軍と騎士団 Part1
リューリア・エルブンガルドは俺の言う通りにならない。気に入らない。
大抵の女は俺を好いたし、救われたしついてきたし俺を守った。のにだ、
あのハーフエルフは違う。俺の事を嫌い救済の手も跳ね除け俺を虐げた。
気に入らない、気に食わない。
俺はぎり、と拳を握りこみ備え付けのテーブルに叩き付けた。
あの女を陥れてやろうと、後悔させて跪かせて、屈辱の限りをあのハーフに与えてやると、俺は誓った。
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「クシュッ…風邪でも引いたのだろうか」
「リア様は夜中にシーツから足を出して寝るからですよ、、全く、、」
あの勇者を気絶させてから既に3日たちましたが、あの勇者は全く部屋の外に出てこないようです。あのクソ野郎はできれば地下牢獄にでも一生閉じこもっていて欲しいところですがそれは別として。
「リューリア様、今日は会議に出なければならないのでしょう?」
「あぁ!!そうだ!!遅れてしまう、軍と騎士団の和解会議だ、早く行かなければ、、」
「……ふふっ、ほら早くこれをお召になってください」
今日、軍服を着ていくと厄介というか、私が軍の肩を持つことになってしまいかねないので、公務用のドレスを久々に着て、会議室へと足を運びました。
「だから!貴様らは古いと言っているのだ!何が格式か!この国を守れなければ意味が無いであろう!」
「エルフの民だからこそ誇りを持たなければならないのは然り!貴様らは誇りを捨てたのか!?」
音を立てないようにこそこそと会議室に入ると、軍の最高責任者のベルンと騎士団長のダリアートが大声で怒鳴りあっています。
騎士団幹部も郡の幹部も睨み合っていて一触即発です。
我が国の防衛戦は、軍と騎士団のふたつ存在し、軍が圧倒的な数の大軍なら騎士団は少数精鋭、軍は泥臭くても勝つ、騎士団は誇りを持って勝つ。とまさに、真逆と言いますか面倒なことになっているのです。
今回話し合っているのはどちら側にくっつくか。
理由は、リディカルト王が予算削減のため2つの防衛戦を一つにまとめよ、とおっしゃったからです。
「軍に少数の技術を叩き込めば国を守る力となり得るだろう!それを、貴様らの軍に吸収されればこれまでの偉業も無しにして一等兵からだと!冗談じゃない。」
「貴様らは古いと言っているのだ!!軍の功績は上下関係からなる信頼で出来たものだ!新参者が急に幹部にでもなってみろ!軍兵の信頼は一気に下がるのだぞ!」
私は一応前世は高校生でしかもゲームに夢中のオタクだったものですから勉強はからきし、よって話の内容にも正直ついていけません。
なので用意された席に座りとりあえず話を聞いていることにしました。
「そもそも!!格式ある剣術というのが古いのだ!見せる剣技ではなく戦いに特化した剣術に切り替えるべきだ!」
「ふん、我々の剣技が見せるだけとな、見せる剣技と言うだけでは人は救えないぞ、何より、騎士団では死人はほぼ出ないからな、貴様らの中途半端な剣術で何人が死んだか今一度考えるがいい」
「何を言うか!!確かに死人は出たがその分多くの人々を救えた!貴様らの誇る少数では手が届かない人々もな!!」
この時の私は、空が綺麗だなぁとか、会議面倒だなぁとか、うるさいなぁとか考えながら黙っていました。
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Part2に続く。