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鈴木太郎の青春哲学論2/2

だいぶ遅れましたが投稿します。






home、家とは何だろうか、家庭とは何だろうか。家庭は「家族が生活を共有する場」であり、社会の最小単位である家族と、家族が生活する場を内包する概念である。人間は社会的動物であり、社会に依存したり働きかけて存在しているが、家庭はこういった人間の性質によって形成されている。

では何故俺はそういった生活の場への扉を開いた瞬間親父に殴られたのだろうか。これが社会なのか。働きたくねぇ。

俺が無言で説明を催促すると親父は嬉しそうに言った。


「今朝はお前のせいでまだ寝ぼけていたからな…。本気で殴れなかったんだ。弱い父さんを許してくれ。」


コイツマジで言ってんのか。許せねぇ。

「いや、いいよ。もう年だからな…。俺は弱い親父を許してやるぅごッ⁉︎」


鋭い拳が俺の腹にめり込む。やめて!太郎君の体力はもうゼロよ‼︎


「大丈夫だ。瀕死ならポケモンセンターにでも行けば治るだろう?」


…ナチュラルに心を読むのはやめてくれませんかねぇ。


「…親父てめぇ…久しぶりに早く帰ってきたと思ったら…」


「残念だったな、俺はお前の育成をしてくれているトレーナーの為に帰ってきたんだ。」


育成って言うなぁァァアアアア‼︎トレーナーって妹のことかァァアアアア‼︎クリリンのことかァァアアアア‼︎


「……」


「…まぁいい、ほら、早く入れ。飯まで勉強してろ。」


俺は舌打ちをしながら靴を脱ぐ。二階の自室へ向かおうと階段を半分登ったところで、親父に呼び止められた。

振り返ると同時に飛んできたノド飴を華麗にキャッチアンドリリースすると、親父はバツが悪そうに言った。


「…ふしぎなアメ」


殺す。絶対。てかポケモン詳しいな。やってただろ絶対。

俺が階段からのメガトンキックをかまそうとした時、ガチャ、と玄関の扉が開いた。

親父がすぐに慌ただしく玄関へ向かう。恐らく妹だろう。

俺はため息をつきながら残りの階段を消化した。




リビング、いわゆる居間というものは、住宅の中にある部屋の一つ。家族が一家団欒を楽しみ、寛ぐ部屋と考えられている。

俺はそこにあるソファに座って天井を仰いでいる。要は、あ?勉強?しねーよバカ。ご飯食べてから自分の部屋でやるし。(確信犯)という意味だ。


我が家のキッチンとリビングは壁に仕切られており、料理の音は聞こえるものの、親父の姿は見えない。そのせいか些か気分がいい。隣には妹が寝息を立てている。

やはりリビングというものは素晴らしい。誰かと時間と場所を共有しつつ安らげる唯一の空間といってもいい。何より親父がキッチンにいるのがいい。というより、普段は母と父二人とも夜中まで働いているため、必然俺と妹二人で夕食を食べることになっている。勿論俺に料理など出来ないので、妹に作ってもらっている。洗濯、もやってもらっている。掃除も…ふ、風呂掃除はやるもん!

というわけで、親父か母さん、どっちかが時々早く帰ってきて妹の為に家事をやるのだ。そういう日は決まって妹は何かの世話で疲れたかのように寝てご飯を待つ。頼むから俺のことじゃありませんように。


しかしソファで丸まっている妹を見るとなんとも言えない罪悪感に駆られる。今度から靴ぐらいは揃えておこう。



…なんとチンケな罪の意識だろう。そう思った。どうしたものか。

そもそも罪の意識が小さいからいけない。俺は悪くないのだ。罪の意識が大ききければ、俺は逆に妹の世話をするレベルにまで上がり太郎から桃太郎ぐらいまでは進化できるのに。


