進む時間
いちゃいちゃさせたい・・・・ですが、過去話なので・・・・。
ギルドの登録試験は、まず口頭試問。
名前、出身、性別、年齢など基本的なことから始まる。応えられないことは答えずとも問題無いが、嘘を答えることは禁じられている。
これは単なる決まりというだけでなく、確実に【禁】じられている。部屋か何かに『術』がかけられており、嘘を言うための言葉は出せなくなっている。
『術』とは神殿の神官や、術師が使う“力”だと私は認識している。
身体の中に流れている何かを使ったり、大気中の何かを動かして、ある種の理を作り出す“力”。
お師匠さまは『術』も使いこなすため私も修行中だが、自分の中のものを感じられるのは早かった。
それこそお師匠さまが驚くほどに。
その際、怖くないのかと問われたが、怖くないと答えた。
確かに『術』とは未知のものとして、使用できない人には恐れられやすいものでもある。
だが私は単純に“力”だと認識していた。
剣士が剣をふるうように。――――――――剣を振ればものが切れるという理に則った“力”を使うように。
術師は術を使ってモノを切り、焼き、癒す理を作り出すのだと。
どのような理を作り出すのかは実力に伴い、どのような“力”を使うのかは考えに伴う。
ならば自分の持つ力を恐れる必要はなかった。
次に模擬試合が行われる。
新人同士が戦うのではなく、ギルドの登録冒険者と対峙する。新人同士では手加減もしにくく、事故が起こる可能性があるためだ。
そのため勝つことはできなかったが、自分の実力は出し切ったように思えた。自惚れではないが、いい動きができたようにも思う。
「なかなかいい動きをするね。誰かに教えてもらっているのかい?」
対峙した冒険者――――ルーシェリアと名乗った―――――にも言われ、嬉しくなって笑う。
「はい。お師匠さまに教えていただいています。」
「いい師匠なんだ。」
「もったいないぐらいの。」
力強く頷くと、ルーシェリアの顔に苦笑が浮かぶ。それに首を傾げると、軽く頭をなでられた。
「そこまで好かれるなんて、少し羨ましいと思っただけさ。最終試験もがんばりな。」
最終試験は害獣退治だ。
その時々で試験内容は変わるらしいが、今回は1日で行ける村の依頼を、新人3人パーティーでこなすことになった。
もちろん登録冒険者も共に来るが、命に危険が迫らない限り基本的に手は出さない。
準備も含め、2日後の朝出発することを他2人と約束し、それぞれが準備する物を決めて別れる。
2日後が出発だが、もちろん翌日にも会う約束をして。
宿に戻れば、お師匠さまは部屋にいた。
だが、何かを考えているようで、戻った私に気付いていないようだ。
「・・・お師匠さま?」
「!クリス、戻ったのか。おかえり。」
「ただ今戻りました。・・・何かありましたか?」
「いや。なんでもない。それより、試験はどうだった?といっても、お前が不合格のはずはないが。それ以外のことも聞きたい。」
言いながら長椅子の隣をたたかれ、そこに座って今日出会った人々のことや試験内容、明日からの予定などを話す。
また話をしてもらえなかったことに内心落ち込んでいた私は、いつもとは違う場所に座らされたことには気づけなかった。
幼クリス視点が終わったら、過去師匠視点にするべきでしょうか・・・。
でもきっと残念な結果になりそうな気がしなくもないです(笑)
皆さんのお師匠さまイメージってどんな風になっていますかね?