クラウディア
目の前の白色の髪を持った美しい少女を見ながらナインはため息をつく、エデンが自分を夫にするとは言っていたし、多少はきちんと受け取る下地が出来たとしてもクラウディア、創世神とは転生する時も会っていないはず、何故彼女も自分を夫としようとしているのか、それがよくわからない。
自分は別に彼女との接点はなかったはずだ、この世界ではステータスという概念があり、自分のステータスを見る事は可能だ、称号の数につけてもそうだし、自分のステータスは最高レベルの10を叩き出している、加護のおかげもあってか成長も人よりも遥かに早い。
ステータスに表示されない恩恵もあるのは知っている。よく知られている所で成長促進、魔力増大、生命力増大。マクスウェル家は全員その表示されない恩恵、下手すればまだ知られていない恩恵も受け取っている可能性もある。
「(クラウディアには今更何も思うところはないんだけどな)」
ちなみにリオはスコラと共に先ほどナインが修復した店内を見回してる。
「(クラウディアは罰として僕の守護を任されたらしいけど、少なくともこの子は罰でいいのかと戸惑ってるみたいだ)」
ナインはクラウディアが最初から僕と結ばれるのを心待ちにしていたと言った事に驚いていた。
「まあそれは君の人となりを見て妹も惚れたってだけさ」
エデンのにこにことした顔に思うところはあったが、クラウディアも頷くのを見て受け入れる事にした。
「…貴方を辛い人生にさせたのは私、でもそれ以上に貴方と一緒にいたいの」
クラウディアはエデンよりも無口で口数も少ないが確固たる言葉を言うのを見てナインは信じる事にした。
「しかし、お前、すごいなあ、美人二人をいきなり嫁にするとか兄ちゃんびっくりだよ」
「ふむ、全てを聞いたわけではないが、最上級クラスの[黒白の姉妹]が妻になるならば王国としても祝わなければな」
いつの間にか現れたセカンドとジュリアにナインは微笑みながら言い返す。
「まあ僕もよくわかってないけどね、僕は奥さんにするよ、この二人を」
「俺もどんな流れでなったかわかんねえけども、まあいんじゃね?」
この世界では15で成人とされるので、こちらで言うところの独り立ちと呼ばれる事は全てできるようになる。
セカンドもとある神の加護を受けているしジュリアも創世神の信徒であるので二人の正体はわかるとは思うのだが、あえて触れなかったようだ。
「(まあ二人は案外そういうとこに気を遣う人だしな)」
こうして僕はよくわからないままにエデンとクラウディアという奥さんを二人迎えたのだった、神様の思考はよくわからないものというのはよく知ってるし、後からファースト兄さんやマークさんが気にしていたと聞いたし、結構の人が僕の母親の事を知っていて驚いた。まあ大きな事にならずにすんでよかったけど、古代級の魔法を使ったのはさすがにジュリアさんに怒られたけど。
「異界の神と創造神が義理の妹ねえ、あれか、娯楽都市の連中が書いてるライトノベルなんていう本になりそうとかいって喜びそうだよなあ」
セカンドはナイン達とわかれてからため息をつく。
「邪教の連中がこぞって暴れそうな案件だ」
「だが使徒としては創世神の人間じみた姿を見れて嬉しいがな」
ジュリアはにこやかに笑う。
「ナインも結構事情がよくわかってないみたいだし、あの神さん二人はなんだかんだ人間生活を楽しもうとしているようだからな」
「まあ父にも話して便宜を図ろう、あの二人ともしお前達とまた敵対するなんてもっての他だからな」
「ああ、そういやあったな、愚かな貴族共事件」
「言ってくれるな、過分な力を見れない者はどこにでもいる」
ジュリアは過去に敵対した者達の事を思い出すと同時にため息をつく。
「少なくとも俺達は王に刃向かうとかはしないぜえ、親父の弟子だしな、だが弟に何かしようとしたらな」
セカンドは煙草に火をつけると
「ナインも含めて護るために[消すぜ?]」
「肝に命じよう」
ジュリアは冷や汗をかきながら言い返した。
「思いのほか何もなんなかったな」
「まあそれもよいだろう」
組合長室でファーストとマークは肩の力を抜いた。