––––––– では、どうやって罪の意識を重くしようか。



「ん…」


気付けば俺は、妹の豊満な尻を揉んでいた。

のちに人々はこれを尻ヶ丘の戦いと呼ぶ。なんてね。



「んぅ…………」


もそっと起き上がった妹はバチっと俺を引っ叩くと、じっと俺を見て言った。


「…なんで」


なんでって言われても…


「お前の負担を減らそうと思って…」


「意味わかんないし」


「いや、俺はだな、別に尻じゃなくても良かったんだ。そこに尻があったからであってな…?」


「…要は誰でも良かったってこと?」


「いや、お前じゃなきゃダメなんだよ」


じゃなきゃ罪悪感お前に感じないし。


「…尚更意味わかんない。…部屋戻る」


妹の背中を見送ると、形的にはリビングから追い出すことになってしまったことにまぁまぁの罪悪感が得られる。


ピロリン♪

太郎は『洗濯』を覚えた‼︎


柔らかかったなぁ、胸はないのに尻には肉があるんだな、などと考えていると、ご飯できたぞー、と包丁を持った親父が来た。

そこで俺は気付いた、妹が報告すれば、家庭裁判が開かれ間違いなく俺の首が飛んでしまうことを。







カチャカチャと食器を洗う音が聞こえる。結局妹は何も言わずに黙って飯を食っていた。時々親父からの質問に答える程度で、隣の俺など存在しないかのような態度だった。親父も俺には目もくれない。果たして俺が幽霊という可能性はないのか。

いるよね?おれ、ここにいるよね?

という感じだったわけで、無事食事が終えることができ、俺はリビングを出る。

二階へ上がり自分の部屋へ入って椅子に座る。

一応予習をやらなければならない。

国語と社会だけはできるが、特に英語は予習してないと全くついていけない。授業中は教師も大抵俺をあてない。

いるよね?おれ、幽霊じゃないよね?


そんなこんなで英語の予習を終えて、上着を羽織る。

放課後予約した美容室に行くためだ。誰かを変えるってことは自分も変わらなきゃなんとなく失礼な気がするし、青春を始めるにはこの髪は邪魔すぎる。前がよく見えない。二つの意味で。

玄関で靴を履いていると、リビングから妹がて出てきた。

目がかち合う。

逸れる。


「髪切ってくる」


階段を上りかけた背中に声をかける。


「ん…」


と寂しい返事が返ってきたが、返事をしてくれるだけマシではある。

おれ、ここにいるよ!幽霊じゃないよ!


こうして俺は生活の場を出たのである。

俺が行く美容室はなんと9時から9時まで営業という社畜感丸出しの美容室だ。結構人気らしい。男に。そこそこカットも上手いが、何と言っても美人なお姉さんが切ってくれるわけです。前髪切られるときなんかもう後頭部がパラダイスヘヴンパーリー状態。勿論巨乳です。

世界でも希少種の、顔も体も完璧な人に髪切ってもらえるとかもはやガンジーも髪生やすレベル。


ちなみに家から美容室は徒歩5分。これを利用しない奴がいるだろうか、いやいない。

さらに美容室の隣にはセブソアソドアイがあるため帰りに買い食いもできちゃう☆


セブソを通り過ぎ、美容室を見ると、丁度お客が出てきたのを見た。これまた美少女で、美少女が美女に髪を切ってもらうシーンを想像→悶える、というアクションをとらざるを得なかった。そのため、俺はその美少女には体をくねらせながらOhh…とか言ってる変態にしかみえず、…ええ、走って逃げられました笑。


美容室に入ると案内された椅子に座らされる。適当に短く切って下さいと注文したのち、美人なお姉さんと談笑しながらその時を待った。

後ろ髪を大体切り終えたのだろう、お姉さんが身を乗り出す気配がする。


その時、歴史が動いた‼︎

柔らかい刺激が俺の後頭部を包む瞬間。


俺は心の中で呟いたのである。



–––––––– トレース、オン。



構成物質、解析。

胸囲、解析。

ち○こ、補強。



…できた!いや何もできてないけどね。

結局、まぁまぁ時間をかけて切ってもらい、ついにカットが終了する。鏡を見ての感想は、…これが、アタシ…?みたいな感じ。お姉さんが、君かっこいいね!と言ってくれたこと、僕、忘れません。あとおっぱいも。







