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九人の超越者  作者: 作者不詳
13/23

探偵

未だに激しい戦闘描写がないですね

「しかし、何の描写も描かれずに終わってしまったな」


「それはなんというか言ってはならない事じゃないか?」


アリアの言葉にファーストは言い返す、一晩を共にしてファーストの隣に裸のままのアリアがいる、まあ実の所、この二人の関係はそういう関係なのだ、恋人であり妻であり戦友でもあるような関係なのだが、二人は別に結婚せずとも今の関係が心地よいと感じている、それにアリアとファーストは互いの種族的にどこか遠慮している節もある、一応ファーストの種族は人間ではあるがある種新種族のようなものなのでアリアと交わり子を為す事も可能ではあるとは思うが、どうなるかわからないので避妊具はきちんとつけている。



「…アリア、お前はこの生活でいいのか?」


「何度も言わせんな、お前と出会ったときから良い思いはさせてもらってるし、俺の体温も心地よいだろー?」


「まあな」


「よしっ、風呂いこうぜ、入るだろ?」


「ああ」


そういうとアリアは服を着なおして部屋を出て行った。





「…未練だな」



ファーストは静かに呟く。










王都北部

Barヤドリギ


静かな雰囲気にクラシックに似た音楽が奏でられているそんな店でセカンドはこの前雇い入れた町人に扮した男と飲みに来ている、男の名はザック、話してみると諜報部に所属していたわりには気安い人物だ。



「しかし、セカンドさん、あんたすげえな、俺を雇い入れるってその日に滅ぼすとか」



「転移あるし、ちゃんと難民にならないようにうちの国に連れてきたからなあ」



ザックが所属していた国は王族だけが得をするようないわゆる搾取型の統治で、孤児院の子供達の中にその搾取型の統治に有用な能力を持った人材がいる事を知ったことからその子供を手に入れようと国お抱えの組織が動いたのだが、その瞬間ファーストが動き全滅させ、そのまま関わる者達を殲滅、またセカンドはその情報を元に問題のない国民を選別し、シュベルク王に受け入れを打診、問題ないようにした。



「通りで各国があんたらを欲しがるわけだ」


「俺らを従えるのは無理無理、俺らは皆自由人だからな」



実際セカンドを含め今も尚マクスウェル家を囲い込もうとする王家は山ほどいるが、強引にしようものならば手痛い目に会うか滅ぼされるかしかないというのが通説なので今回の国は増長しすぎた故にという所だろう。



「転生者も歯ごたえなかったしな、重力使いだっけ?あんなもん筋トレしかならない」


「普通の人間ならば動けなくなるのだがな」


セカンドを含めマクスウェル家は特別であり、重力というものに対しても対策はある程度は出来る、セカンドの場合は風の精霊と共に空気に干渉して重力の重さを軽減するという荒行を行い対応した。仕組みというものをよく知らないまま。



「まあある程度経験にはなったし、いんじゃね?それよりザック」


「はい」


目の前に出されたビールを流し込むとセカンドは言う。


「探偵になる気ねえ?」


「はい?」



いきなり知らない職種を言われて戸惑うが、セカンドは以前ナインに言われたのを思い出していた。




マクスウェル家居間


12畳ほどの部屋に美しく配置された檜の家具、ソファーに寝転ぶのはセカンド。



「セカンド兄さん、自堕落だよ」



「あんー、休みだからいいんだよ」



帰ってきたナインにセカンドは煙草に火をつけながら手をひらひらと応対する。


「煙草も吸いすぎると毒だし、最近は禁煙も広がってるんだから」


「ジュリアと似たような事言うなよ」


「ジュリアさんにも言われてるよ、それにジュリアさんのお願い聞いてたんでしょ」


ナインは空間から冷えたコップとアップルジュースを出すと向かい側にあるソファーに座る。


「ナイン、俺にも」


「アイテムボックスの認証は認めてるでしょ」


苦笑しつつナインは冷えたコップとビールを取り出す。


「昼間から飲むビールは最高だなあ」


「セカンド兄さんはビール党だよね、太るよ」


「そこは運動してるから問題ないな」


「そだね、セカンド兄さんせっかくすごい諜報能力あんだから探偵でもやればいいのに」


「探偵?んだそりゃ?」


「説明難しいな、それはね」







「まあ弟曰く、ひと様の秘密を合法的に暴いて報酬をもらって女の子にもモテモテな職業という感じらしいから、今後はこれを運営していこうとおもう」


「何一つそんなことを弟さんは言ってないと思うんだが、すごい脳内変換だな」


「なにいってんだ、浮気調査、確定、イコール人妻慰めコースだろ」


「脳内の欲望だだもれだな、まああんたは上司だ、従うさ、迷子の猫とか探すなんていう案件もあるみたいだし」


「男なら夢だろー、まあそんな事は抜きにして金になる仕事だとはおもうし、表の仕事もそろそろちゃんとしたのしようとおもってたし、従業員は孤児院の卒業する奴を呼べばいいだろ、じゃ頼むぞ、副所長」


「はい!?」


「俺は探偵所長という肩書だけの存在となります」


「最悪だなあんた!!」


「まあまあのめよのめよ」


セカンドは笑いながらビールを注ぎこむ。



こうしてセカンドを所長、ザックを副所長とするセカンド探偵事務所が生まれたのだった。







「セカンド兄さんて考えなしだよね」




その事を聞いてナインは呟いた。




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