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【空海】「最後の一人」はネジを巻く

作者: 丸井やよい

幸せな終わりなんて、きっと無いんだよ。

***は結構頑張ってたみたいだけど、結局ないものねだりをしているだけで、行き着く先は全部全部絶望。

そして、俺も、みんなも、全員死んじゃうんだ。

……たった一人、君だけを残してね…。

だから、みんなを救う為に、俺は君を殺して終わらすことにするよ。

「」


やっぱり、どう考えても可笑しいわ。まず効率もなってないやろし、やり方も気に食わないんよ。

ああ、もう、私らを巻き込まんといてよ。

まあ、それでも私如きがルールとやらには歯向かえへんけど。

思えば、すべてが狂ったのは”10月21日”からじゃなく、きっと、私らが生まれたその時点から、もう可笑しかったんやと思う。

もう、みんな死ぬしかないんや。だから、手始めに私は、

「」


笑ってるな。

ほな、お前は幸せなんやろうね。

俺は賛成やで?君のやり方。

”死んだ人とずっと一緒にいられる方法”は、これしかないもんなぁ。

うんうん、ええと思うで??

好きなだけ繰り返しい?

もし飽きてしもうたとしても、俺が何とかしてやるで?

だから安心せえ、***さん。

「」


気怠い。もうすべてが面倒臭くて、平和なんて考えてた自分が馬鹿みたいに思える。

よう、かつての俺。

きっとてめえは、今の俺を見て笑ってるだろうな。

ほら、笑えよ。

正義も平和も、信念も理想も、すべては虚偽で、空虚で、滑稽なものなんだよ。俺は今更気付いちまったよ。

ああ、…その俺の形をした、憎々しいにやけ顔、本当腹が立つ。

「」


なんで、私とあんただけ残ったんだ?

おい、答えろッ!!なんでみんな死んでんだよ!?!?意味わかんねえよ………!

はあ…??「みんながこれを望んでいるから」……?

ふっざけんなッッ!!!!んなわけないだろ!!

……オイ……んだよその本………?

は…?なんでナイフなんか渡して……??……

ッ!……マジかよ、それ?…あんたを殺したら、時間が巻き戻るのか……?

わ、わかった、分かったから!……じゃあ、……頼んだぞ……?

何も変わんなかったら、私もみんなを追いかけるから、さ。

「」


ああ、大好き。大好き大好き、いや、好きってレベルじゃない。僕は君を君だけを愛しているよ。

君に踊らされるのが堪らなく心地良くて、感情が揺れ動くんだ。まるで自分が自分じゃないみたいに。

ああ、愛してる。愛してるよ***ちゃん。

だから、元気で明るい、そのままの”君”を守るために、僕は君を抱きしめて、

「」


夢の続き。夢の続き。

彼女だけの夢物語。俺らはその中で踊らされている演者。

死ぬ事も、時を進めることも許されず、ずっと物語を繰り返す。

あるわけのない、幸せな終わりを夢見て。

彼女は何度も何度も表紙を開く。

そして、何度も何度も何度も後書きまで辿り着き。

また何度も何度も何度も何度も繰り返して読み返す。

もう、辛いだろう?***。

なあ…?もう俺も疲れちまったよ。

「」


貴方はまたそうするんですか。へえ…つくづく飽きないものなんですねぇ…。

まあいいですよ、やって見てください。

貴方が泣きながら台本を読み返す姿、実に滑稽ですよ。

さあ、次のセリフはなんですか?次の行動はなんですか??次に死ぬのは誰ですか????

…泣くくらいなら繰り返さなければ良い物を。

ああ、そうですね…私が終わらせてあげますよ……。

さよなら、*****。

「」


幸せな終わり?そんなの存在しないに決まってんだろ。あるのは深い絶望と、悲しみの渦だけだ。

何故それに気付かない?ああ、くだらない。またくだらない話の繰り返しだ。

ありきたりでつまらない、いつも通りの絶望での終焉。

俺はもう飽き飽きしてんだ。いい加減諦めるんだな、****。

「」



「「「「「「「「「そうして俺は、僕は、私は、…………君に、…*にナイフを突きつけた。」」」」」」」」」

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