––––––– 朝である。

四月とは言え、まだ肌寒いかったこの頃だが、今日はほんわかぱっぱ暖かい。髪を切ったから心配してたんだぜ。良かった。

ぼんやりと朗らかな朝日の下登校するとか最高。隣に幼馴染とかいれば死ねるレベル。

だが勿論隣には誰もいない。数十メートル先に妹がいるだけである。

…なぜこのようなことになっているのか、それは俺と奴が学年は違えど同じ高校であり、ご飯を食う時間も同じなため必然的に登校時間と登校ルートも被る。だが一緒に行くのもアレだということで数十メートルの距離が開いている。

お互い一人なら、全くもって滑稽だが、妹は友達といつも登校しているのでさほど変な光景ではない、と思う。

妹のお友達、名前はなんて言ったっけな、マッチ棒だっけ?多分違うけどそれでいいや。マッチ棒は我が家の二つ挟んで隣に住んでいる。そんなわけで中学も妹と同じで今でもよく我が家に遊びに来ている。そんな二人は見ていてなんか「友達」って感じでとても幸せそうだ。

俺の中学時代の友人はバカばっかで、俺の高校を俺以外一人だけしか受験しなかった。

そのかけがえのないonly oneも部活があるため朝はだいぶ早く、夜遅くまで部活である。

そのため俺の登下校は大抵一人だ。


ッボケーっと後ろからJKを見ている昨日までの俺は変態認定されてもおかしくなかったが、今日からは違う。髪を切ったからな、おれのスーパーイケてる顔の前じゃぁ犯罪などただのご褒美に近い。イケメンにケツ触られるとか男の俺でも喜ぶわ。

…流石にやっぱ無理だわ笑

とにかく道行く人は、あ、イケメンだ、と言う感じで俺の顔に興味はあれどおれの視線には興味がない。

ので、JK見放題だぜ!まるで違法アップロードされたアニメを見てるかのような罪悪感だ‼︎


とかいう間に学校へ到着。

ここは進学校ということ以外あまり特徴がない為、校長の名前はもちろん学校の名前も分からないまである。いや、一つ、制服が無いことは特徴であると感じる。入学式は皆ナンチャッテ制服という奴を着て出る。普段それを着て授業を受ける奴もいれば、オシャレな奴は私服を着てたりする。もちろん俺は制服だ。楽だから。

一応おっぱい委員長には私服を指定しておいたが、…果たしてどうなることやら。


玄関で靴を履き替えていると、後ろから肩を叩かれる。


「よぉ」


ビッグだった。


「あ?お前朝練は?」


「今日はオフなんだよ」


「ほーん、顧問がなんか忙しいとか?」


「そうっぽい、剛田先生、生徒指導じゃん?なんか不良の更生だとさw」


「へぇ…じゃぁよっぽどの奴だな」


ウチの校則はかなりゆるゆるである。そのため私服も許可してるし、髪の毛も茶髪程度なら注意されないし、ピアスも女子はやり放題だ。

その為、進路指導を受ける、ということは、男子でピアスを付けたり、金髪にしたり、またはどっかで喧嘩したとか、進学校の中では結構な荒くれ者に認定されるということである。


「そうみたいだ…な…!?」


靴を履き終えて顔を上げたビッグが絶句している。どうしたのだろうか。



「…あんた、誰だ…?」



…おぉっとーここでまた俺の幽霊説浮上かぁ?

