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九人の超越者  作者: 作者不詳
9/23

魔法

話は変わるが魔法の話をしよう。この世界には様々な事象に干渉する魔法がある、基本的に詠唱という言葉の羅列を持って事象を認識し、超常の現象や効果という結果を生み出すものであるが、イメージと自分の認識をきちんと形にしていれば無詠唱という事もさほど難しくはない、ただ詠唱という言葉を使えばイメージを確定しやすくはなり威力や効果も倍増するのが通説なのだが、ありあまる魔力とそうなるという確固たるイメージを持つ者が扱えば詠唱などなくともそれ以上の威力や効果が見込まれる。


主に転生者や生まれながらの特異な生まれ方をした者にはその傾向が強い。そして魔法には第一級~第10級の魔法があり、第1~第3までは中級冒険者が扱えるレベル、第4~第6までは上級、最上級が、第7~第10まではランクオーバーが、そして失われし魔法、どの級にも当てはまらない古代級、神級、禁忌級というものも存在し、それを取得できればもはや人外の化け物とされる。


何故今その話をしたのかと言うと


「…驚いた、これ古代級じゃない、威力を弱めたとしても詠唱も魔法名もなしでここまで行使するなんて」


すっと頭から血の気が引いて落ち着いたかのようにリオは驚きの声をあげる。


店内には美しい氷の薔薇が所狭しと咲いている。


この魔法の名前は[氷結の庭園]


本来であれば古代級の魔法でこのような小規模な威力の者ではないし、本来ならば一つの大国を滅ぼすような威力を持つ魔法であるのだが、ナインは力を魅せる事でこの喧嘩は止まると思い、あえてこの魔法を使ったのだが…。


「ナイン、お前は非常識だな!!」


「その娘ちゃんに同意よ、母さんも」


「非常識」


「制御できるのは知ってるけど、これは怖いわね」


ナインは自分のやった行いが意図せぬ事につながったのに驚きつつ展開を見守った。


「考えなしにやるなあ、ナインは」


セカンドはにやにや笑いながら魔力が放出された場所に歩みを進める。

認識阻害の魔法を使っていても、超一流と呼ばれる冒険者にはさすがに見破られる。


「二人とは別れたし、いってもいいんだがなあ」


ナインのこれまでを考えるとふうとため息をつく。


「我が弟ながら厄介な女をひっかけるしねえ」


「それはあんたにも言えるんじゃないの?」


そう声をかけられ後ろを振り向くと金髪の長い髪に赤い軍服を着た赤い瞳の美しい強気な170センチほどの美女がいた。


「相変わらず胸でけえな、ジュリア」


「後にも先にも、王直属の騎士にそんな言葉を言うのはあんたくらいよ、ほんと、ナイン君はあんなにいい子なのに」


セカンドの軽口を苦笑しながら受け止める彼女はジュリア=シュベルク、この国の第1王女にして王直属の近衛騎士の団長でもある、セカンドとは昔ながらの腐れ縁で軽口を叩きあうなか、その美貌で気さくな性格から人気は高い。


「しかし、炎帝がナイン君の母親とはな、お前の母もそうだが、マクスウェル家はびっくり箱か、炎帝の財力は全世界の半分があると言われるし、現会長はあのお方の愛娘、必然的にナイン君はあのお方の孫になる、世界を支配できるんじゃないか?」


「あー、そりゃ大丈夫だろ、あのじじいも含めてナインも極めて善性だ、滅多な事はおこらねえだろ」


「ナイン君を取り込もうとしたバカは何故か失脚させられているしな」


「全くだ、いい子にはいい事が起こるんだよなあ」


「悪い事してるお前には何も起こらないのか?」


「ほら、俺って神様とお友達だから」


「よく言う」


ジュリアはふうとため息をつく。


「それはともかく行くぞ、あれだけの大魔術を行使したんだ、気づかない者はともかく、気づく者達に対しての説明はせねばならん」


「あ?やっぱ王様達気づいたの?」


「父上達もお前達の父の弟子なのだぞ?気づかないでか」


そう言いながら歩きだす。


「あらあら、そうなの!!エデンちゃんはナインをこの世界に誘ってくれた恩人なのね!!」


「はは!!義母上、いきなり説明せずすまないな!!」


「あらあ、いいのよお!!私もいきなりだったし!」


ナインはとりあえずおさまった現場を見ながらため息をつく、転生者という言葉はこの世界ではわりと浸透しているのだが、いわゆる人間兵器や人外、もしくは常識すらも通じない超常の者として、そのように見られている。加えてナインは不老不死の賢者の息子でもあり様々な伝説を築き上げた今話題の冒険者。転生者と知られたらどんな面倒が起きるかがわからないため、これまでナインは家族以外には伝えておらずにいた。


ナインが知らない所でナインを手に入れようとする動きもあったがそれは事前に何者か阻まれ悲惨な最後を迎えた。


そういうことでもあるから今回母親でもあるリオと、昔ながらの付き合いでもあるスコラにもいうことにしたのだった。


「ナインちゃんが転生者ね、不思議な子とは思ってたけど、まさかね」


「でもおかみさんには教えるつもりだったよ」


「あら、どうして?」


「僕らの王都でのお母さんだし」


「あら!この子ったら!」


スコラは感極まったように笑う。そしてきちんと事情を話した後にようやくエデンとクラウディアに向き合った。


「さて、エデンいきなり来てってまあ用件はわかるけど、嫁になりにきたの?」


「そうだな、言葉の通りだ!妹もな!」


「いきなりだよね、まあちゃんと話してくれるならいいけど」


ナインは大した争いにならずにほっとしたと同時に脱力をして二人の話をきくことにした。





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