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第3話 村までの道

気まずい.....

やっぱり、さっきの会話があったせいで話しずらい。結局ここから一番近い場所にあるカラキシ村に行くって話しただけで歩き始めたがそれ以降は目も合わせていない。

ヘルトはチラチラこっちを見てるっぽいけど、フロイは気にもとめてない。


「はぁ...」

「ん?どうした?」

「え!?ん...あ〜いや、何でもない.....」


いきなり話しかけられて驚いて適当な返事をしてしまった。

ちょっとこういう状況は慣れないな。


「何でもないのか?何か考えてたんじゃないのか?」


何で分かるんだ?そんなに分かりやすい表情してたかなぁ。あ、さっきあんな話した後だからそう思われて当然か。


「・・・」

「何もないなら質問してもいいか?」

「う、うん...いい...けど」


「何であんな所にいたんだ?」

「は?」


完全に忘れてた、言い訳考えておけばよかった。

自分でもヘルトの立場なら気になる筈だ。ヘルトは真剣な顔でこっちを見てる、半端な答えじゃ納得しそうにない。


「記憶がないんだ」


とりあえず記憶が無いって言ってみた。神の使徒だなんてバレて、あのハルスとか言う奴に 危険視されたら大変だ。もし危険だからって暗殺者でも送り込まれたらひとたまりもないぞ。


「記憶がなかったとしても何で丸腰だったんだ?いや、記憶がないなら分からないか。そうだよな?」

「あ、ああ」


なんていうか.....探られてる?

この、質問から了承に変わるところからして、明らかにおかしい。


「お前、ドルフ、何か隠してないか?」

「いや、そんなことは.....」


やっぱりな…隠してることバレてるみたいだ。

う〜ん、どうするか、なんて言えばいいんだ?

いっその事全部バラしちゃうか?いやいや、それはダメだ。ともかくこの状況を何とかしないと。


「まぁいいや、誰にだって隠し事の1つや2つくらいあるだろ。どうしても言えないんだろ?」

「そうだ、これだけは.....言えない」

「やっぱり記憶が無いわけじゃないんだな」

「あ!」


しまった!俺としたことがこんな言葉の罠に引っかかるなんて!あぁ〜もうダメだ絶対ダメだ終わりだぁ。


「いや、からかってすまなかった」


セーフ!セーフかこれ!マジか!焦ったー.....ん?でも何で探ったりしてきたんだ?


「ヘルト」

「なんだ?」

「何で探ってきたんだ?」

「そりゃあ得体の知れないやつは色々知っとかなきゃ危ないだろ?」

「自分達を助けたやつもか?」

「そうカッカすんなよ。こっちにも理由があるんだ」

「最初から言ってくれよ.....」


ヘルトは何を考えてるのか全くわからない。

理由を教えてくれるみたいだからまぁいいけど。

いや、いいのか?


「エルモードって組織の連中かと思ったんだよ」

「エルモード?」

「そうだ、エルモードって言うのはな、まぁいわゆる暗殺集団みたいなもんだ。元々偉そうな貴族連中を殺す奴らだったんだが、最近はそこらの強い自兵連合の人達も」

「自兵連合ってなに?」

「え?あぁ自兵連合っていうのは位の低くて自衛ができない人達が集団で助け合う1つの組織だ。

話がそれだが、その自兵連合の強い人達が何人か殺されてるんだ。俺とフロイも自兵連合の一員なんで、色々知っててな」


ちょっと、エルモードとか自兵連合とか貴族や強い人達が殺されたとか一気に言われて分かんなくなってきた。まぁでも簡単に言えばエルモードの一員だと思われてたってことでしょ?ん?てことはヘルトは強いってことになるよな?強いのにあの洞窟にいた奴にボコボコにされてたのか?おいおいアイツどんだけ強いんだよ。


「まぁ色々あったって事だな」

「おいドルフ、ちゃんと聞いてたか?」

「おう大丈夫だ」

「はぁ...まぁいい」

「あともうひとつ聞きたいことがあるんだ」

「なんだ?」

「あ、いや...やっぱいい」

「そうか」


ヘルトは随分と精神的に参ってるみたいであからさまに表情も変わってきていた。話しながらエルモードの暗殺に自分達も狙われる可能性があると思い出して周りを警戒してるのかも。それともまだ俺のことを疑って、いや、分からないことを1人でいくら考えても分かるはずがない。


「この辺で今日は休もう。カラキシ村までまだ半日はかかりそうだしな」


やっと休めると思うとすぐに力が抜けた。どうやら会話中ずっと手を握りしめていたらしい、手汗が凄いことになっている。


「あの、さ」

「え?」


フロイがいきなり話かけてきた。

というかフロイの事途中からすっかり忘れてた。


「ごめんなさい!」

「え?え、え?な、なに...が?」

「いや、何ていうか色々とドルフにキツく言ったこともあるし負担もかけっぱなしだったから」

「負担だなんて、元々何もない丸腰の俺を2人が村まで送ってくれるだけでも感謝してもし足りないよ」

「いや、でも洞窟の中で」

「俺も1人じゃ洞窟から抜け出せたとしてもどこに行けばいいのか分からなくなって餓死してただろうし助かったのはこっちだよ」

「・・・」

「そう思い詰めるな。何だっていいじゃないか、今こうして無事でいんるんだから」

「.....ありがと」


俺は無言でフロイの頭を撫でてやった。

フロイは少し顔を綻ばせながらヘルトの元へ走っていった。


夕食はすぐに終わった。料理が出来る仲間は洞窟で死んでしまったようで料理中は2人とも少し悲しそうな顔をしていたが食べ終わった頃にはフロイは楽しそうに明日のことを考えていた。

本当に強いな、フロイは。思いつめたりもしないであそこまで環状豊かだと、辛いこともすぐに吹っ切ってみんなを笑顔にすることが出来そうだ。


「フロイとは仲直りできたみたいだなドルフ」

「ヘルト、俺はやっぱり2人を助けて良かったと思うよ。あ、心とか精神的な方でね。確かに食料とかで助かってるけど」

「俺達もドルフの気まぐれで命が助かったんだ、感謝してるよ」

「洞窟を出てすぐの時とは違って今は本当にそう思ってる」

「なんだぁ?あの時のは嘘だったのか?」


少し笑いながらヘルトをからかってやった。さっきの仕返しだ。


「いや、だってしょうがないじゃないかエルモードの刺客かと思ってたからさ」

「エルモードの刺客が命をかけて助けた人を後で殺すのかよ随分とマヌケな刺客だな」

「ハハハ、そうだよな、考えてみたらそうだ。しかも丸腰の刺客なんているもんか」


お、なんか楽しくなってきた。


「ハハハハッお前、バカだなぁヘルト」

「いいんだよ、頭のことはよく言われるからわかってる」

「バカなことか?」

「はいはい俺はバカだからもう疲れた、寝ようか」

「理由になってないけどな」

「話してるのもいいけど明日もあるんだ早めに寝よう」

「わかった、おやすみ」

「うん、おやすみ」


こうして最初の長い1日は終わった。


今回は会話が多かったですが、次の話はもっと進みます。

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