今さっき顔合わせただろが。

けど良くあるよな、朝じゃなくて昼休みに友達が髪切ったことに気付くの。そういう感じと思いたい。


「鈴木だよ鈴木」


沈黙。



「…だれ?」

「お前実は昨日のこと根に持ってたりする?酷くない?」


ビッグは軽く咳払いするとメンゴメンゴwと謝ってきた。殺すぞ。


「いやしかし太郎お前、…実はイケメンだったんだな…」


「は?バカ言ってんじゃねーよ。元から超イケメンだし」


「そうゆうことになるな、いや、さっき肩叩いたときは太郎かどうか半信半疑だったし。マジで驚いたわ」


そういう風にガチに返されると困るんだが…。

取り敢えずそうか、とだけ応えて一緒に教室に向かう。



ガラリと扉を開けて教室に入ると至っていつも通りのクラスだったが、俺と挨拶を交わした人間は皆驚きに目を見開いて固まる。神になった気分だ。フハハハハ。

席に着席すると、変わり始めた雰囲気に女子たちが気づく。何事か、と原因を探し、男子達の視線を追うと…


新世界の神がいた。

俺氏マジリスペクト。

そしてヒソヒソと話し声が聞こえる。

今女子の評価は、『鈴木君て、なんかヤバくない…?』から『鈴木君、なんかヤバくない!?』へと変わった。

日本語って偉大‼︎


まぁ下らない青春を送っている奴らのことはどうでもいい。



とそこへ喧騒に包まれた教室にガラリ、とまた新たな来訪者が現れる。


–––––––– そして今度は完全に時が止まる。誰もが動けなくなった。

鷹に喰われようとする子供を見た瞬間の如く、儚く、絶望的なまでの圧倒的生命の美しさをそれは体現していた。スラリと伸びた肢体が繰り出す挙動一つ一つに、まるで彫刻が動いているかのような鳥肌と戦慄とが体を駆け巡る。


「え、なに…?」


とビッグが呟いた。

この疑問は、彼女が誰なのか、ではなく今何が起きているのか、という疑問なんだろう。

なぜならそれは個の人間として、物体としてではなく、美の象徴といった概念だとしか思えないのだ。『ハリウッドスター』がいきなり教室に入ってきたかのような異物感がそこに存在しているのだ。

そしてそれはどうしてか俺のもとへとやってくると、



–––––– 手前の椅子に足を引っ掛け盛大にすっ転んだのだった。

俺は慌てて手を貸そうと立ち上がるが、事態はさらなる方向へ展開される。

彼女は立ち上がるがいなや、今度は自らの足をもつれさせ前のめりに俺の胸元へと飛び込んでしまった。


すっぽりと俺の腕の中に収まっている奇跡に、俺は訳が分からずガチガチになる。いやアレじゃないよ?

彼女はといえば対照的にあまりにも柔らかい。なにがって胸が、俺のおっぱいスカウターが反応するレベルだった。スカウターは90を超えたところで爆発する。どうやらEカップは軽くいってるようだ。

このままではマジで俺の太郎くんもガチガチになってしまう。




挿絵(By みてみん)



「鈴木くん…あの…言われたことやってきたよ…?」


言われたこと?残念ながら俺はこんな美少女とお話ししたことなどない。


「へ?…ええっと…人違いじゃ?あぇ?」


まともな発声すら出来ない。


「う…。鈴木君…苛めないでよぉ…」


ウワアアアアアァァアアアア‼︎‼︎‼︎

ぐ、美しい‼︎なんて眩しい上目遣いだ‼︎こんな、こんな子を何故俺は知らない‼︎死にてぇ‼︎‼︎


「す、すみません、どなたでしょうか…?」


あくまでクールに話すことを意識してるが時間の問題だ。


「ぇ…ホントに分からないの?」


俺が無言でコクコクとうなづくと彼女は俺から離れて

信じられない、といった顔をした。


「…多佳子、だよ?」




エ?タカコ?タカコッテアノタカコ?

