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九人の超越者  作者: 作者不詳
7/23

母と息子

「リオ、君の遺伝子を僕にくれないか?」


レインにそう言われたのは私が15の時、まだ父様が会長をしていた頃、屋敷の私の部屋でそう告げられたのを覚えてる、レインが不老不死の賢者であり、初代の親友である事はもう私達家族には周知の事実で、突拍子もない話には慣れている。


彼曰く自分の能力を受け継いだ子らを自分が創り出そうとしているという事、なぜわざわざするのかというと、今の所、不老不死になる術は自分にしか施せなかったらしい、そもそも不老不死になったのは偶然の産物でもあるとも言っていた。


「…僕も家族が欲しいんだよ、終わりのない人生に」


その言葉に私は何か他にもあるとは思ったけれど、私は彼をなんだかんだ愛していので引き受ける事にした。

何故愛してるかなんてことは理由はまあ別の機会に話すとしよう。どうせ息子とも話すのだし。


王都北部

レストラン[スメラギ]


ナインもよく通う冒険者御用達のレストラン。リーズナブルな食事もでき貴族や一般市民も通う店。店内は明るくこちらでいうところのファミリーレストランのような所だ。


勿論ナインも幼少時からこの店を知っていて、この店の女主人とも顔馴染みである。


恰幅のいい体にシェフの格好人懐こい笑顔に茶髪の団子頭、昔ながらの田舎の女将のような雰囲気が見る者に安心感をあたえる。彼女の名前はスコラ=スメラギ、ナインを息子のように思うこの店の女店主だ。


「あら、ナインちゃん!久々だね!」


「おかみさん久しぶり」


昔なじみのスコラを見ながらにこにことナインは微笑む。


ふと店に客がおらず今日はスコラしかいないところをみて


「あの人がそうなんだね?」


奥で座る和国特有の着物を纏う美女。どことなく自分に似てる美女。


「はじめまして、だね、ナイン」


「そうだね、母さん」


二人は微笑みながら向かい合う


冒険者組合

組合長室


「さて、何か弁明はあるかな?」


ファーストはにこにと笑いながらマークに声をかける。


「まあ、すまないとしかいえんわな」


マークは肩を竦めて苦笑する。

実はこの二人はチームを組んでいた間柄で顔馴染みでもある。


「まあお前も意図しなかったことなんだろうな」


ファーストはにこりと笑うが威圧感がある。


「ナインが絡むとお前ら怖いからな」


「末の弟は可愛いものだ」


「はじめて会う母親との邪魔はさせねえってことか」


「いや、もう神が絡んでるだろう」


「お前も判別できんだよな、そういや」


ファーストもまたとある神の加護を持ち判別出来る力を持っている。


「…ナインは知らぬだろうが、異界の神と創造神を嫁にするのが確定とはな」


「そんな天啓がくるとはな」


二人は神からの天啓も受けとれる加護も持っており、実はこの会話の一時間前に天啓を受けていた。


「無茶苦茶だな、まあきちんと第一級の発令はしたが」


「まあ、ややこしいだろうな」


ファーストはふうとため息をつく。


「よくも悪くもあの子は惹き付ける」


「確かにな」


マークもそう頷いた。


「ナイン」


「母さんなに?」


ナインは照れくさそうにリオの呼び掛けにこたえる。


ナインは母親というものを知らずに育っている、そのせいか、最初は照れくさそうにしていたものの母親の優しい雰囲気にそっと心を開く。


リオもまた写真や手紙などをレインから送られ成長を知っていた。


レインも特殊な事情もあり、新しい種族として育てることもあり事前には言われていたとしても会える時の気持ちは言葉にはならない。


お腹を痛めたわけでなくとも、自分の遺伝子を受け継ぐ息子。可愛くないわけがない。


だがその二人の大事な時間も終わることになる。


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