表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/46

第一話 光



 水中なのに、その水は不思議と冷たくはなかった。


 反対に生温かくて、まるで温水プールの中にいるようだった。その温かみは、私の冷えた体と心を温めてくれる。


 体はぴくりとも動かない。


 だけど、不思議と息苦しくはなかった。


(……綺麗)


 徐々に小さくなっていく水泡が、僅かに開いていた目に映る。水面の光と反射してキラキラと輝いていた。とても神秘的で綺麗だった。


 だけど体が沈むにつれ、水面の光も見えなくなり、次第に、水泡も見えなくなっていく。


(……どこまで沈んで行くの)


 自分の事なのに、どこか他人事のようだ。


 どんどん沈み、次第に真っ暗になっていく視界に反して、不思議と少しも恐怖を感じなかった。壊れた心は恐怖を感じないのかもしれない。


(もう……どうでもいい事だけど)


 あまりにも心地良くて、私は静かに目を閉じる。


 意識が完全に途切れた。


 この時、私は確かに死んだ。


 人としての生を終えたの。


 でもね、光が私を救ってくれたんだ。


 光が私の周囲を優しく包み込む。


 沈んでいた体が光に包まれ、沈んでいた私の体は止まる。脈が止まり意識を失っていた私は、それに気付かない。


 ぐったりと横たわる私の体を、光の束が上から通り抜けて行く。通り抜けた光の束は、今度は下から私の体を突き上げる。


 突き上げられ、通り抜けようとした瞬間、体の奥深くで消えていた灯りがともった。


 失っていた意識が一瞬浮上仕掛ける。浮上仕掛けた時、何かが自分の体を通り抜けて行ったような、不思議な感覚した。


 いや、確かに間違いなく、何かが通り抜けて行った。


 だって、何かが通り抜ける瞬間、何かに上から押さえつけられるような感覚がしたからだ。


(…………な……にが……)


 浮上し掛けた意識と同時に、肺に大量の空気が流れ込んできた。


 ごぼっごぼっと、口から大量の泡が吐き出される。苦しくて、苦しくて、もう見えなくなっていた水面に必死に手を伸ばした。


(誰か……誰か助けて!!!!)


 声にならない叫び声を上げる。


 今まで心地良かった暗闇が、その瞬間、恐怖に変わった。恐怖から逃れたくて、私は必死に手を伸ばし続ける。


 再度意識が途絶えようとした時、何か温かいものが、私の腕を強く掴んだ気がした。













 ある夜の深夜。


 寝ずの番をしていた星読みの一人が、星の異変に気が付いた。


 突然、それは起きた。


 星の一つが虹色に輝きだしたのだ。


 その輝きはまるで太陽のようだった。闇夜が昼のように一瞬で明るくなり、山々を照らしている。しばらく輝くと、虹色の星は北の方角へと流れて行った。


 二百年程前にも、これほどの輝きではないが、同じような現象が起きたと文献に記載されていたのを、星読みは知っていた。


 長い間……星読みたちは、その現象が起きるのをずっと待っていたのだ。


 興奮が押さえきれないまま、星読みは直ぐに〈常世〉の五聖獣の元にある報せを送った。


()()()()、北の大陸に降臨する』とーー。






 拙い文書を読んで頂いて、本当にありがとうございますm(__)m


 次から、いよいよ〈常世〉の世界に突入します!!

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