……デェェエエエエ‼︎‼︎⁉︎‼︎‼︎?とクラス中が湧く。ウソだろォォォオオ‼︎とビッグなんかは絶叫している。

だが俺は、俺はといえば…………ッ‼︎‼︎



「………だれ?」


知らなかった。


デェェエエエエ‼︎⁉︎⁉︎と再びクラス中が湧く。


すると、ビッグが呆れ顔で言った。


「お前…本当に人の名前覚えねぇよな…もう2年だぞオレら…ほら、委員長だよ」



……は?イインチョウ?イインチョウってあの委員長か?

確かに昨日指示は出したがこんなんなるの?あの有名な一晩で法隆寺立っちゃうレベルのことが起きちゃったの?


「鈴木君…酷いよ…ぅ…」


委員長は目を潤ませながら俺を恨めしそうにみる。

やめて、好きになっちゃうから。


「そ、そうか…悪かったな…」


「うん…鈴木君も、髪切ったんだね…」


委員長はポワーっと俺に見惚れる。

複雑な気分だ。


俺は戸惑いつつも結局ホッと息を吐いた。





–––––– どうやら俺たちは勝ったようだ、この世界の枠組みに。

この辛い世界に一石を投じたんだ。


俺たちは見つめ合う。

今の委員長を見て俺は再度心に決めた。


常に世界という名の現実は全ての人間に等しく、氷海の絶壁が如くそこに在る。誰もがその凍えるような寒さに絶望し、屈し、そして、受け容れてしまう。

それを掴もうとしても、人間の手のひらじゃそれは冷たくて、許容できない。


だから、氷になるのだ。


自らを凍らすことで、その氷壁の一部となることで、世界を生き抜こうともがくのだ。

世界が変わらないから自分が変わる。これは当たり前のことなのかもしれない。

だがそんなのは違う。最初から最後まで間違っている。

それは良い言い方をすれば、折り合いをつけるということなんだろう。だが、世界とはなんだ?イジメを容認するクラスメイト達か?勉強しなければ幸せな生活を送れないシステムか?自分に振り返ってくれない美少女か?


違う。

そこに在るのは『世界』という言葉だ。

そこに人はいない。そこに誰かの顔はない。『みんな』が椅子に座っているからお前も座れ。そういう言葉の縛りでしかない。


だが俺だって間違っている。絶望して凍ってしまった人間が炎を求めてそれを演じる。それは欺瞞と言えるだろう。

だが、欺瞞とはなんだろうか。凍った世界を基準にした【間違っている】という判断は本当に正しいのだろうか。

地動説を論じたガリレオのように、正しかったモノが間違いとされていることはないのか?

そもそも何が正しいのかなんてのはだれにも分からない。ただ漠然と曖昧な解を漂わせることしかできない。

だから俺はこの世界で間違い続ける。自分がきっと正しいと信じたもので在り続ける。


いつか、自らの真実が世界の真実になるだろう。自らの炎が世界の氷を溶かすだろう。世界に、自らに絶望して、それで終わりじゃない。

創るんだ。

この往々に優しくなく、正しくない世界を壊し、もっと間違った幸せな世界を創りあげてやろうじゃないか。

世界の青春全てを救済してやる。

主人公は俺だけじゃない。ヒロインは君だけじゃない。

この手に大いなる熱力を込めて、この氷壁に立ち向かおう。

例え一人じゃ凍えてしまうとしても、二人ならできるかもしれない。


叫び、穿ち、抗え。


俺たちはきっとこの世界を変えてみせる。



顔の見えない誰かじゃない。ここに存在する、俺たち自身のために。





–––––––– さぁ



「始めよう、青春を」






開かれた扉から吹く春風が、じんわりと停まった時間と心を溶かしていく。追憶と予見との交差点に青い光が浮き上がった。

さし出した手のひらに彼女の手が乗る。



きっとここから全てが始まる。

間違っているかもしれないけど。

正しくないだろうけど。

それでも始まる。


––––– 彼女の手はひんやりと冷たくて、

それでも




どこか暖かった。






マジックで書いてみました。

次の回から絵を描くか分かりません。

いや誰も待っていないでしょうけど笑

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