冷たい目で見るというスチルがあったのを思い出したので騎士の礼をとったのです。
父親にまで嫌われているなんて、先が危ういなぁと小さく溜息をつきました。