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作戦会議2。冗長編

「なぜでしょう。そもそも誰もやって来なくなってしまいましたね」


「ここまできて放置されるなんて、ありえないよな?」


 もう前回の戦いから四日経った。

 あれからすぐに、コアの力で魔術を覚えるための魔石を作りだし、俺や人間の魔術師たちは幻術を覚えた。


 入口を実際に岩と泥で塞ぎ、さらに幻術で隠した。

 洞窟の周囲には目印になるようなものがないので、敵は大体の位置を知っているという程度で、このダンジョンを探さなければならない。

 自分たちが出入りするための入口は確保してある。

 塞ぐのに使った岩を一部くり抜いて、簡単に閉じたり開けたりできるようにしてあるのだ。


 だから見つからないのは良い。

 しかし、探しにさえ来ないのはどういうことだろう?

 こちらを攻めるための軍団を編成する時間がかかっているにしても、偵察くらいは寄こすものじゃないだろうか?


「こちらから偵察を出しましょう。マーマンのスカウトでも召喚して、探ってきてもらうんです」


「そうだな」




 魔物の国は今、まさに修羅場と化していた。


 最初の襲撃は女王の力で退けられたが、受けた被害が大きすぎた。

 住人、家屋、資材、ざっと計上するだけでも、魔物の国全体で一年分の損失にはなる。


 シービショップの触手は南からやってきた。そのため、被害はそちらに集中している。

 謎の空洞は北西で発見されたということもあって、他の方位より北西部に警備を多く配置していたのも災いした。


 動ける者は皆働いている。

 傷を受けた者の手当てや世話にも人手はいる。

 難を逃れても、住む場所を失った者はいる。一時的に避難所が設けられても、いずれは戻るため、彼らの家々はすぐにでも修復され始めなければならない。

 街での仕事は中断されている。すぐに再開されなければ取り返しのつかないような仕事もある。

数日の遅れ、では済まない話が、今ではそこら中に転がっていた。


 そして、最大の問題はシービショップが退治されていないということだ。


 街を襲った中に、シービショップはいなかった。

 逃がすわけにはいかないし、シービショップも魔物の国を撃滅することを諦めたりはしないだろう。そういう生き物なのだから。


 他のすべても急務だが、なにより軍はシービショップ討伐を優先しなければならなかった。

 各地へ散らばっている軍勢を全て呼び戻し、シービショップ討伐を計画している。

 先遣隊はすでに出陣した。

 半日後には防衛戦力を残して、残りの全軍が出陣する予定である

 北西の空洞から逃げ帰ってきた兵団の話はほとんど出てきていない。


 しかし、女王が先遣隊に激励の言葉をかけなかったことが、国内で密かに噂されている。




「なるほど、随分と私たちに都合の良い展開になってますね」


「この状況、何かに利用できないか?」


 偵察が持ち帰った情報は、何か勘繰りたくなるほど都合の良い話だった。


「今のうちに魔物の国の都を攻めるとか、ですか?」


「手薄になった今がチャンスだろう?」


 別に都攻めだけが選択肢じゃないとも思うが、一応言っておく。


「仮に制圧したとして、それでどうするんですか? エネルギー目的で市民やらを捕まえて、ダンジョンに連れ帰って殺すんですか? 街を破壊して生活基盤を揺るがせるというのは効果的かと思いますが、何にせよリスクの方が大きい気がしてなりません」


「多分、シービショップ討伐に女王は出向かないよな? 暗殺できないか?」


 どうせいつかは倒さなければいけない相手だ。


「あー、それはグッドですね。シービショップという驚異を前に警戒心高まって、防衛戦力もそこそこ残しているであろう敵陣ですが、突撃してみますか?」


「それ、駄目って言ってるようなもんじゃないか」


「どちらかと言えば、シービショップという存在を自戦力のように扱う方針が良いのでは? 一度触手を殲滅されたようなので、魔物の国の戦力を差し向けられればすぐ討伐されてしまうでしょうが、それではもったいない話です」


「そういえば、そのシービショップってのはどんな奴なんだ?」


「海の悪霊とも呼ばれる魔物ですね。分類としては精霊ということになります」


 全身がローブのようなひらひらとした皮に覆われている、タコのような、ヒトのような姿。

 海に住まう生き物を全て海へ還そう、つまり、殺そうと活動する魔物。

 本体はちょっと魔法が得意でタフなだけの魔物だが、ローブのような皮の下から、無数の触手を生み出して使役することができる。

 ただし、触手を増産するには時間がかかるようで、触手を殲滅されてからの四日間で作られる触手はせいぜい三千から四千というところだろうとのこと。

 知能はそれほど高くない。


「なあ、そいつ捕まえてさ、触手を生み出させてダンジョンのエネルギーに変え続ける無限機関化できないか?」


「なかなかに意欲的な策ですが、危険度大ですね。本体はそれほど強くないと言いましたが、それは触手生産能力と比べて見劣りする感があるというだけで、実際には私でもかなりてこずる強さを持っています。捕えるのも、捕え続けるのもかなりの危険が伴います。それならここへおびき寄せて、一思いに殺してしまった方がいいでしょう」


「じゃあ、自戦力のようにってのは、シービショップを手助けするように動くってことか?」


「知能は低いですが、敗色濃厚になれば逃げようとするはずです。そのタイミングで私たちも仕掛けて、シービショップを逃がしてやりましょう」


「数万の軍勢を相手に殿のようなことをするのか」


「やるならば、その時は私一人で仕掛けます。その方が私も逃げ出しやすいですから」


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