最低な勇者
「ヒラリア、言いつけを守らなかったのは何でだ」
「あの女はほんとに絶対だめ、ヒイロのためにならない。」
ヒラリアの白い頬めがけてヒイロが手を振りあげました。
「お前は俺の言う通りっ、ッゴホ、、」
「人間、あまり舐めた真似をしてくれるなよ。」
ここはかっこよく、どうせならスタイリッシュに入っていきたいと思ったのですが、くそ勇者が許せなくて古典的なライダーキックで扉を蹴破って勇者を蹴り飛ばしてしまいました。
「貴様は貴様を考えてくれる臣下に向かってこのようなことをするのだな、しかも、この者の手を汚させるなど。」
「俺は彼女を助けたんだ!このくらいの恩受けたっていいだろう」
「‥‥え、」
ヒラリアが信じられないという顔で、勇者を見ていました。そりゃそうでしょう、彼女の目には彼は救世主、彼が恩を受けるために助けられたなんて微塵も思っていないはずです。
「何が救うだ、貴様は偽善者ぶるだけでは飽き足らず恩義を擦り付けた最低な男だ。この城で狼藉を働こうとするなど覚悟は出来ているのか?」
「俺は‥‥っ、君を‥‥救おうとっ」
「くどい、私はお前の救いなどを求めるくらいなら‥‥いっそ、死んでしまった方がましです。」
ヒラリアは部屋の隅で縮こまり、ヒイロは私を見上げまさに、蛇に睨まれた蛙のようになっていました。
私は笑顔を浮かべ彼に近づきます。
「くるな、、やめろ、くるなぁぁぁぁぁぁ!」
「そ、そうだ!!もう関わらない!シャルティアやヒラリア達の非礼も詫びよう!」
「ごめんなさい許してくださいどうかぁぁぁぁぁっっっ」
彼に靴の先があと数センチで触れる。という所で泡を吹いて倒れました。ヒラリアをお仕置きするために防音の結界を敷いていたらしく耳のいいはずの獣人族の2人もここに来ません。
「‥ヒラリア、」
「なん‥だ、‥ハーフ。」
「こんな男だよ、こいつは。」
私は無言で部屋を出ました。
ヒラリアが立ち尽くしてヒイロを眺めているのが最後に見えました。
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