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九人の超越者  作者: 作者不詳
16/23

いきなり出来る村

色々と自分なりに書きまくりなので色々と文章が変かもですが気にせずみてもらえたら幸いです

「ナイン君に土地をあげたとはいえここまでつくりこむとは」


アンジュリアの報告を聞き、前世の知識と遜色ない村というか拠点ともいうべき地域を造り上げた事にアーサーは驚きを浮かべている。正直ナインも転生者であることは本人から聞いていたがここまで有用に造る事が出来るとは思っていなかったのだ。


「(正直国の脅威の抑止力として居て欲しいと思っただけだったのだがな)」


恐らく電気に変わる魔道具も開発しているだろう。


「(少年の無邪気さで常識を変えるのがナイン君の強みだ)」


だが本来国が持て余す場所に逗留できる拠点が出来るというのは国側としては実に意味がある事だ。兵を置けるという事でもある。


「(だがこれには注意が必要だ)」



ただの貴族であるならば問題はない、問題は義を通じて付き合いのあるマクスウェル家だ、マクスウェル家を敵にまわせばこの王家はただではすまない。彼等は一人一人が国を滅ぼすだけの力を有し交友関係は人族に留まらない、だが国や国民の利益を考えるならば…。







「こんにちわ!フィリップ=マーカスです!!」



垢ぬけないナインと同い年の兵士服を身に纏ったオレンジ色の短髪の少年がリュックを背負って挨拶にきた。



「あー、アーサー兄さんから派遣された兵士の人?」



目の前の黒髪の少年に微笑まれてフィリップと名乗った少年は気を失いそうになりながらも愛想よく微笑んだ。







「フィリップ=マーカス君」



突然王の御前に呼び出されてフィリップ=マーカスは目を白黒させていた。本人の胸中は何故零細貴族の三男坊である自分がいきなりこの国の王の目の前に呼び出されるのかそれが皆目見当がつかなかった。



「(何でこんな門番の一兵士なんかに!!)」



しかもこの国の宰相や各大臣が居る中でもう帰りたい心境だった。



「フィリップ=マーカス君、聞けば君は大地の精霊と仲がよいようだね、領地の方ではその加護を受けながら農民と共に畑仕事に精を出したとか、珍しいね、貴族なのに」



フィリップはその言葉に少しだけむっとしたように起き上がる。



「王様、失礼を承知で直言をよろしいですか」


「ああ、聞こう」



フィリップは後にも先にも何故あの時むっとして直言をしたのかよくわからないが



「民あっての貴族です、如何にどんな権力があろうとも護るべき民と共に笑顔になるために何かをするのはいけないことですか!!」



アーサーはフィリップの言葉に思い切り笑うと


「はっはっは!実にそうだな!!すまぬな、少し過ぎた事を言ってしまった、お主の人となりは聞いていたのだが、そこまでまっすぐな男だと痛快だ、だが貴族には向かんな、素直すぎる、よってお主には辺境への警備を申し渡す」



「へっ?」



「王命だ、フィリップ=マーカス、魔の森にて村を作るナイン=マクスウェルの補佐をせよ、何、同年代と聞く、快い友人にもなるだろう、気軽にいってこい、そうだな、魔の森に行くからには新たな貴族位でも作るか、名誉貴族とするか、まあまんまだが、権力は子爵くらいにしとくからそこそこ有用だろ」


「はい!?いきなりですか!?」



「いきなりだ、ナイン君は私の弟弟子で私の師の息子でもある、あまり迷惑かけないようにな」


「はいーーー!!!???」






ナインの村




「(まさか、こんな事になるなんてなあ、父さんや母さんとか兄さんは喜んでくれたけど)」



「フィリップでいいかな?よくこんな辺境にきたね」


「はは、王命なんで」



「アーサー兄さんも心配性だなあ、でも嬉しいよ、君、大地の精霊と友達なんでしょ?」


「え、どうして」


「僕も色んな精霊と友達だからさ」



そういうと色とりどりの光がナインの周りに光輝く。



「(そうか、この人は全魔法を使えるんだ、それなら精霊魔法も)」



英雄のなにげない仕草に少しだけ呆けると


「改めてよろしくお願いします!!」



そう言い切った。


「同い年でしょ、普通でいいのに」



「いや癖なんで」



「そう、じゃあ畑とかそういうの教えてね」


「はい!」



こうして後の英雄ナイン=マクスウェルの右腕フィリップ=マーカスの物語がはじまるのだった。










「こんなとこに村がある」



傷だらけの武者服を着た犬の獣人は息も絶え絶えに呟いた。



「セト、ここに人がいるならば助けを求めましょう」



巫女服を着た犬の獣人も傷だらけになりながらも凛とした佇まいで

後ろにいる十数人の幼い犬の獣人や老犬の獣人達に声をかけた。



「姫様…」



「大丈夫、シュベルク国は共存共栄の国と聞きます、イノセントの魔王達もそうは追ってこれないでしょう」



そう言いながら足を進める。











「頭の痛い問題だな」



アーサーはセベルクにそう呟く。



「どうされました?」



「イノセントの穏健派筆頭の犬の獣魔王リクトが殺害された」


「それはそれは」


「彼の一族は少数だったからな、こんな事ならば強引な手を用いてもこの国に亡命させるべきだった」


アーサーは悔しげに呟く。


「だが幸い、ナイン君の村にその生き残った娘達はなんとかたどり着いたらしい」



「それは幸いですな」



「問題は強硬派筆頭の女魔王リムルか、もうイノセントはあいつの国といっていいかもしれんな」



「王にやたら我が物になれと煩い御仁ですな」


「ばかいえ、私の心は妻達二人の者だ、拳だけで思い通りになると考えるような女など好みではないよ」



アーサーはふうとため息をつく。



「さてただでさえ、ファースト達にナイン君の件で困らせてばかりだからね、今回はこちらから開戦といこうか」


「よろしいので?」



「再三のこちらの講話をぶっちぎって下の話しか言わない下劣な女に丁寧に言う必要はもうあるまい、それにだ、セカンドもすでにあちらの国の無害な連中は調べて把握してる」


「では王自ら」


「共存共栄は話が通じるものとするものだ、我が友とわが国に仇名すなれば王として打ち取らねばなるまいよ、それにリクトは我が友、友の娘を護るに理由はいるまい?」



アーサーは立ち上がると



「では開戦の狼煙をあげることにしよう、この国はマクスウェル家のみが英雄でないことを魅せなくてはな」


「では私めもまいりましょう」


「久しいな、お前も出るのか」



「王自らが出るのであれば」



そういうと同時に二人は歩みを同じくした。




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